【今回読んだ本】

「イノセント・ゲリラの祝祭」海堂尊

「ジェネラル・ルージュの伝説」海堂尊

「アリアドネの弾丸」 海堂尊

「玉村警部補の災難」   海堂尊

「ケルベロスの肖像」   海堂尊

「カレイドスコープの箱庭」  海堂尊





「イノセント・ゲリラの祝祭」海堂尊


「チーム・バチスタの栄光」から続く「田口・白鳥シリーズ」第4作。


厚生労働省の組織内部の話が多くて、これまでとは趣が変わっていた。


法医学の話は興味深いけど、とっつきはかなり悪くて、予備知識のない私にはしんどい内容だった。


作者の幅の広さはすごいものだと感服する。エンタメだけど勉強になった気がする1冊だった。





「ジェネラル・ルージュの伝説」 海堂尊


「チーム・バチスタの栄光」から続く「田口・白鳥シリーズ」の番外編。


主に4部から成り、最初は短編小説が3つ。

「伝説 1991」、「疾風 2006」、「残照 2007」はいずれも救急医・速水が活躍する「ジェネラル・ルージュの凱旋」を補完するような話。


次の「海堂尊物語」は小説の背景が垣間見えて興味深く読んだ。


幼年時代から外科医、病理医時代と続き、2005年が「海堂尊・0歳」となっていた。


本は「5歳」まで書かれている。今年(2025年)で成人。続きも読んでみたい。いつか書かれるだろうか。


次は「自作解説」。


「医学のたまご」で


「子どもは難しいことがわからないのではなく、不明瞭なものがわからないのだ」


という気づき(悟り)はなるほどと思った。



最後は「海堂尊ワールド」。


「桜宮市年表」「登場人物リスト」「用語辞典」。


著者の小説は「桜宮市」「東城大学医学部付属病院」を主な舞台に、緩やかなつながりを持って描かれている。


ということながら、他の部分で「辻褄が合わなくなってくる」と書かれていた。


これだけ世界が広がると、プロとは言えそりゃそうだろうと思う。





「アリアドネの弾丸」 海堂尊


「田口・白鳥シリーズ」第5作。


前作「イノセント・ゲリラの祝祭」に続いて、なかなか取っつきにくい内容。予備知識がないのでしんどかった。


シリーズの中でも本作は本格ミステリー寄り。題材は難しいものの、話はとても面白い。


高階院長が無実の罪で逮捕され、田口・白鳥たちは無実の証明と真犯人を突き止めるために悪戦苦闘する。


白鳥の謎解きは鮮やか。


「間接証拠」ばかりで手強い宇佐警視を追い詰めるのはお見事。それ故に分かりづらくて難しくもあるんだけど。


よく、こんな話を考えつくものだと思う。


印象に残った所。(宝島社文庫で読みました)


