山のように、ない | 群衆コラム

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耳目を惹きつけて止まない話題の数々。
僭越ながらお届けいたします。

お年玉はもらうものではなく、あげるものとなった。

親戚の子どもはもちろん、

両親、祖父母にもあげる。

大人にあげるものは少し考えなければならない。

金額よりも中身が大切と思っている。



祖父母には、暖かいズボンを買うことになった。

そのようなものを欲しがっているというのは、

実家に住む妹からの情報であり、

兄妹で祖父母を連れて

食事がてら買い物に行く。

これが今年のお年玉の形だった。



それにしても暖かいズボンなど、

どこにでも売っているだろうと思ったが、

そうではなかった。

売っているのと買えるのとは

また別の話だったのである。



子どもから大人まで、

広告によれば老人でさえも顧客となっている

洋服の量販店を訪ねた

うちの街にもいつのまに

こんなに大きな店ができたのか、と驚く。

見わたすかぎりの服、服、服。

これだけあって希望のものが見つからなければ、

どこへ行ってもないだろうと思える。



祖父母が所望している暖かいズボンのコーナーへ行く。

裏がボアになっており、外はナイロン。

いかにも風を通しませんというズボンがあった。

しかし、これはダメだとわかる。

ウエストとズボン丈のバランスが

祖父母の体型とあっていない。

ここにあるのはわたしが着てちょうどいい服ばかりで、

祖父母の年代の人には帯に短したすきに長し。



選び放題と思っていたのに、

現実を知ると、

一瞬で選ぶ余地がなくなった。

続きは次回。