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Minahei

ライター戸塚美奈のブログです。

別冊「太陽」で小泉今日子さんの特集をしていたのでパラパラ見ていたら。

「小泉今日子を知る204の質問」という、一問一答に小泉さんが答えているコーナーをなんの気なしに読んでいた。そして、その一角に目がとまった。

 

104番の

「文章を書く上で大切にしていること。」

 

カッコつけない。

 

たったひと言。

 

椅子から飛び上がった。

そして思わず、「師匠!」と叫んでしまった。

 

文章はかくあるべし、という美学を、

たったひと言で表現してしまった。

アイドルである自分を客観的に冷めた目で見ていた小泉さんだからこそ

言える言葉と思う。

 

肝に銘じよう。

『アルツハイマー病研究、失敗の構造』カール・へラップ(みすず書房)を読んでみた。

 

アミロイドのプラークは、アルツハイマー病の原因のひとつ。

でも、アミロイドプラークがある人が必ずアルツハイマー病の症状が出ているかというと、そうではない。

だから、アミロイドプラークがアルツハイマー病の原因とは言いきれない。

なのに、そのアミロイドプラークひとつに賭けて治療薬を追い求め、業界(大学、製薬産業、政府肝いりの研究機関)は迷走を続けてきた。そのありさまが綿々と書かれている。著者もアルツハイマー病の研究者。長年にわたって、アミロイドβのみに焦点をあてて研究することに異議を訴えつづけ、ソデにされてきたものから、もう筆が止まらない。

一番面白い(?)のは1990年代の後半、アルツハイマー病を防ぐ手段として、プラークワクチンが開発されるという出来事。それはマウスに接種され、「驚愕の大成功」となる! 予防効果があっただけでなく、できはじめたプラークにも効いたというからすごい。「シャンパンの栓が抜かれ、葉巻に火がつけられ」そして人間さまへの治験が始まる。すわ、衝撃のアルツハイマー病ワクチン誕生、だった。人にワクチンを投与した場合も、マウスと同じく、アミロイドプラークは脳からきれいになくなった!しかし人の場合はアルツハイマー病は消えなかった。 そして、人への治験では命にかかわる副作用が出た。しかし、それでも業界はアミロイドプラークにしがみつき続ける。

 

最後まで読んでも、なぜ、それほどまでに成果の出ない「アミロイドプラーク」に固執し続けるのかのわかりやすい回答はなかった。科学者であるから推量でのオチは避けているのだと思う。

読みながら、私自身は、HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)のことを思わずにはいられなかった。

 

90年代の後半、ワクチン開発に大失敗をしてからダッチロールを続けるアルツハイマー病研究とは逆に、世界には、輝かしいワクチンが誕生している。HPVワクチン。HPVが子宮頸がんの原因ウイルスであるというハウゼン博士の仮説のもと、原因ウイルスを同定してHIVワクチンが誕生する。2008年にはハウゼン博士のノーベル賞のお墨付きも得る。世界中で推奨され、若い女性に接種された。大もうけだ。

子宮頸がんは、HPV(ヒトパピローマウイルス)が持続感染して、すごく悪化した場合に、やっとがん化する病気とされている。ヒトパピローマウイルスは常在菌で、200近くも種類がある。健康な人は感染しても自然に排除してしまう。だから、ヒトパピローマウイルスに感染すること自体は、なんの問題もない。なのに、それを排除するワクチンができた。それで子宮頸がんが防げるのか? 実際、日本の場合で見ると、このワクチン接種がスタートしてから、まったく子宮頸がんでの死亡率は減ってない。副作用も多すぎて裁判になっている。ハッキリ言って、疾患を減らすために、ワクチンはなんの役にもたっていない。でも、大もうけだ。

 