7章 警察官僚達の会話が、まるで時代劇でお馴染み“越後屋”のよう。


本作では警察は完全に悪役として描かれている。


27章(下巻109ページ) 白鳥が宇佐美警視を評して「ウサちゃんは油断なんかしてないよ。休める時に休む、というのは強敵の証拠さ」


37章(下巻255ページ) 宇佐美警視の死に対して、冷たくビジネスライクな態度の斑鳩広報室長に白鳥が言う


「(~前略)ウサちゃんの背中に憑いた化け物が、僕の本当の敵なんだ。(後略~)」


続編が楽しみになる台詞。


死因不明社会、エーアイについて、田口・白鳥を始めこの後どんな展開が待っているのか。





「玉村警部補の災難」  海堂尊


「田口・白鳥シリーズ」番外編。短編集。


本編より大分軽め。


玉村警部補は桜宮警察署捜査一課勤務。警察庁から出向中の加納警視正の部下。


加納警視正の命令で、東城大学医学部付属病院の不定愁訴外来を訪れ、田口講師と過去5件の事件を振り返る。


各タイトル。

「不定愁訴外来の来訪者」

「東京二十三区内外殺人事件」

「青空迷宮」

「四兆七千億分の一の憂鬱」

「エナメルの証言」





「ケルベロスの肖像」 海堂尊


「田口・白鳥シリーズ」第6作。


前作「アリアドネの弾丸」から1年後。


東城大学Aiセンター長に就任し(お飾りとして祭り上げられ?)た不定愁訴外来の田口講師は、センター稼働を目前に控えて忙しい日々を過ごしていた。


そんな中、高階病院長から、厚生労働省の依頼で院長宛に送られた「八の月、東城大とケルベロスの塔を破壊する」と綴られた脅迫状の調査協力を依頼される。



「アリアドネの弾丸」までしばらく難しい話が続いていたんだけど、本作は取っつきやすい。


会議のシーンも、第4作「イノセント・ゲリラの祝祭」と比べてスッと頭に入ってくる。


(ひょっとしたら、こちらが慣れただけかもしれないけど)


シリーズもの特有の、ホームに帰ってきたような安心感を感じる。



印象に残ったところ。(宝島社のハードカバーで読みました)


第2章(19ページ) 脅迫状についての描写。

「(前略)~という文面が、大小不同の新聞の切り抜き文字で貼り付けられていれば、幼稚園児だって一発で脅迫状だとわかるだろう。」


シンプルで、とても分かりやすい表現。刑事ドラマなどで見た脅迫状がすぐに頭に浮かんでくる。


さすが作家。と、言うまでもないことを思って感心した。うまい。



第8章(78ページ) 薬を飲む理由。

「お薬というのは、もともと毒なんです。(中略)ではどうして毒を飲むのか。それは毒の害以上に、病気の状態が悪いからです。薬は毒だから身体には悪いんですが、同時に病気に対しても害になります。病気に対する害の度合いが、身体に対する度合いより強いので、お薬を飲む意義があるのです。」


これも、感動するくらいの分かりやすさ。



第9章(86ページ) Ai導入に反対する勢力に対して

「つまり法医学者の一部は、自分たちの保身のために、自分たちの領域に社会的に有用なAiを封じ込めてしまおうとしているわけか」

(中略)「~彼らは、市民社会に有用な死因究明制度を作ることではなく、自分たちの領域の権益を保全したいだけなんだ」

「あさましい話だな」(後略)


小説という形を取ってはいるけど、強烈だ。


でも、「ジェネラル・ルージュの伝説」等を読む限り、現実もそうなのかと思った。



第18章(188ページ) Aiセンター運営連絡会議で、アンチAi派の1人、循環器内科の陣内教授と彦根Aiセンター副センター長のせめぎあい。


「(前略)内科学会がAiという用語をないがしろにするのは、法医学会と結託し、解剖主体の死因究明制度と、おこぼれのモデル事業というミニ利権を守りたいだけだ(後略)」


こちらも強烈だ。



第19章(196ページ) 火花が散るような丁々発止のやり取り。会議は続く。


「まあ、文学的表現というものは往々にして底意地が悪いものかと」



第20章(220ページ) 東堂Aiセンター・スペシャルバイザー(マサチューセッツ医科大学上席教授)が、田口Aiセンター長に対して


「改めてマイボスの決断を、心の底からリスペクトしたい。(後略)」


シリーズでおなじみのキャラがコミカルなやり取りをするシーンで楽しい。(東堂は本作「ケルベロスの肖像」からの新キャラだけど)



第21章(224ページ) 空港の説明。勉強になった。


「尾張市の大牧空港は、民間空港に自衛隊の航空基地が併設される相乗り型の地方空港だ。


自衛隊基地と民間空港が併設されていると、経費削減などの点でメリットがあるという。


普通の国家なら、自衛隊施設は軍事施設に相当するから、側に民間施設を設置するなど考えられないが、日本の自衛隊は攻撃性に乏しく、社会的な公益性が高い組織だから可能なのだろう。」


