ヨガ | 群衆コラム

群衆コラム

耳目を惹きつけて止まない話題の数々。
僭越ながらお届けいたします。

パワーヨガなるものを市の講座で習っている。

 

「ヨガ」の頭に「パワー」がついているから、

 

どんなムキムキな人が講師だろうと思っていたら、

 

なんのことはない、

 

筋肉を感じさせないゆるい雰囲気の先生が

 

ゆるゆるの服をきて現れたのだった。

 

 

 

内容もパワーを感じさせることなく

 

ゆるーく進む。

 

終わってみると心地よい疲れが身体に残っており、

 

たしかにパワーをつかっていたとわかる。

 

ヨガをせずに聞いていたら寝てしまいそうな

 

エキゾチックな音楽とともに、

 

ゆっくりゆったり身体を動かす。

 

受講者は3、40人いるだろうか。

 

人気があるのもうなづける。

 

 

 

そう、ヨガは人気があるのだ。

 

とくに女性に。

 

それで思い出すのは、

 

自分がはじめてヨガというものを

 

目にしたときのことである。

 

 

 

NHKの教育テレビだったと思う。

 

当時はまだヨガはいまほど認知されておらず、

 

インドにどっぷりはまった人の一部が修行としてやるものと、

 

わたしなんかは思っていた。

 

「ストリートファイター」というゲームがあるが、

 

そのなかにヨガと名のつく技を繰り出すインド人風のキャラが出てくる。

 

手足が伸び、口から火を噴く。

 

ヨガとはそんなイメージだったのかもしれない。

 

がんばっていると手足が伸びて、火まで吹いちゃうような、

 

ようは摩訶不思議なものだった。

 

 

 

そんな摩訶不思議なものがテレビでやることは極めて稀であったので、

 

おもわずチャンネルを合わせた。

 

画面に映ったのは、髪を横に流し、黒いブリーフ一丁になった

 

ほぼ裸の男の姿だった。

 

1台のカメラの前でそのブリーフの男がヨガをする。

 

ただそれだけの低予算この上ない番組だったが、

 

インパクトはものすごかった。

 

 

 

この人のヨガはここちよいとかリラックスとかいったことと無縁だった。

 

「おーきくひといーき」と号令をかけ

 

「んーーーーーーー」を唸りながら息を吐く。

 

ポーズはどんなだったか忘れたけれど、

 

あの号令と呼吸は忘れられない。

 

その後、いろんなヨガ講師を見たが、

 

あれと同じ号令方式の人には会ったことがない。

 

テレビを見て「ヨガすげー」とは思ったが、

 

自分でやろうとは思わなかった。

 

ヨガってちょっとやばい世界だとさえ思った。

 

 

 

そのヨガが、いまや女性に人気の運動となった。

 

いまのヨガが本当なのか、

 

あのヨガが本当だったのか、

 

それはいまでもわからない。

 

なんとなくだけれど、あっちが本当のような気がする。

 

けれど、いま通っている講座はいい講座であると思うし、

 

黒ブリーフ一丁の先生がやる講座には出たくない。

 

本当かどうかは、どっちでもいい。