月のない夜
雨が音を奏で 強く弱く
寂しげに もの悲しげに
降っている
何故 復讐を選んだの
何故 私を選んではくださらなかったの
想い焦がれ 貴方と重ね逢えた時間を慈しむ間もなく
貴方は 私を捨てて復讐を選んだ
あの頃は 私も貴方も添い合う夢を見ていた
貴方が憎い でも 私の愛さえ強く大きければ 貴方は私を選んでいたのかも知れない
貴方が歩む復讐に 愛が 私が注ぐ愛が勝てなかった私自身が憎い
貴方の復讐が終わった時に
私を失った悲しみにうちひしがれるように
私は 憎い貴方の心に住み着くように
私は心を壊した振りをしてあげましょう
貴方に出逢っても 重なり逢えた時間を忘れたように 微笑んで貴方の前を通り過ぎましょう
でも 愚かな私は私を本当に壊してしまった
雨が音を奏でている
強く弱く
女の儚くも哀れな物語を
半月の浮かぶ夜に
風が強く吹き荒れる
百鬼夜行も荒れる風に恐れて姿を現さず
風の音で夜が過ぎてゆく
東殿 東殿
目を覚まされませ
そなたが願われた世は そう願われたままでおりゃしゃりますか
東殿 東殿
目覚められませ
わちと伴に 時を語らいましょう
世を平たくと願ったわちの思いはまだまた叶われず
世を平たくと願う人々が多くなり この世もなかなか捨てがたいのですが
東殿 東の鬼殿
月を見上げて そなたに問う
そなたが願われた世は 叶われましたか
風が強く吹き荒れる
百鬼夜行も荒れる風に恐れて姿を現さず
風の音で夜が過ぎてゆく
東殿 東殿
目を覚まされませ
そなたが願われた世は そう願われたままでおりゃしゃりますか
東殿 東殿
目覚められませ
わちと伴に 時を語らいましょう
世を平たくと願ったわちの思いはまだまた叶われず
世を平たくと願う人々が多くなり この世もなかなか捨てがたいのですが
東殿 東の鬼殿
月を見上げて そなたに問う
そなたが願われた世は 叶われましたか
雲の切れ間が月明かりで青さが増し
闇が透けて見える紛い物になる
人は もののけに怯え
夜を嫌い朝を待つ
綺麗に弓のようにしなる月が浮かぶ
杯を空にしては 月を眺め人の愚かさや儚さに考えふける
黙って酒を注ぐ鶫も また 月を眺め人の冷たさと温かさに思いを馳せては 思い出せぬ産み落とした母の顔を浮かべて己の時の永さを知る
金木犀の薫りが漂い 時は移り変わる
金木犀の薫りに紛れて 北の地から蛇が気配を送り込んできた
闇が透けて見える紛い物になる
人は もののけに怯え
夜を嫌い朝を待つ
綺麗に弓のようにしなる月が浮かぶ
杯を空にしては 月を眺め人の愚かさや儚さに考えふける
黙って酒を注ぐ鶫も また 月を眺め人の冷たさと温かさに思いを馳せては 思い出せぬ産み落とした母の顔を浮かべて己の時の永さを知る
金木犀の薫りが漂い 時は移り変わる
金木犀の薫りに紛れて 北の地から蛇が気配を送り込んできた