ちなみに、大牧空港は愛知県の小牧空港がモデルだと思うけど、中部国際空港(セントレア)が出来るまではよく利用した。


確かに自衛隊の航空基地が併設されていた。



第25章(261ページ) 東堂スーパーバイザーとAiアンチの南雲・元極北市監察医務院院長とのやり取りを見た田口センター長が


「俺は震えた。これは東堂の宣戦布告ではないか」


この辺りから物語は佳境に入る。



第28章(290ページ) モチを喉に詰まらせて死亡したと偽装した死体を見事にAiで覆したところを目の当たりにした南雲・元極北市監察医務院院長が


「検視の質も低下している。理詰めで相手を説得できるAiセンターは必要悪かもしれんな」


風向きが変わってきたのか!?と思った。


素人目にはAiの有益性は明らかで、さっさと推進すれば良いと思うんだけど、医療とは関係のない業界にいる自分でも既得権益やしがらみから抵抗勢力が出てくるのは理解できる。



第33章(330ページ) ブラックペアンの話がここでつながってくるのかと驚いた。


この後の急展開は驚きの連続で、34章のクライマックスでは呆然とした。何と言う、予想外の展開。


これは、次作もすぐに読まなければ。





 「カレイドスコープの箱庭」 海堂尊

そう思って早速買った。笑


「田口・白鳥シリーズ」第7作にして、最終作。



「ケルベロスの肖像」事件で閉鎖の危機に陥った東城大学医学部附属病院。


そんな中、「不定愁訴外来(別名・愚痴外来)」の責任者・田口に今度は病理医の検体取り違え疑惑の調査が依頼される。


田口はAiセンター長としてAi標準化国際会議の準備も抱える中、厚労省の白鳥圭輔らと疑惑調査に取り組む。



患者は激減しているものの、市民の支えもあって病院は継続している。


今回の事件は患者検体の取替え疑惑。


解決後、存続が危ぶまれた病理学科の新しい体制が立ち上がり、期待と不安が描かれて物語は終結する。


最後にしてはちょっと短いかな?と思ったけど、速水、桐生と懐かしい面々が次々に登場するところなんかは最終作にふさわしい。



後半は「放言日記2010〜2015」。


「ジェネラル・ルージュの伝説」にあった「海堂尊ワールド」の続き。


「海堂尊・5歳」から。


Aiについての記述は相変わらず鋭く、阻害する者には辛辣な描写が並ぶ。



「放言日記」の後は「あとがき」。


「永遠の二葉書店」良い話だった。



著者は結構テレビに出ていたのだと知る。


どこで見たのか、見覚えのある人だと思っていた。



著者が文学賞に縁がないのは不思議だ。何かしら獲っていておかしくない作品だと思うけど。


色んなところに噛みつきすぎたせいか。


まあ、一般読者はほとんどの賞を知らないし関心もないけど。




【今回見た映画】

夫婦善哉 めおとぜんざい(1955日)

青い山脈(1949日)

続・青い山脈(1949日)

唄う六人の女(2023日)

憧れのハワイ航路(1950日)


サザエさん(1956日) ※実写版
劇場版 聖☆おにいさん 第Ⅰ紀(2018日)

メッセージ(2016米)

ミッドウェイ(2019米)

ロッカーズ ROCKERS(2003日)





