いつからだろう。
子供の頃の夢を忘れてしまったのは。
夢は見るものじゃないと気づいたのはいつだろう。
良くも悪くも都会に汚れ、大人に汚された。
私の上を跨りそして居なくなって行く。
ぽっかり開いた心の穴はそれを満たしていく訳ではなかった。
私はいつまでも底なし沼からは這い出せなかった。
汚れた体で私は夜の蝶になった。
華やかで汚れさえ綺麗になった気がした。
チヤホヤしてくれるホストにもハマった。
財布はいつも空。
お金さえあればチヤホヤしてくれる男にハマった。
堕ちる所まで堕ちていった。
夢はいつまでも忘れられない。
でも絶望しかなかった。
大家からは追い出され生きる気力さえなくしてしまった。
鳴り止まない電話。
「今日きついからきてくれない?」
いつもの営業トーク。
かかってくるだけでも嬉しかったのに。
今では苦痛しかない。
助けて。
いくら働いても採取されるの。
助けて。
どんどん汚れていくの。
明日が見えない。
手を出してはいけないとそう思っていても。
悪いことも沢山して、補導され。
私は留置場。
もうどうでも良かった。生きるために。
少しでも生きたいという気持ちがまだあったみたい。
でもここから出たらきっとまた死にたくなる。
この底なし沼からは逃げ出せそうもない。
おわり