恋愛小説はあまり読まないけど、島本理生氏が描く男性が好きで新刊は欠かさずチェックしている。お気に入りは『わたしたちは銀のフォークと薬を手にして』。
今回の『憐憫』は厚さで言うと『夏の裁断』を思い出す。
本の厚み、残りページの量でラストを想像する楽しみ、紙の手触り、匂い、これらは紙の本の醍醐味。
いろいろ突然すぎる展開のストーリーに驚くが、恋とはそんなものかも。本人同士にしか分からない惹かれあう恋愛感情に想いを馳せるのは自分の経験を重ねるくらいしかない。
私はスタートダッシュだけが得意で途中、息切れしてしまい尻すぼみの激情型なのでスローリーな恋愛ストーリーにはイライラしてしまいがち。
なので、困惑するほどではなかった。
読了したのは2月なので、鮮明な感想は色褪せてしまったが、今、思い返すと、最近話題になっていた女優さんを思い出す。
実際はどうか分からないが、恋愛に奔放な女性像を作り上げられてしまいがちなタイプの方は、自分らしく振る舞う居場所を求めて探しているんだろうな、と少し理解者側に回ってしまう。どんな背景なんだろう、そう思うと切なくもなるが、恋愛沙汰は結局、本人同士にしか分からないんだもんなぁ。好き勝手言われて憐憫の情を覚えるわ‥‥