夫婦善哉   ★★★☆☆

1955日。121分。豊田四郎監督。織田作之助原作。森繁久彌。淡島千景。司葉子。浪花千栄子。


大正末期から昭和初期の大阪。


曽根崎新地の売れっ子芸者・蝶子は化粧品問屋の道楽息子で長男の維康柳吉と駈落ち。


柳吉は親から勘当されてしまい、2人は生活に苦労する。



白黒。


有名な作品なので見てみた。原作は未読。


柳吉役の森繁久彌は本作が出世作だったそう。ダメ男キャラで出てきたとは知らなかった。


昔の映画だけあって、今見ると男女の関係や女性の扱いなど隔世の感がある。





青い山脈   ★★★☆☆

1949日。93分。今井正監督・脚本(共同)。石坂洋次郎原作。原節子。木暮実千代。池部良。若山セツ子。杉葉子。藤原釜足。


ある片田舎の町。


海光女学校の転校生・新子宛のラブレターは女学生たちの悪戯だった。


島崎雪子ら教師、金物屋の息子で高校生の六助たちを巻き込んで騒ぎは大きくなってしまう。



白黒。


原作は石坂洋次郎。1949年、1957年、1963年、1975年、1988年の5回映画化されている。


藤山一郎と奈良光枝が歌った同じタイトルの主題歌は大ヒットした。


映画はどれも見たことがない。歌は聞いたことがあった。


「変しい変しい私の変人」というコミカルなシーンの元祖がこの映画だったとは知らなかった。


私はお笑い番組かマンガで知ったと思う。当時も、今回も笑ってしまった。


当時、映画館で見てた人にはさぞや受けたんだろう。



本作は東宝だけど、男女交際や女性の立場について語り合うところは吉永小百合など日活の青春ものと似たところがあると感じた。


内容というより、演出や台詞回しが。


当時はこういう理屈っぽい語りが受けたのか。それとも、当時の人には全然違って見えてたのかもしれないけど。





続・青い山脈   ★★☆☆☆

1949日。82分。今井正監督・脚本(共同)。石坂洋次郎原作。原節子。池部良。木暮実千代。若山セツ子。杉葉子。藤原釜足。


騒ぎは学園の民主化を求める動きになってついに新聞に掲載される。


そして、理事会が開かれることに。投票の結果、島崎雪子先生の主張が認められるものの、生徒たちの動きは収まらない。その夜に沼田医師が襲われる。


やがて、雪子や新子への理解が広がってくる。



白黒。


タイトルは「続」となっているが、前後編の扱い。

合計で175分。

今見ると間延びしてるし、120分くらいにはできるんじゃないか。

理事会のシーンなんかダラダラしてるし、縮めて1本にすればいいのに。

と、思ってしまうけど、当時はヒットしたそうだからこれでいいのか。

たぶん2本立てで上映したんだろうし。


「変しい」に続いて、今度は「脳ましい」。

「脳んで脳んで脳み死ぬ」。

また笑ってしまった。




唄う六人の女 ★★★☆☆

2023年。112分。石橋義正監督・脚本(脚本)。竹野内豊。山田孝之。水川あさみ。武田玲奈。竹中直人。


東京でフォトグラファーとして働く萱島森一郎は、父親が亡くなって相続した土地を処分するために4才で離れた実家を数十年ぶりに訪れる。


森一郎と、一緒に訪れた東京の開発業者の社員である宇和島は、途中で事故に遭う。


目覚めた時、森一郎と宇和島は謎の「六人の女」たちによって、美しい村に監禁されていた。




ホラー。サスペンス。


気味が悪い話。


映像が美しい。ホラー的な、不気味な美しさ。


ストーリーは一応きちんとしているけど、さほど魅力的なものではなく、重視しているのは


雰囲気 > ストーリー


な映画。


雰囲気は、シーン毎の映像の美しさ、と言った方がいいかもしれない。





憧れのハワイ航路 ★★★☆☆

1950日。78分。斉藤寅次郎監督。岡春夫。美空ひばり。古川ロッパ。清川玉枝。吉川光子。花菱アチャコ。


岡田秋夫と山口五郎は貧乏暮らし。小さい飲み屋「うきよ」の二階に下宿している。


ハワイ生まれの岡田は父を残して来日し、戦争のため父の消息は掴めなくなっていた。


ある時、岡田は花売りの君子という少女を助けたことがきっかけで、姉の千枝子を好きになる。


千枝子たち姉妹は、「うきよ」の女将・みきが家出して別れた前夫との娘だった。


白黒。


タイトルを聞いたことがあったので見てみた。


主演の岡春夫が歌った同名のヒット曲を基にした映画。


美空ひばりが花売りの少女・君子役で出演している。


公開当時13歳。


演技はまずまずとして(台詞の声はすごくいい)、歌は既にとんでもなくうまい。


素人目にもはっきり分かるレベルの、まさに天才。


早熟で、子役の頃から売れたことは知っていたけど、確かに本作でも光っていた。


これはスターになるわけだ。





サザエさん ★★★☆☆

1956日。86分。青柳信雄監督。長谷川町子原作。江利チエミ。小泉博。藤原釜足。清川虹子。松島トモ子。仲代達矢。青山京子。若山セツ子。花菱アチャコ。音羽久米子。柳家金語楼。白川由美。ダーク・ダックス。


