ちょっとつぶやき -18ページ目

ちょっとつぶやき

徒然に書き綴っております

月灯りが竹林の隙間から零れている

三尾の狐が目の前に立つ狐面の童子に聞いた

これは お前の仕業か

狐面の童子は 帰るのが正しいと言っております

と答えた

捜し物さえ見つけたら帰る
道を開けてはくれまいか

狐は そう言うと身体を掻いた

この地は鬼の姫の棲む場所
無断で立ち入るとは 如何なるおつもり

身体を掻きながら 狐は返した

ある碑を捜しており そなたに話す話でもあるまいな
道を開けよ


風が吹いたかと思うと 狐面を頭に被り鬼姫が現れた
柊が 鬼姫の肩で言う


三尾の狐でも 阿呆がおるとはなんと情けない

三尾の狐は 唸りながら後退りする

お主らが捜しておる場所は 永久に行かせぬ
対価は頂いておるゆえに
そうじゃ 長に伝えよ
男狐の子は こんなに可愛い子じゃとな

狐面の童子は 狐の姿に変わった
七尾の狐


三尾の狐は 争う訳ではない

と言って姿を消した


風雅は その姿のまま鬼姫にすり寄ると童子の姿に戻った

気にするな 
さて 山の実を摘んで帰るとしよう

そう言うと 山の奥深くに消えて行った




走り帰る三尾の狐の一匹に 矢が放たれた
青い羽の矢を受けながら 館に着いた
その矢を見た長は 鬼に近づく事はなかった
暑く照りつける陽射しも柔らかくなり
人々が垂れ落ちる汗に笑みも浮かべるようになった季節風が駆け抜ける

姫鬼の身体を狐の気配が纏いだす


柊が逸早く気付いた

いかがなさいますか?


そう言うと 風雅が慌てて廊下を走ってきた

母様 三尾狐が山に入ってきております

姫鬼はにやりと微笑んだ

柊 そなた如何する?

風に歪みを作って頂き 帰って頂くのが良いかと
三尾ならば 馬鹿では御座いませぬ
読んで帰られると思います

そう言うと 風雅を見た

風雅 そなた如何する?

私も帰って頂きたくございます

そう答えると うつむき歯をぎしりと噛み締めた

ならば 帰って頂こう
目的がなんであるかは わちにも解る
そなたの心の場所じゃ
そなたの思う通りにすればよい

姫鬼に言われて 風雅は結界を曲げくるくると同じ場所を走らせた

二回りして首をかしげた
三回りして 狐は足を止めた
目の前には 狐の面をした子供がいた

そなたの仕業か?
狐が聞く

陽の光が射す中
降りしきる雨が 人を称え
不浄を忌ましめ
人で在らざる物に嘆きを謳う


母様 母様

童子達は 嫌なものを噛み潰した顔をして鬼姫に駆け寄る

致し方ない 
たまの事 天の嘆きはわちでもどうにも出来ぬ

時が経つのを待つしかあるまい と鬼姫は童子達を宥めた

ふてぶてしく空を見上げて 童子達は時が経つのを待ちながら 各々の悪口を言っては けらけらと笑い 怒り または鬼姫に泣きついては また悪口を言う

まるで 人の悪意を曝すかのように童子達は雨が止むのを待っている