(前回記事)

心の履歴(58) 

天は我を又々突き落とす
2023-06-11

https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12806773854.html

 

(今回記事)
2008/02/29 著

京都に舞い戻るや否や待ち受けていたもの。
それは、小銭しか残っていない財布。

悲嘆する余裕などは無い。

稼がなければならない。
先ずは当面の生活費。

以前、京大大学院生の田舎の先輩に教わった質屋に行く。
銀閣寺前から15円のチンチン電車②で京大前の宮崎質屋。
質草電気ストーブを抱え、それが千円。
その足で百万遍の学生相談所へバイトを探しに行く。

時期が時期。もう、割のいいバイトは無い。
しからば、これかと応募するも抽選。負ける。

ポツンと一つだけ残るバイト。

時給80円の肉体労働。
それに、場所が松ヶ崎。

始業が午前四時半。

夢見る時間だ。

成る程、誰も応募しないはず。

但し、朝昼二食付、これが魅力。
やむを得なし、ここに決める。

帰宅がてら、インスタント袋メン500円分購入。
バイト代が入るまでの夕食は、チキンラーメンで過ごさなければならない。

目覚まし二個を午前三時半にセット。
眠れる訳はない。

夜十時前等寝た事が無い。

眠らなきゃ!眠らなきゃ!と逆に興奮。
そのまゝで目覚ましが鳴る。

一睡も出来ず。

着替え、北白川の下宿の戸をそっと開くとブルブルッ!
弥生三月末。春とは言え、京都北部の夜明け前は殊更寒い。



白川通りを北上。

ポツンポツンとある街灯には丸い光の輪。
当に、閑寂寒々。

然も、徒歩。

夢の中か?

右の暗闇の山手には、一乗寺下り松・詩仙堂があるはず。
更に北上し修学院離宮の手前、白川通りを左折。
高野川の松ヶ崎橋を渡り、西に向かう。

北白川から凡そ3.5km

徒歩四十分で目指すバイト先に到着。

やれやれである。
                             続く

 

心の履歴(60) 
京都人の人使いの厳しさ
2023-06-14 

https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12807527629.html