東京のある町に、磯野という一家が住んでいる。

家族は父母とうっかり者の長女・サザエ、わんぱくな長男・カツオ、おませな次女・ワカメ。


ある時、下宿を追い出された新聞社勤めの親戚・ノリスケが磯野家に下宿を申し込んできた。


家族会議の結果、受け入れることに。


サザエは雑誌社「女性クラブ」に採用され、間違えて出社した「山高商事」でフグ田マスオと出会う。


白黒。


原作の4コママンガは単行本を何冊か読んだことがある。


東宝版「サザエさんシリーズ」の第1作。(1961年(昭和36年)公開の「福の神 サザエさん一家」まで全10作が製作・公開された。)


アニメ版の人気が出たから実写映画が作られたのか、と思ったらこちらが先だった。


フジテレビのアニメは1969年 (昭和44年)10月5日より放映開始。


内容は結構似ていた。


江利チエミのサザエさんは、原作、アニメのイメージと近かった。


(どちらもそこまで詳しくはないけど、イメージの話ということで)


一方、アニメと違うのは父母で、波平・フネという名前は映画のクレジットにはなかった。(原作、アニメにはある)


性格も多少違って、父親はアニメより優しい。母親はおしゃべりでおっちょこちょいだった。


サザエさんは母親似か。(映画では)



全体的に、映画は原作のイメージに近い。


アニメは長いだけあって独自の部分が結構ある感じ。


原作4コマのネタが所々で差し込まれてるところなどは、映画とアニメの作り方がよく似ている。



ちなみに、原作の歴史はこんな感じだった。


福岡県の地方紙・フクニチ新聞社で1946年(昭和21年)4月22日から連載を始めた。


その後、色々と移って1951年(昭和26年)4月16日からは「朝日新聞」の朝刊に連載開始。


1974年(昭和49年)2月21日まで連載された。


(データは全てwikiより)


サザエさんのほかに、鉄腕アトムとかドラえもんとか、古いマンガは結構いろんなところで連載してる。


雑誌の事情が今とは違うからか。





劇場版 聖☆おにいさん 第Ⅰ紀 ★★★☆☆

2018日。76分。福田雄一監督・脚本。中村光原作。山田孝之製作総指揮。松山ケンイチ。染谷将太。山野海。佐藤二朗。


イエスとブッダが東京・立川のアパートでルームシェアをしながら下界でのバカンスを楽しんでいる。



テレビドラマの再編集劇場版第1作。


テレビドラマは見たことがなかった。


原作マンガ、アニメも。


気になってはいたんだけど。


この映画で初めて触れたことになる。


福田雄一監督らしい、楽しい映画だった。たぶん、原作との相性も良いんだろうと思う。





メッセージ ★★★☆☆

2016米。116分。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。エイミー・アダムス。ジェレミー・レナー。フォレスト・ウィテカー。マイケル・スタールバーグ。


世界の12ヵ所謎の宇宙船が現れ、そのまま上空に静止し続ける。


言語学者のルイーズ・バンクスは政府の要請で調査を開始。異星人とコンタクトを続ける。


そしてついに、中国など開戦派の国々が攻撃を開始しようとする中、ルイーズは宇宙船に乗り込む。



SF。異星人とのファーストコンタクト。SFの王道的な、雄大なテーマ。


そんなテーマに真正面から取り組んだ作品で、見応えがあった。


テーマがテーマだけに、新鮮味を出すのは難しいし、比較対象となる作品もたくさんあるので成功へのハードルも高い。


勇気ある取り組みだったと思う。


正直なところ、出来を心配しながら見ていたけど。良い映画だった。観客の一人として、製作者に敬意を表したい。



余談ながら、こういう話の中にもエイミーと娘の家庭のネタを絡めるのが、いかにもアメリカ映画的だと思った。





ミッドウェイ ★★★☆☆

2019米。138分。ローランド・エメリッヒ監督。エド・スクライン。パトリック・ウィルソン。ルーク・エヴァンズ。アーロン・エッカート。ニック・ジョナス。豊川悦司。浅野忠信。國村隼。マンディ・ムーア。デニス・クエイド。ウディ・ハレルソン。


