【今回見た映画】
エレファント・マン(1980英・米)
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地大乱(1992英領香港)
美女と野獣(2014仏・独)
アーカイヴ(2020英)

ウォンカとチョコレート工場のはじまり(2023英・米)
百万円と苦虫女(2008日)
愚行録(2017日)
青春の風(1968日)
映画ドラえもん のび太の絵世界物語(2025日)




エレファント・マン ★★★☆☆
デヴィッド・リンチ監督・脚本(共同)。ジョン・ハート。アンソニー・ホプキンス。ジョン・ギールグッド。アン・バンクロフト。

19世紀のロンドン。ジョン・メリック青年はその容姿のため「エレファント・マン」と呼ばれ、見世物小屋で自らの姿を晒して身を立てていた。

ある時、ジョンを見た外科医のフレデリック・トリーブスは研究のために彼を引き取り、病院の屋根裏に住ませていた。


ジョンと過ごす内にトリーブス医師は彼が賢く美しい心の持ち主であると気付く。


やがてジョンの存在がマスコミによって広く世間に知られてしまい、ジョンに悲劇が襲い掛かる。



子供の頃に初めて見て、とても怖かった。同時に悲しい映画だった。

醜い容姿と優しい心を持つジョン。好奇の目で彼の姿を見て、時に迫害する人たち。


あえて白黒で作っているのはうまいと思った。カラーで、良い映像で作ったら却って粗が見えてしまったと思う。




ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地大乱  ★★★☆☆

1992英領香港。113分。ツイ・ハーク監督・製作。ジェット・リー。ジョン・チャン。ロザマンド・クワン。


※シリーズ第2作目。


医学学会に出席するために広州を訪れた黄飛鴻(ウォン・フェイフォン)一行は、諸外国の排除をうたう秘密結社・白蓮教の教徒に襲われる。


黄飛鴻は孫文と合流し、共に白蓮教と戦う。



清朝末期を舞台にしたカンフーアクション映画。


白蓮教、孫文など歴史上の団体や人物が登場して、当時の混沌とした空気も伝わってくる。


ストーリーはエンタメで、コメディ要素もあって楽しい。


ジェット・リーのアクションが良い。見事な身のこなしと、ワイヤーアクション。見応えがある。





美女と野獣  ★★★☆☆

2014仏・独。112分。クリフトフ・ガンズ監督・脚本(共同)。レア・セドゥ。ヴァンサン・カッセル。


ベルは父親の身代わりになって野獣と共に古城で暮らす。


やがて、ベルは野獣の秘密を知る。



フランスの昔話で、これまで4回映画化されている。(wikiより)


最初が1946年(実写・白黒)。素朴な映像ながら、意外と面白かった記憶。


次が1991年(ディズニー・アニメ)。やはり、これが一番印象深い。「美女と野獣」と聞いて思い浮かべるのはこの映画だ。


2014年(本作)。


2017年(ディズニー・実写)。1991年版の実写化リメイク。話はアニメと同じ。主演のエマ・ワトソンがきれいだった。



本作は、これまで見たどの「美女と野獣」ともイメージが違っていた。


スリル溢れる冒険譚のようなイメージ。


以前に、ロビンフッドの映画を見た時にも感じたことがある。


ケビン・コスナー(1991米)とか、ラッセル・クロウ(2010米・英)とか。


昔話を新解釈で捉え直すのは面白い試みだと思う。


解釈が好みに合うかどうかはまた別の問題。





アーカイヴ  ★★★☆☆
2020英。109分。ギャヴィン・ロザリー監督・脚本・製作総指揮(共同)。
テオ・ジェームズ主演・製作(共同)。ステイシー・マーティン。ローナ・ミトラ。ピーター・フェルディナンド。

