【今回見た映画】
ギターを持った渡り鳥(1959日)
カリガリ博士(1920独)
波止場(1954米)
美しい暦(1963日)
もしも徳川家康が総理大臣になったら(2024日)
堂堂たる人生(1961日)
あじさいの歌(1960日)
花と竜(1962日)
ドリームプラン(2021米)
チェーン・リアクション(1996米)
ギターを持った渡り鳥 ★★★☆☆
1959日。78分。齋藤武市監督。小林旭。浅丘ルリ子。中原早苗。渡辺美佐子。金子信雄。宍戸錠。
背中にギターを背負った「流し」の男・滝伸次が函館にやって来た。
用心棒として伸次を雇った秋津組の組長・秋津は地上げのために住民の立ち退きを命じる。
そんなある日、港で密輸取引を行ったボスは、取引相手と彼を同時に始末しようとする。
「渡り鳥シリーズ」第1作。
このシリーズは合計8作品が作られた。
8作いずれも刑事をやめてギターの流しとなった主人公・滝 伸次が、流れ着いた土地で女性と知り合ったのち、暗躍する黒幕を懲らしめて旅立つというプロットである。(wikiより。身も蓋もない書き方だ。笑)
同タイトルの歌もあってか、第1作が一番有名だと思う。
面白さは1番ってほどでもない。シリーズの全部は見てないけど、続編でもっと面白いのもあった。
シリーズってそんなものかと思う。
ここから、続編で受ける部分を発展させていった感じがする。
あとから見ると、第1作はおとなしめというか、地味に見える。
カリガリ博士 ★★★☆☆
1920独。71分。ローベルト・ヴィーネ監督。ヴェルナー・クラウス。コンラート・ファイト。
フリードリッヒ・フェーエル。リル・ダゴファー。
ドイツ北部。カリガリ博士はカーニバルで“眠り男”ツェザーレの予言を見世物として客を呼び込んでいた。
ツェザーレは自分の寿命を尋ねたアランに対して、明日の夜明けまでに死ぬと予言。予言は的中し、アランは何者かに殺される。
アランの友人で、一緒にカーニバルを見に来ていたフランシスは謎の究明に乗り出すが、実は全ては精神病患者であるフランシスの妄想であった。
白黒。無声映画。
まだ技術的に複雑な内容を表現するのは難しそう。その中で精一杯ひねった話になっている。
セットのデザインが個性的で、センスを感じる。
ヒッチコック監督など後の多くの人に影響を与えたそうだ。
昔読んだ手塚治虫のマンガを思い出す。
見た目がそうだし、時代的に影響を受けていただろうと思う。
あと、藤子不二雄とかも。
波止場 ★★★☆☆
1954米。108分。エリア・カザン監督。マーロン・ブランド。エヴァ・マリー・セイント。カール・マルデン。リー・J・コッブ。ロッド・スタイガー。
ニューヨーク。
元ボクサーの青年・テリーは兄・チャーリーの指示で八百長試合をしたことでリングを追われ、今はギャングのジョニーが支配する波止場で働いている。
ある時、テリーとチャーリーはジョニーに命じられて殺人事件に関わってしまう。
しかし、被害者の妹・イディと知り合ったテリーは、彼女に惹かれていき、やがてジョニーに逆らっても自らの信念に基づいて生きようとする。
白黒。
第27回(1954年の映画を対象とする)アカデミー賞では作品賞、主演男優賞(マーロン・ブランド)など8部門を受賞した。
同じ年の映画は他に「掠奪された七人の花嫁」、「ケイン号の叛乱」、「裏窓」、「麗しのサブリナ」、「ショウほど素敵な商売はない」、「禁じられた遊び」「道」など。
今でも残る映画がたくさん出ている。
ギャングのジョニーに従ってきたテリーだったが、イディの影響もあって次第に心は離れていく。
テリーがイディの兄の裁判で証言しためにチャーリーは殺され、テリーも波止場から締め出される。
映画は労働者たちがテリーに味方して終わるけど、うまく行かずに潰されてしまう可能性だってあっただろう。