1941年12月7日、日本軍の真珠湾攻撃により太平洋戦争が始まる。


山本五十六提督ら日本軍は大戦力を投入した次なる戦いを計画する。


真珠湾の反省から情報戦に注力するアメリカ軍は、その目的地をハワイ諸島北西のミッドウェイ島と分析。


全戦力を集中させる。そしてついに、壮絶な戦いが幕を開ける。



超大作。


日本軍が負け始めるターニングポイントとなった戦いを描いている。


映画はよく出来ているけど、見ていて辛い話ではある。


この間見た邦画の「雪風 YUKIKAZE(2025日)」と比べて、戦闘シーンには圧倒的な差があった。


そのまま、資金の差なんだろう。プロジェクトの規模と言った方がいいのかも。


映画自体の出来を比べているわけではなく。


ふと、戦争時の彼我の物量にもこれくらいの差があったのかと考えてしまった。





ロッカーズ ROCKERS ★★★☆☆

2003日。105分。陣内孝則監督・原案。中村俊介。玉木宏。岡田義徳。佐藤隆太。玉山鉄二。麻生祐未。風間トオル。小泉今日子。佐藤浩市。鈴木京香。中井貴一。松重豊。モト冬樹。八嶋智人。はなわ。


陣内孝則が福岡時代にボーカリストとして活動していたバンドについて、自らメガホンを取って製作した自伝的な映画。



バンド名くらいは聞いたことがあった。


曲は聞いたことがないけど、映画で初めて聞いて懐かしい感じがした。


80年代のアレンジなんだと思う。音楽の技術的なことは詳しくないけど、何となくあの頃の空気感が再現されている気がした。


ストーリーはどこかで見たような内容で物足りなかった。


自伝なんだから、身を削ればもっと面白いエピソードがあるでしょうに。


中村俊介は格好よかった。陣内孝則もちょこっとだけ出てくる。



【今回見た映画】

エンジェルフライト THE MOVIE(2026日)

レッキング・クルー(2026米)

パピヨン(1973米・仏)

夜明けのうた(1965日)

グランド・イリュージョン 見破られたトリック(2016米)


君の顔では泣けない(2025日)

武士道シックスティーン(2010日)

ベートーヴェン捏造(2025日)

Gメン(2023日)

雪風 YUKIKAZE(2025日)





エンジェルフライト THE MOVIE ★★★☆☆
2026日。138分。堀切園健太郎監督。佐々涼子原作。米倉涼子。松本穂香。遠藤憲一。城田優。野呂佳代。矢本悠馬。徳井優。向井理。

伊沢那美は、海外で亡くなった日本人の遺体を国内に、あるいは日本で亡くなった外国人の遺体を母国に搬送する、国際霊柩送還という業務を行う小さな会社「エンジェルハース」の社長。


ある時、8年前に海外の事故で安否不明となった恋人・足立幸人が、メキシコで生存している可能性があるとの情報が届く。


柏木会長の命令で、那美は現地へ向かう。



テレビドラマ版は見ていない。映画は面白かった。


国際霊柩送還という題材は新鮮だった。


コメディかと思って見始めたので、予想は裏切られたけど。


こんなに泣かせにかかる話だとは。笑



あと、これは本人のせいではないけど、米倉涼子を見ているとどうしてもドクターXの影がちらついてしまう。


俳優がシリーズものを避けるのは、こういうことを嫌がるわけか。





レッキング・クルー ★★★☆☆
2026米。122分。アンヘル・マヌエル・ソト監督。デイヴ・バウティスタ主演・製作(共同)。ジェイソン・モモア出演・製作(共同)。クラエス・バング。テムエラ・モリソン。ジェイコブ・バタロン。フランキー・アダムス。宮ヴィ。スティーブン・ルート。モリーナ・バッカリン。


