ちょうどよい1キロ | 群衆コラム

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耳目を惹きつけて止まない話題の数々。
僭越ながらお届けいたします。

たった1日でできてしまった梅シロップ。

肝心のお味だが、

ちゃんとした梅シロップだった。

自分でいうのもなんだけれど、

おいしかった。



甘い飲み物がこんなに簡単にできるのならば、

年中作っておけば、

自家製のジュースとして重宝する。

梅はこの時期しかないけれど、

つけられるのは梅だけではない。

しょうがやリンゴ、レモンなどはどうだろう。

思いついたら、試したくなる。

試すには、いまある梅シロップを

早く飲まなければならない。



元手はわずか1キロの梅。

さいわいできたシロップはおいしい。

夏はこれから。

こんなのすぐに飲めてしまうなと思っていたら、

飲んでいるうちに、歯が痛くなってきた。

虫歯とは違うにぶい痛みである。

おそらく梅の渋みが関係している。



この痛みは、普段はなんともないが、

梅ジュースを飲むときと、

歯を磨くときだけジンジンと歯茎に響いてくる。

おかげで、当初の予想より

シロップの減りがゆっくりになってしまった。



痛みとおいしさは秤にかけても、

どちらが勝つというほどのものではない。

いまのところ痛みを忘れたころに、

ちびりちびりと飲んでいる。

この調子なら、ぜんぶ飲み終わるころには、

季節が変わっているかもしれない。

季節が変われば、地物のくだものが多く出回って

漬けるものには苦労しないことだろう。



梅は1キロでちょうどよかった。

これ以上あったら、

ちょっと辛かったかもしれない。

予想外のおいしさだったが、

辛さがいっしょについていくるとは、

これまた予想外だった。