それを考えると、アルツハイマー病の場合、アミロイドプラークでワクチンをつくる夢に、どれほどの人が投資したのだろう?と思う。投資したものは回収しなければならない。きっとできる。アミロイドβのプラークというわかりやすい敵は広報にはうってつけだ。投資家の心もつかむだろう。金持ちは長生きに執着するからなおさらだ。ワクチンができれば人は我先に打ちたがることだろう。どこの国の政府も買うだろう。ほんとうに効くワクチンである必要はない。副作用も多少は仕方ない。HPVワクチンだってそうじゃないか。そんな妄想のとりこになっていた連中がいたに違いない。・・・なんてことは本には書いてありません。これは私の感想です。

 

正直言って本の後半の、この著者のアルツハイマー病研究の展望論は難しくてよくわからなかった。でも、とにかく、アミロイドプラークが悪の巣窟ではないこと、その排除を求めてもアルツハイマーの治療にならないこと、アミロイドプラークにしがみつく輩に要注意、ということだけは、しっかりわかった。

 

この本の刊行と同じタイミングで日本で発売される認知症の薬。これがまさに、アミロイドプラークの薬なのだからガックリくる。しかも、プラークができるのをほんのわずか遅らせることができる(といえるのかもあやしい)だけの薬。脳の腫れなど副作用も指摘されている。しかも、心疾患やがんなどの既往症があると使えないとはどれほど怖い薬なのか。しかも値段は一人一年間390万!!!保険適用だから7割税金!!! どんだけ~!!!!!

本は今年の8月に刊行されて2カ月とたたずに重版しているから、評判になっているんだろうか? 帯や宣伝文句には、「良心の一石」「真摯な総括と告発の書」とある。どれだけの人に届くのか。

 

 


 

前回の欽ちゃんのつづき。

 

『ダメなときほど「言葉」を磨こう』集英社新書(2017)は、とても読みやすいけど、これまでの人生哲学の集大成な感じで一冊選ぶならおすすめ。なかでも好きなのは、

 

子どもがうまくいかないとき、一番大事な言葉は、

「大丈夫、何があってもお前を信じる」

のところ。

 

辛いところにいる子には、

「お前は強い。よく耐えてるな。今、運がたまってるよ。辛いことに耐えていれば、きっと大きな運がやってくるから」

 

運のことを考え続けてきた欽ちゃんだから説得力がある。

そんなふうに若い人に言えるようになりたいな。

 

 

我が家のレモン。信じていたら、今年はこんなに実がなりました。

やっと少し色づいてきた。ま、来年はならないかもしれないけどね。

 

 

テレビっ子ではなかったので、欽ちゃん(萩本欽一さん)のことはよく知らなかった。でも、最近新聞の連載で生い立ちなどを知り、さらに、たまたま再放送で前川清さんとの舞台を観て、スゴイ人だったんだなぁ、とびっくりした(遅)。

それで、出版されている本をどんどん読んでしまった。で、やっぱりスゴイ人だった。

芸能人なのに、清潔感がある。

で、それはなぜかといったら、「お友だち」で馴れ合わないから、ということがわかった。

 

 

芸能人の方々はつるんで徒党を組む。SNSで仲よしを見せ合う。

「お友だち」つながりでものごとが動いていく。

「ウィンウィン」と「バーター」が得意。

 

 

欽ちゃんは、

同じタレントを他の番組でも延々使うということがない。番組が終わったら解散。それがびっくりするほど徹底してる。

あえて、「友だち」と馴れ合わないスタイル。

 

「友達って、辛い。」

「友達だったら、『大将、仕事しようよ』とか『一緒にやろうよ』って言うじゃない。そんなことで数字取れるかって、取れないですよ」

「普通は、『損得抜きで付き合う』のを友達って言うんですよ。でも、なら芸能界で本当の友達あるかっていうと……」「やっぱり利害関係が出てくる」 『まだ運はあるか』(1999年、大和書房)より

 

近年の本を読むと、73歳で大学に入学し、仏教の勉強をして、年下の友だちができていてほほえましかった。

でも、卒業で友だちとの別れはやってくる。すると、欽ちゃんは、過去の自分の家族の「萩本家解散」を思い出してしまうのだ。

事業に失敗した父親が逃げて、兄ちゃんの初任給でお母さん、欽ちゃん、弟、姉ちゃんが暮らす。でもそれでは兄ちゃんの負担が大きすぎ。だから、これからはそれぞれ自分の力で生きていこう、と「萩本家解散」をしてしまう。