ハワイで家族と暮らす海軍中佐ジェームズと、異母弟で刑事のジョニーは長年疎遠になっていたが父親で私立探偵のウォルター・ヘイルの事故死をきっかけに再会する。


ウォルターの死に不審な点を感じた兄弟は調査を開始するが、ヤクザや犯罪組織に襲われる。



アクションコメディ。


B級だなーと思って見ていたら、期待以上に楽しい映画だった。


難しいことは考えずに楽しめる映画。お茶かお酒でも飲みながら。


欲を言えば、122分はちょっと長い。100分でいい。





パピヨン ★★★☆☆

1973米・仏。150分。フランクリン・J・シャフナー監督。スティーブ・マックイーン。ダスティン・ホフマン。アンソニー・ザーブ。


胸に蝶の刺青をしていることから「パピヨン」と呼ばれる男。


パピヨンは仲間の裏切りに遭い、幾つもの罪を着せられた末に「終身刑」の判決を受ける。


そして祖国フランスを追放され、南米ギアナのデビルズ島で過酷な強制労働に従事する。


パピヨンは脱獄を決意し、偽札作りの天才・ドガと組む。



名画らしい趣の感じられる映画。長いし、古い映画なので冗長ではあるけれど。


日本の刑務所とは随分と違う(たぶん)と思って見ていた。


看守を買収するために偽札作りの達人と組むとか、発想から日本とは違う。


ギロチンのシーンはショッキング。


こんな所から脱出したいのはもちろんだけど、失敗した時を考えると恐ろしい…。


パピヨンは過酷な罰で体も衰えて行くが、最後には遂に成功する。まさに執念。





夜明けのうた  ★★★☆☆

1965日。97分。蔵原惟繕監督。いずみたく音楽。浅丘ルリ子。浜田光夫。岸洋子。松原智恵子。岡田真澄。


岸洋子の同名シングル(1964年、キングレコードより発売)を元にした映画。


緑川典子は人気ミュージカル女優。私生活では、作曲家の野上と不倫関係に悩んでいた。


そんなある時、脚本家の真木とプロデューサーの神山から、典子たちの不倫関係に酷似した内容の新作「夜明けのうた」が持ち込まれる。


激怒する典子であったが、利夫と千加子の純愛に触れる内に気持ちが変わっていく。


やがて典子は野上と別れる決意をし、「夜明けのうた」の出演を承諾するのだった。



白黒。


蔵原惟繕監督・浅丘ルリ子主演の3作「憎いあンちくしょう(1962年)」、「何か面白いことないか」と本作を「典子3部作」と呼ぶそうだ。


内容に関連はない。前2作を見ていたので、せっかくだからと本作も見てみた。


当時の若い人にはきっと受けたんだろうと思った。


浅丘ルリ子演じる緑川典子のキャラが魅力的だった。いつもきれいなのに加えて、本作では格好良かった。





グランド・イリュージョン 見破られたトリック  ★★★☆☆

2016米。130分。ジョン・M・チュウ監督。ジェシー・アイゼンバーグ。マーク・ラファロ。ウディ・ハレルソン。ダニエル・ラドクリフ。デイヴ・フランコ。リジー・キャプラン。モーガン・フリーマン。