時は2038年。ジョージ・アルモアは山中のラボで人格・記憶を保存できる「アーカイヴ」システムによってついに亡き妻をアンドロイドとして蘇らせることに成功する。

しかし、そのアンドロイド「J2」はジョージが予想もしなかった行動を取り始める。


SF映画は現代劇や時代劇と比べて世界観を理解するのが手間で、難解になりがち。

本作はそこまでではなく、話も悪くないんだけど。

SFの企画は通りづらいと何かで読んだけど、分からなくもない。そんなことを思って見ていた。




ウォンカとチョコレート工場のはじまり  ★★★☆☆
2023英・米。116分。ポール・キング監督。ティモシー・シャラメ。ケイラ・レーン。サリー・ホーキンス。マット・ルーカス。

世界中から集めた食材で、人々を幸せにするふしぎな「魔法のチョコレート」を作ることができるウィリー・ウォンカ。

亡き母と約束した「世界一のチョコレート職人になる」ため、チョコレートの町へやってきた。

「チョコレート組合」から目を付けられながらも、ウィリーは自分の店を開くため奮闘する。


「チャーリーとチョコレート工場」の続編ではなく、まったくの別物だということ。似た雰囲気があるけど。


ティモシー・シャラメが良かった。

「チャーリー〜」のジョニー・デップみたいに、華奢でちょっと中性的な雰囲気が似てると思う。うまい配役。




百万円と苦虫女  ★★★☆☆
2008日。121分。タナダユキ監督・脚本。蒼井優。森山未來。ピエール瀧。モロ師岡。笹野高史。

人と接するのが苦手な佐藤鈴子は短大卒業後、就職に失敗してアルバイトで生計を立てている。

家族から離れて一人暮らししている鈴子は、100万円貯まるたびに引っ越して誰も知らない土地に移り住んでいる。


昔だったら単館上映で掛かってるような映画だと思った。そんな感じのマイナー感。映画の好きな人たちが楽しんでいそう。

学生の頃、小さい映画館でそんな映画を見た時のことを思い出した。

あと、深夜にテレビを見たら流れていそう。夜ふかししながら時々そんな映画を見た気がする。


蒼井優、ピエール瀧が特に印象深くて良かった。

ピエール瀧はとても惜しいと思っていたけど、今も映画やウェブ等で俳優を続けているようで良かった。




愚行録  ★★★☆☆
2017日。120分。石川慶監督。貫井徳郎原作。妻夫木聡。満島ひかり。小出恵介。臼田あさ美。市川由衣。松本若菜。中村倫也。眞島秀和。濱田マリ。平田満。

週刊誌記者の田中武志は1年前の田向一家惨殺事件について改めて取材を始める。

被害者はエリートサラリーマン家庭で、世間を震撼させた事件だった。

田中が周辺の関係者へインタビューする中で、被害者家族や証言者の思いがけない実像が明らかになり、事件の真相が浮かび上がってくる。


アクション等の動きがなくて、画面は地味。

気持ちのいい話ではないけど、面白い。引きつけられた。

もう少しテンポが早ければ、とは思う。そうすると雰囲気が壊れてしまうか。




青春の風    ★★★☆☆
1968日。83分。西村昭五郎監督。京都信夫原作「花の三銃士」。吉永小百合。浜田光夫。和泉雅子。山本陽子。杉良太郎。川地民夫。藤竜也。

楠本光子は神戸女子短大のフェンシングサークルでで“三銃士”と呼ばれるほど仲良しだった小林峯子と再会、ひょんなことから風見愛子のアパートに転がり込むことに。

同居する愛子の兄、圭介は学生時代から光子のことが好きで大歓迎する。


青春もの。

前にも見たかな、と思った。

新味はないけど、ファンの求める作品をペースを守って供給していたってことかも。




映画ドラえもん のび太の絵世界物語   ★★★☆☆
2025日。105分。寺本幸代監督。藤子・F・不二雄原作。水田わさび。大原めぐみ。かかずゆみ。木村昴。関智一。藤本美貴。サンドウィッチマン。