ジョニーの側に立てば、長く支配を続けるにはもっと良い方法があったと思う。
70年以上前の映画ながら、理不尽な支配は今でも残っている。色々と考えるきっかけになる映画だった。
美しい暦 ★★★☆☆
1963日。88分。森永健次郎監督。石坂洋次郎原作。吉永小百合。浜田光夫。芦川いづみ。長門裕之。丹阿弥谷津子。奈良岡朋子。桂小金治。山岡久乃。
矢島貞子は女子高校生。ハンサムな武井先生や、尊敬するから化学の村尾先生等に囲まれて楽しく過ごしている。
ある出来事がきっかけで、貞子たちの演劇部はA高校の演劇部と合同公演することになる。
A高の演劇部には、以前に登山で知り合った田村邦夫がいた。
貞子は田村に惹かれていく。
青春映画。
吉永小百合は公開時18歳。同名の主題歌を歌っている。
アイドルみたいな可愛らしい感じ。
途中のテレビでは後楽園球場で巨人の長嶋茂雄が国鉄スワローズの金田正一と対戦している。
他にも、教師が他校の生徒を「不良」と称しただけで大騒ぎになったりするところなどは時代を感じる。
その後に発言した教師が改ざんとごまかしを試みるところは、今でも変わらないかもしれないけど。笑
もしも徳川家康が総理大臣になったら ★★☆☆☆
2024日。110分。武内英樹監督。眞邊明人原作。浜辺美波。赤楚衛二。GACKT。髙嶋政宏。江口のりこ。池田鉄洋。音尾琢真。小手伸也。長井短。観月ありさ。竹中直人。野村萬斎。
新型コロナで総理大臣が死亡。
政府はAIとホログラムを使って歴史上の偉人たちを復活させ、徳川家康を内閣総理大臣とした最強の内閣を作る。
うまく行っていたかに見えた“最強内閣”だったが、ある日織田信長が謎の“死”を遂げる。
正直、期待外れだった。タイトルはすごく面白そうだったんだけど。
せっかく、これだけ豪華な登場人物を揃えてるのに政治手腕を発揮するエピソードが弱かった。
もしくは、時代に合わなくて失敗するのでもいい。
この辺のエピソードが弱いので、全然引き込まれない。
後半、信長が“抹消”されてからの謎解きは良かったけど、これは歴史上の人物が出てくる面白さとはあまり関係ない。
歴史上の人物ならではのエピソードをもっと頑張って欲しかった。
原作は未読。文章なら印象も違うのかもしれない。
浜辺美波は良かった。この人は昔より上手になった気がする。
野村萬斎の徳川家康がイケメンすぎ。
絵的には小手伸也の足利義満が一番はまってた。
2時間の映画だからしょうがないけど、義満のエピソードも何か見たかったくらい、見た目が良かった。
堂堂たる人生 ★★★☆☆
1961日。97分。牛原陽一監督。源氏鶏太原作。石原裕次郎。長門裕之。芦川いづみ。中原早苗。東野英治郎。宇野重吉。
中部周平は、倒産寸前のおもちゃ会社に就職。同僚の紺屋小助、寿司屋の娘で周平と一緒に働きたい石岡いさみ等と共に奮闘する。
先日見た「天下を取る(1960日)」と監督、原作が同じだけあって、テイストも似てる。
石原裕次郎と長門裕之のコンビは今回も良い。
好評を受けて、続けたのかもしれない。
寿司屋のカウンターでタバコを吸っているところは時代を感じる。
周平(裕次郎)は子供の意見からヒントを得て、汽車のおもちゃを開発する。
最近はこういうおもちゃをあまり見なくなった。
そういえばおもちゃ屋も減った。しばらく前は、少し大きいスーパーには必ず入っていたと思うけど。
あじさいの歌 ★★★☆☆
1960日。105分。滝沢英輔監督。石坂洋次郎原作。石原裕次郎。芦川いづみ。中原早苗。大坂志郎。東野英治郎。
デザイナーの河田藤助は倉田という老人を助けたことから屋敷の外に出ることを禁じられた娘のけい子と知り合う。
けい子の母・倉田の妻は昔、使用人と駆け落ちしていた。それ以来、倉田はけい子の外出を禁じているのだった。