前作※から1年。フォー・ホースメンが再び動き出す。


大手IT企業・オクタ社のイベントを乗っ取り、隠された陰謀を暴き出すのが目的だ。


しかし、会場に現れたホースメンを別の何者かが襲い、ホースメンはいきなりピンチに陥る。


何とか逃げ切ったホースメンの前に、死亡したはずのオクタ社の共同経営者・ウォルターが現れる。



※シリーズ第2作。シリーズものとは知らず、第1作は見ていなかった。


「オーシャンズ」のシリーズを思い出した。


邦画だと、「コンフィデンスマンJP」。


大掛かりな犯行と騙し合い。


現実離れした、創作ならではの話で楽しい。カラッと明るいのがいい。





君の顔では泣けない  ★★★★☆

2025日。123分。坂下雄一郎監督。君嶋彼方原作。芳根京子。高橋海人。西川愛莉。中沢元紀。石川瑠華。前野朋哉。ふせえり。大塚寧々。山中崇。


坂平陸と水村まなみは高校生の時に体が入れ替わってしまい、お互いに別な人間として生きてきた。


15年後、30歳の夏。陸として生きているまなみは、まなみとなった陸に、元に戻れるかもしれない方法を見つけたと告げる。



入れ替わりの話は他にも見たけど、この切り口は新鮮だった。


先が気になる面白いストーリーだった。


題材が身近でリアリティがある。自分に置き換えて色々と考えてしまった。





武士道シックスティーン  ★★★☆☆

2010日。109分。古厩智之監督。誉田哲也原作。成海璃子。北乃きい。石黒英雄。荒井萌。山下リオ。高木古都。賀来賢人。波瑠。古村比呂。板尾創路。


厳格な警察官の父への反発心から剣道に打ち込む磯山香織は、市の剣道大会4回戦で無名の選手・西荻早苗にまさかの一本負けを喫する。


早苗を追って東松学園高校入学した香織だったが、肝心の早苗は気楽に剣道を楽しむ普通の女子高生だった。


香織は、早苗に本来の力を出させようと奮闘する。



青春もの。


王道の、懐かしい感じのストーリー。


北乃きいが魅力的だった。





ベートーヴェン捏造  ★★★☆☆

2025日。115分。関和亮監督。かげはら史帆原作。バカリズム脚本。山田裕貴。染谷将太。神尾楓珠。前田旺志郎。小澤征悦。生瀬勝久。小手伸也。野間口徹。遠藤憲一。古田新太。


天才音楽家・ベートーベンの崇高なイメージは、秘書のシンドラーが捏造したものだった!?


本当のベートーベンは小汚いおじさんだった。どん底の自分を救われたシンドラーはベートーベンに心酔し、彼の崇高なイメージを作り上げようとする。


シンドラーの嘘は波紋を広げ、ついにはアメリカ人ジャーナリストのセイヤーが調査に乗り出す。



実話ベース。原作はノンフィクション。


バカリズムが脚本で、主演の山田裕貴はゆるい雰囲気で、ベートーベンは古田新太とあって、最初は福田雄一監督作品のような内容を予想していた。


見てみたら、思ったよりコメディ要素は少なくて、大筋は真面目な話だった。


これが実話ベースというのがすごい。


事実は小説より奇なりと言うけれど、まさにそんな感じだ。





Gメン  ★★★☆☆

2023日。120分。瑠東東一郎監督。小沢としお原作。岸優太。竜星涼。恒松祐里。矢本悠馬。森本慎太郎。りんたろー。小野花梨。星田英利。落合モトキ。高良健吾。吉岡里帆。尾上松也。田中圭。


門松勝太は彼女を作るために、周囲2kmに4つの女子高があり「卒業までの童貞喪失率120%」と言われる男子高・私立武華(たけはな)高校に転校してきた。


しかし、勝太が配属されたG組は落ちこぼれと問題児を集めたクラスで制服も他クラスとは違い、周りの女子高生には相手にされなかった。



コメディ。


ターゲットは中高生だと思うけど、何でも見る人なので見てしまった。


しょうもないと言えばしょうもない話だけど、結構面白かった。





雪風 YUKIKAZE   ★★★☆☆

2025日。120分。山田敏久監督。竹野内豊。玉木宏。奥平大兼。當間あみ。有村架純。田中麗奈。石丸幹二。中井貴一。


太平洋戦争を唯一、ほぼ無傷で生き残った奇跡の駆逐艦・「雪風」。


沈没した僚艦の乗組員、時には敵兵にも手を差し伸べ、必ず無事に帰ってくる「雪風」はいつしか「幸運艦」、「浮沈艦」と称された。



実話ベース。


まるで映画みたいな話。映画だけど。


戦闘シーンは少なめ。最小限の必要なシーンはCGをうまく使ってる。


アメリカ映画のようにはいかないんだろう。



竹野内豊、玉木宏など俳優は良かった。昔、よく日本人の俳優は軍人役がうまいと言われていたのを思い出した。


昔の映画に比べると、軍人にしてはちょっと柔らかいかも。この辺は求められる演技がそもそも違うか。


軍人の他に、ヤクザと刑事も言われていたと思う。最近はあまり聞かなくなった。