13世紀のアートリア公国の王女・クレアは宮廷画家マイロのモデルに飽きて逃げ出したところ、時空の穴に入り込んで現代へ迷い込む。

宿題の絵を描く参考にひみつ道具「はいりこみライト」で絵画の中へ入っていたのび太たちは、クレアと遭遇する。

クレアと「アートリア公国」へ向かったのび太たちは、公国に伝わる世界滅亡の伝説に巻き込まれる。


アニメ。

子供の頃に「のび太の恐竜」をワクワクして見ていたことを思い出す。

今は流石にあの頃ほど入り込めないけど、楽しく見た。



【今回読んだ本】
「龍-RON-」 村上もとか(マンガ。全42巻) 
「ケンカ国家論」 落合信彦




「龍-RON-」 村上もとか

マンガ。全42巻。

第一次世界大戦後、1928年の京都からストーリーは始まる。

押小路財閥の一人息子・龍と女中からトップ女優になった田鶴てい、幼馴染の舞妓・小鈴らの恋模様。

やがて、追われて中国へ渡った龍は記憶を失くしてしまう。

龍の出生の秘密は世界の趨勢に影響を及ぼすものだった。


著者のマンガは「JIN-仁-」以来。

本作は、掲載時(ビッグコミックオリジナル)にコンビニで多少読んだことがあった。

その頃から、いつか通して読んでみたいと思っていたんだけど、ようやく実現させることができた。

昔はお金がなく、今は時間がないという理由ですね。しっかり読みたかったので、細切れ時間でなくある程度まとまった時間を準備したかった。

また、マンガなので昔は場所の問題もあった。電子書籍ができてこの点は助かっています。




「ケンカ国家論」 落合信彦

先日、亡くなったニュースを見た。

一時期の勢いはすごかった。どこの書店でも著作が平積みになっていて、テレビでは出演CMが流れていた。

売れていただけに批判もあったけど、一世を風靡した作家・ジャーナリストだった。

ご冥福をお祈りします。

久々に何か読みたくなって、アマゾンで買ってみた。

守りに入った日本は、このままでは沈むばかり。他国と「ケンカ」出来なければダメだ・・

日頃のニュースを見ながら不安に感じていることを代弁したような本だった。

初版は2013年3月。10年以上前の本ながら、今も著者の指摘する状況は変わっていないと思う。


「ねじまき鳥クロニクル」 村上春樹


何年か前から、村上春樹の長編を発行順に読んでいる。

データは、wikiの作品一覧「長編小説」を参考にしている。

第1作「風の歌を聴け」から、本作で8作目になる。

文章は相変わらず素晴らしい。名文だと思う。その上、とても読みやすい。

本作も出だしはゆっくりしてる。

スロースターターなのは、雑誌連載ではなく書き下ろしだからなんじゃないかと以前に他の作品を読んた時にも書いた気がする。

第一部の半分くらいまではまるで面白くなかった。


物語の舞台など、今回はこれまでの長編にあった“無国籍感”とでも言えるものが少し薄れた気がした。

その分、現実的でリアルな世界に少し寄せたのかと思った。

“加納クレタ”とか“赤坂ナツメグ”とか、キャラの名前は抽象的で、ストーリーは相変わらずシュールなんだけど、印象として。

当然ながら、昔の作品とは変化してきていると感じた。

個人的には、これまで好きだった世界にまた触れたいと思っていたので、予想を裏切られた感じはあった。

これは、悪い意味ばかりではなく、いい意味でもある。

作り手はやっぱり、受け手の予想を超えて進化して行くべきものだと思うので。


この後の作品がどうなっていくのかは、まだ読んでいないから分からない。

下手に検索して知ってしまうのも嫌なので、作者についてもあまり調べないことにしている。

(wikiも作品の順番を見る程度にしていて、全部は読まないようにしてる)


間宮中尉の話は残念ながら、事前にある程度知っていた。

情報を完全にカットすることは出来ず、何かで見てしまった。

それでも、読んだ時はやはりびっくりした。これがそうか、と。

村上春樹の文章世界で、こういう残酷な生々しさを描いているのが不思議な感じだった。


奥さんの「クミコ」の印象がずっと悪かった。

主人公への態度に刺を感じた。

なぜ、主人公はこの女性を愛し続けているのか。よく分からなかった。

と思ったら、第二部で出ていってしまった。


主人公が井戸に降りていった辺りから、これまでの作品で読んだような世界が始まるのかと思った。

特に、「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」を想像した。

(我ながら、いささか想像が安直だ。笑)

