ご近所さんに柿をもらう。
うれしい!!
この季節の、こうした柿を見ると、母里啓子先生を思い出す。
母里先生は柿が大好きで、お友だちのお屋敷の柿を穫るのを楽しみにしていた。
「80過ぎた老人がはしごに登って、塀からはみ出して伸びてる柿の木の枝に登って柿穫ってるんだから、道行く人がビックリして見るんだよ」と面白がっていた。
「こういう、小さめで硬いのが好きなの。全部私の柿だ!って言って穫ってきた」
そして、ゲラ読みの合間に、くるくるとナイフで剥いてくださった。
「斜めにこうして切ると、種がとれるでしょ。こう切ると食べやすいよ」
以来私も斜め切って種をとるようになった。
さっきネットを見ていて、
『骨が語る"健康な若者の命を奪った”スペイン風邪の新事実』WIRED.jp 2023.11.12
という記事を見つけた。
スペイン風邪は、強健な若者がバタバタと倒れた恐怖の新型インフルエンザとして伝説になっている。
そして、またこのような新型インフルエンザが来る!として、ややSFチックに語り継がれてきた。そして新型インフルエンザ対策に巨額の税金が使われ、2009年にへなちょこ新型インフルエンザが流行したのはご存じのとおり。
どうしてスペイン風邪でそんなに若者が死んだのか? 本当に強毒だったのか、ということは、母里先生もかなり疑問だったらしく、ときどき振り返っていらした。「犠牲者は、第一次世界大戦中の兵士たちの輸送中の船が多かったのよね。それからアメリカでアスピリンが出始めたころで、インフルエンザの薬としてバカみたいに大量に飲んでる。それが原因でしょうね」としながらも、「それにしてもね・・・」と科学者らしく断定は避けていた。
2008年、90年ぶりに東洋文庫から『流行性感冒――「スペイン風邪」大流行の記録』が再版されたとき、「やっぱり蕃人が多く死んでいるよ」と。日本統治下の台湾の記録が残っているが、同じ地域でも蕃人(原住民の高山族)の感染率や死亡率が明らかに高いのだ。これこそ、スペイン風邪はSFがかった強毒ウイルスではなく、環境や栄養状態の悪い人が重症化するという通常の感染症であったという証拠なのだと。
この記事では、これまで「特異な殺人鬼」とされてきたスペイン風邪説が、1918年に死亡した人々の骨の分析により正しくないことがわかった、というもの。スペイン風邪で亡くなった人の骨にはほかの感染症や、栄養失調、虚弱体質の証拠が残っていたという。
母里先生!こんな調査結果が出てきましたよ!と連絡をしたいけど・・・。