夢物語雲の切れ間が月明かりで青さが増し闇が透けて見える紛い物になる人は もののけに怯え夜を嫌い朝を待つ綺麗に弓のようにしなる月が浮かぶ杯を空にしては 月を眺め人の愚かさや儚さに考えふける黙って酒を注ぐ鶫もまた 月を眺め人の冷たさと温かさに思いを馳せては 思い出せぬ産み落とした母の顔を浮かべて己の時の永さを知る金木犀の薫りが漂い 時は移り変わる金木犀の薫りに紛れて 北の地から蛇が気配を送り込んできた