クリーニング屋 | 群衆コラム

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耳目を惹きつけて止まない話題の数々。
僭越ながらお届けいたします。

クリーニング屋を替えた。

 

まえはうちから近い、歩いて5分のところ。

 

いまはうちからやや遠い、歩いて15分のところ。

 

 

 

このふたつの店には大きな違いがある。

 

仕上がりの早さである。

 

どの位違うかというと、かかる時間の単位が違うほど。

 

 

 

うちの近くの店は仕上がりまで1週間はかかるといわれる。

 

「1週間は」という言い方にもあらわれているとおり、

 

1週間経ってもできていないこともある。

 

これが、やや遠い店のほうだと、わずか5時間。

 

あんまり早く仕上がるものだから、

 

預けた帰りしな、

 

「なるべく早く取りにきてください」

 

と念を押される。

 

それがあまりに強い調子なので

 

お客としては少しむっとするのだが、

 

毎日仕上がった服が山のようにくるのだという。

 

店員さんの背後にはたしかにもう

 

服をかけておけるスペースはなかった。

 

ようは感じが悪いのではなく、必死だった。

 

 

 

それなら協力しましょうという気になり、

 

クリーニングをお願いする日は

 

片道15分を2往復する。

 

午前に預ければ午後5時にはできあがっている。

 

こころなしか仕上がりもいい気がする。

 

受け取った服はまだほかほかとしており、

 

いかにもできたてなのである。

 

 

 

「近い」という理由で

 

クリーニング屋を選んではいけなかったと、

 

帰り道を歩きながら思った。

 

やや遠いおかげでいろいろと頭にうかぶ。