ちょっとつぶやき -16ページ目

ちょっとつぶやき

徒然に書き綴っております

霧が濃くなり
山は姿を消していた
村人は 山に近づく事なく霧が晴れるのを待っていた


湖に浮かぶ舘の門で
鬼姫が 待っていた

死を招く神は 虚ろな瞳で笑うと鬼姫の前で歩みを止め

直々に迎え入れとは わしが最後か

と言うと 入っていった


舘に続く華の路は跡形もなく消え
霧の中に浮かぶ舘は 
霧に消えていった
湖の上を紅い華の路が舘に向かって浮かんでいる

大きな刀を引き摺り
虚ろな瞳で月を見上げ 
ふっっと鼻で笑い
先に続く紅い華を見た

大きく体を右に左にとしならせ
紅い華の路を進みだす

紅い華は 大きな刀の重みに耐えられず
引きちぎれては 泥々と腐り湖の中に溶けて行く

ようもまぁ こんなに人の怨念を華にして楽しむもんよ

死を招く神が 呆れるばかりよ と鼻で笑い舘に入ってゆく

冷たい風が吹く
月も少し冷やかな明かりを注ぐ
雲が月にかかり
山に一段と暗い影ができ
闇を作り さらさらと進んでゆく
すると 霧の雨が降り始め
山は深い霧に覆われ始めた

森の夜の生き物は身を隠し 
霧が晴れるのを待った

行灯を灯し ずるずると大きな刀を引き摺り
微笑みながら森を進んでゆく
死を招く神が 湖に浮かぶ舘に向かって歩いてゆく

霧は濃くなり 山の中は目の前もわからぬ程になった