体力の背骨 | 群衆コラム

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耳目を惹きつけて止まない話題の数々。
僭越ながらお届けいたします。

幕末の人に比べると、

現代の人の体力は確実に衰えている。

少なくともわたしのは

比べものにならない。

いまの時代は

それでも生きてゆける。

電車やバスがあるのだから、

歩いて東京までいける体力は無用のものと

いえなくもない。



体力だけではない。

幕末にはあったけれど、

現代では無用のものとなった代表は、

剣術であろう。

これこそ、いまではあってもどうしようもない。

自己の鍛錬にはなるけれど、

立身出世の役にはたぶん立たない。



しかし、いっぽうで、

本当にそうだろうかとも思っている。

なぜなら幕末の歴史に名を刻んだ人々は

皆一様に剣術に長けた人たちだったからである。



坂本龍馬、桂小五郎、武市半平太など、

名前を出せばきりがない。

剣術に長けていたからと言って、

それで幕府が倒れたわけではない。

むしろ武力での倒幕はことごとく失敗に終わっている。



だから剣術や体力で

世の中が動くというわけではない。

でも、剣術をはじめとする体の力がなければ、

幕末の日本を動かすほどの力は

生まれなかったのではないか。

根拠はないが、そうだと思う。

頭で考えるだけの人に、

300年続いた国の体制が変えられたとは思えない。