ちょうどその日、新聞にあったのが、「安藤組解散」という見出し(渋谷の愚連隊解散の記事)だったらしい。

 

「元気でがんばれよ」「どこかで成功したら、みんなまた会おう」

「そう言い合って背筋を伸ばして別れた日のことが、今も何故か明るい思い出として胸に残っているんだ。」『ありがとうだよ スミちゃん』(2023年、文藝春秋)より

 

家族とはその後再会することができた。だから、寂しい友だちとの別れも、「再開の物語」の始まりという気がする、と欽ちゃんは言う。

 

「友だち」って、ずっと一緒にいることではなくて、再会を繰り返すことで、より強くつながり続ける。

だから、友だちって、離れていて「上等」なのかもしれないな~。

そんなことを思った。

 

 

欽ちゃんの本を読み始めたのは、

友だちの本

の作業が終わったころだったけど、「あ、間違ってなかった!」とうれしかった。

友だちのこと以外にも、たくさんの学びがあった。

 

 

 

 

 

ご近所さんに柿をもらう。

うれしい!!

 

この季節の、こうした柿を見ると、母里啓子先生を思い出す。

母里先生は柿が大好きで、お友だちのお屋敷の柿を穫るのを楽しみにしていた。

「80過ぎた老人がはしごに登って、塀からはみ出して伸びてる柿の木の枝に登って柿穫ってるんだから、道行く人がビックリして見るんだよ」と面白がっていた。

「こういう、小さめで硬いのが好きなの。全部私の柿だ!って言って穫ってきた」

そして、ゲラ読みの合間に、くるくるとナイフで剥いてくださった。

「斜めにこうして切ると、種がとれるでしょ。こう切ると食べやすいよ」

 

 

以来私も斜め切って種をとるようになった。

 

 

さっきネットを見ていて、

『骨が語る"健康な若者の命を奪った”スペイン風邪の新事実』WIRED.jp  2023.11.12

という記事を見つけた。

https://wired.jp/article/history-says-the-1918-flu-killed-the-young-and-healthy-these-bones-say-otherwise/

 

スペイン風邪は、強健な若者がバタバタと倒れた恐怖の新型インフルエンザとして伝説になっている。

そして、またこのような新型インフルエンザが来る!として、ややSFチックに語り継がれてきた。そして新型インフルエンザ対策に巨額の税金が使われ、2009年にへなちょこ新型インフルエンザが流行したのはご存じのとおり。

 

どうしてスペイン風邪でそんなに若者が死んだのか? 本当に強毒だったのか、ということは、母里先生もかなり疑問だったらしく、ときどき振り返っていらした。「犠牲者は、第一次世界大戦中の兵士たちの輸送中の船が多かったのよね。それからアメリカでアスピリンが出始めたころで、インフルエンザの薬としてバカみたいに大量に飲んでる。それが原因でしょうね」としながらも、「それにしてもね・・・」と科学者らしく断定は避けていた。

2008年、90年ぶりに東洋文庫から『流行性感冒――「スペイン風邪」大流行の記録』が再版されたとき、「やっぱり蕃人が多く死んでいるよ」と。日本統治下の台湾の記録が残っているが、同じ地域でも蕃人(原住民の高山族)の感染率や死亡率が明らかに高いのだ。これこそ、スペイン風邪はSFがかった強毒ウイルスではなく、環境や栄養状態の悪い人が重症化するという通常の感染症であったという証拠なのだと。

 

この記事では、これまで「特異な殺人鬼」とされてきたスペイン風邪説が、1918年に死亡した人々の骨の分析により正しくないことがわかった、というもの。スペイン風邪で亡くなった人の骨にはほかの感染症や、栄養失調、虚弱体質の証拠が残っていたという。

 

母里先生!こんな調査結果が出てきましたよ!と連絡をしたいけど・・・。