でも、ここからの展開も期待したイメージとはちょっと違った。

「世界の終わり〜」で感じた緊張感とも違う。

おどろおどろしい、気味悪さを感じた。

初期の、おしゃれでどこか牧歌的な世界はもう出てこないのかな。

と、少し寂しい気持ちがした。同時に、新しい世界に期待した。


第三部では本格的にエンジンがかかって、物語がオムニバス形式のように多層的になってさくさく進んだ。

先が気になって、読むスピードも上がった。

個々の話はとても面白かった。本当に見事な小説で、どうしてこんなものが書けるんだろうと思う。

ただ、全体像を理解出来ているとはとても言えない。

相変わらず難解だった。

どうしてこんな妙な小説を書いたんだろう、と思った。

(大変失礼だとは思うんだけど、市井の一読者の戯言だということでご容赦頂ければと。これが、学校のレポートや仕事なら何とか理屈をひねり出して体裁を整えるんだけど、ここでは正直な感想を書きました)


以下は印象に残ったところ。本筋とはあまり関係ないかも。

新潮文庫(38刷改版以降)で読みました。

【第1部】
P19、60  やれやれ(おなじみの表現が今回も出てきた。ただ、大分減った)

P136  5月のメイ(これも以前にどこかで出てきた)

P256  (主人公の叔父が笠原メイの近所に住んでいた宮脇という人物を評して)

苦労を知らんのか、それとも苦労が身につかんのか、いずれにせよ年相応に年が取れないってタイプだ。

P284  謎の女性からの電話
あなたの記憶にはきっと何か死角のようなものがあるのよ。


【第2部】
P104、111、238、264 やれやれ

P118 病院の待合室について。

(前略)難しい陰気な顔をしていた。それはムンクがカフカの小説のために挿絵を描いたらきっとこんな風になるんじゃないか(攻略)

純粋に、面白い表現だと思った。

P200 笠原メイが主人公を分析して。

(前略)だからきっとあなたは今そのことで仕返しされているのよ。(中略)たとえばあなたが捨てちゃおうとした世界から、たとえばあなたが捨てちゃおうと思ったあなた自身から。(攻略)

シュールだけど論理的。

P357   私はその質問に答えなくちゃいけない?と問いかける笠原メイに主人公が。

(前略)君がその話をはじめたんだ。

うまい切り返しだと思った。

P370  主人公に対して、叔父がアドバイスを送る。

それをうまくやるためのコツみたいなのはちゃんとあるんだ。

(中略)コツというのはね、まずあまり重要じゃないところから片づけていくことなんだよ。

この叔父は銀座に何軒もお店を持って成功していて、その体験を踏まえてアドバイスしている。

村上春樹のお店は国分寺かどこかだったと思うけど(エッセイで読んだ気がするけど、忘れてしまった)体験が反映されているのかなと思った。


【第3部】
主人公の元を去った笠原メイは何度も手紙で登場する。

このキャラが出てくるとゆるい雰囲気になるのが楽しい。


主人公と奥さんのクミコがチャットするシーンでは、相変わらずクミコに魅力が感じられなかった。

そのせいで、主人公が「帰ってきて欲しい」と願う気持ちに共感出来なかった。

これは私だけじゃないと思うんだけど、どうだろう。

P139、598  やれやれ(コンスタントに出てくる)

P432 牛河が主人公に、綿谷ノボルについて話す

一人の人間が誰かを憎むとき、どんな憎しみが一番強いとあなた思いますか?   それはね、自分が激しく渇望しながら手に入れられないでいるものを、苦もなくひょいと手にいれている人間を目にするときですよ。

P499   皮剥ぎボリスが間宮中尉に対して

この国で生き残る手段はひとつしかない。それは何かを想像しないことだ。想像するロシア人は必ず破滅する。

P506   皮剥ぎボリスが間宮中尉に対して

君は自分が私を殺すところを何度も頭の中で想像していた。(中略)忠告したはずだ。想像することは命取りになるとな。(後略)

P569   えへん(これは、おなじみの表現ってほどではないかも)