(前回記事)
心の履歴(57)
生死のSS風邪薬で蘇生
2023-06-11
https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12806762267.html
(今回記事)
御茶ノ水橋口交差点で転倒
2008/02/28 著
1か月ぶりの絶好調に喜び勇んで御茶ノ水橋口前横断歩道に1歩進むと右軸足は何故かつるりと前にとられる。
後ろ向けに倒れようとする。
本能的に身体をひねろうとする。
ドォ~~ンと仰向けに落下。
右ひじが一瞬早くアスファルトに着くも効果なし。
画像 https://twitter.com/jmyhitme/status/1310609154927591426
一瞬、灰色の世界。
誰かの大きな声で我に帰る。
大の字の私。
視界には、東京の、青い、青い、青い空。
その視界の周囲に、人の顔。
顔が重なる。
「大丈夫か?」
「血が頭から!」
寝ながら後頭部に手を当ててみる。
こぶが出来ている。
生温い。
何故?
その手を目の前に戻してみる。
手に鮮血。
「救急車呼ぶよ!」
あわてる。
「待ってくれェ~! これから受験なんだ!」
手に持っていた袋が無い。
「鉛筆は?鉛筆は?」
鉛筆がなければ解答を書けない。
さあ~っと輪が崩れる。
皆、散らばっている筆記用具を探してくれる。
回収出来たのは、鉛筆二本とシャープペンシルと消しゴム、それに筆箱、紙袋。
鉛筆五本と削りは道路の向こうに飛んだようだ。
起き上がり気が付く。
足元のアスファルトに手の平程の太鼓鋲(びょう)。
真鋳(しんちゅう)で金色に鈍く光る。
歩道と車道の境界用に打ち込んだもの。
そこに誰かが打ち水をしたのだ。駅員か?
その濡れた鋲を踏んだのだ。
前のめりになった私の全体重をかけた右足で。
ハンカチを後頭部にあてる。
間も無く血は止まるはず。
頭部の血管は縦に走っているはず。
受験に向かうこの所で滑った!!
苦笑。
これが運命か。
皆に礼を言い、そそくさと交差点を渡り、あとは目をつむっていても行ける試験会場は日大理工学部校舎。
高校三年の時、一ヶ月弱、夏期講習で通った駿台予備校の隣(現、駿台外語総合学院)。
着席し鈍痛の右手のシャツをめくってみる。
まだらの内出血。
腫れている。
倒れた時、アスファルトで打った右ひじ。
右手の骨が痛む。
試験が始まる。
後頭部の血は止まっている。
頭は冴えている。
処が右手が鉛筆を持つと震える。
右手で思うように字を書けない。
脳神経がまともに右手に伝わらず。
書いた字はまともに読めず。
何度も書き直す。
解答記述は前に進まず。
☆☆☆
二日間の試験も終わり、帰路、御茶ノ水橋のたもと、国立東京医科歯科大学の白い校舎を無念の思いで見上げる。
翌二日目は全てが正常だったものゝ、恐らく、初日に被ったマイナスは大きすぎて挽回は出来ないだろう。
この頃の国立東京医科歯科大学歯学部の偏差値は医学部と比較し極端に低く確か57。
歯科医になりあの人を幸せにしようと思ったのに。
つづく
心の履歴(59)
京都の未明は寒い
2023-06-13
https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12807415942.html
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