藤助と出会ったことで、けい子と倉田の人生は変わろうとしていた。
デパートの化粧品売場に藤助(裕次郎)が座って、販売員が「髭剃り後にウテナの男性クリーム」と言うシーンが登場する。
有名な「あたり前田のクラッカー」みたいなタイアップか。
先日見た「堂堂たる人生」(1961日)ではチキンラーメン。
「美しい暦」(1963日)では、「バーモン」という商品が登場する。これは馴染みがないので検索したら、ミヤリサン製薬から出ていた製品で、りんご酢と蜂蜜から成るシロップだそうだ。
この頃の日活映画ではタイアップが流行っていたのかも。
花と竜 ★★★☆☆
1962日。109分。舛田利雄監督。火野葦平原作。石原裕次郎。浅丘ルリ子。岩崎加根子。葉山良二。桂小金治。大坂志郎。
北九州の門司港へやって来た二十六歳の玉井金五郎は浜尾組へ入り、次第に頭角を現していく。
紆余曲折を経て金五郎は遂に玉井組を立ち上げる。
私は好きだけど、東映のヤクザ映画とは大分雰囲気が違う。好まない人もいるかもしれない。
ヤクザらしい迫力はしっかりあるんだけど、裕次郎はどこか優しそう。
最後の、血塗れの決闘シーンはかなりの過激さだった。
でもやっぱり、東映とは別物。日活はカラッとしてるのかも。
同じ原作で、1969年の映画化では高倉健が主演している(マキノ雅弘監督)。
まだ見ていないけど、こちらは情念のこもったいかにも日本のヤクザみたいな映画が見られそうな気がする。
ドリームプラン ★★★☆☆
2021米。144分。レイナルド・マーカス・グリーン監督。セリーナ・ウィリアムズ、ビーナス・ウィリアムズ他製作総指揮(共同)。ウィル・スミス主演・製作(共同)。アーンジャニュー・エリス。トニー・ゴールドウィン。ジョン・バーンサル。
テニス経験が皆無だったリチャード・ウィリアムズは2人の娘を最高のテニスプレイヤーに育てると決意。
独学でテニスの指導法を研究し、78ページに及ぶ詳細な計画書を書き上げる。
ギャングがはびこる治安の悪いカリフォルニア州・コンプトンの公営コートで、リチャードの型破りな指導のもと2人の娘ビーナス、セリーナは類いまれな才能を開花させていく。
ビーナス、セリーナ姉妹のことは、テニスのトッププレーヤーという以外の知識はなかった。
こういう家庭だったとは知らなかった。
日本のイチローや亀田親子のようだ。
言葉だけだけど、当時の選手名が懐かしかった。
サンチェス。ヒンギス。クルニコワ。カプリアティ。
チェーン・リアクション ★★★☆☆
1996米。107分。アンドリュー・デイヴィス監督。キアヌ・リーブス。モーガン・フリーマン。レイチェル・ワイズ。フレッド・ウォード。ケヴィン・ダン。ブライアン・コックス。
シカゴ大学のエンジニア・エディは、バークレー博士の率いる科学プロジェクト・チームのメンバーとして、水からエネルギーを生み出す画期的な技術を開発する。
しかし既存のエネルギーを駆逐する発明には反発する勢力も大きかった。
バークレイ博士が何者かに殺され、研究所も爆破されるという事件が起こる。
エディは身に覚えのない証拠がでっち上げられ、物理学者のリリーとともにFBIに追われてしまう。
直訳すると「連鎖反応」。
主人公は無実の罪で追われながら、協力者とともに徐々に真相を明らかにしていく。真犯人は身近な人物だった!
・・という、割りとありがちなストーリー。発明内容は爆発シーン以外の絡みはなく、“画期的”でさえあれば代替がきく感じ。
見る方もある程度お約束が頭にあって、展開も予想の範疇で進むんだけど、主人公にちゃんと感情移入できるので、ハラハラしながら楽しめる。テンポも良い。
キアヌ・リーブスが若くて格好良い。
公開時32歳。本作は「スピード」(1994年)、「マトリックス」(1999年)の間になる。
モーガン・フリーマンが良かった。