雪の日の守護神 | 群衆コラム

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耳目を惹きつけて止まない話題の数々。
僭越ながらお届けいたします。

絶対的な抑えがいないチームは、


足下がおぼつかない。


プロ野球で、


抑えのピッチャーのやりくりに苦労するチームは


見るからにたいへんそうだ。




これと決まった人がいないから、


いまいる人の中で


この人が一番抑えに向いていそうかな


という人をマウンドに送り、


心配そうに成り行きを見守る。


送り込まれたピッチャーも、


打たれるかもしれないなあと


心配しながら投げているように見える。


そして、心配したとおりに打たれて、


ピッチャーもがっくり、キャッチャーもがっくり、ベンチもがっくり。


元気なのは野次を飛ばすお客だけという


悲劇の図が完成する。




わが家のくつ事情にも似たような構図がある。


必要最低限揃えてあるくつのどれもが、


水に弱い。


10年履いたコンバースのスニーカーは


ソールのどこかに穴が空いているらしく、


雨の日は出かけてすぐに浸水する。


これはふるいものだからしかたがないとして、


問題は比較的新しいくつも


すぐに水が滲みてきてしまうことである。




いちおうくつを買うときには、


これは水に強そうかなと気にしているが、


そんなわたしの見立てをあざ笑うかのように、


わが家のくつはすいすいと水を吸い上げる。




雨はまだいい。


雪はどうにも耐えられない。


雪は降ったときも降ってからも、


立体的にくつを攻撃してくるので、


もうやられ放題である。


このやられかたは鹿児島沖で


アメリカ軍の飛行機にめったうちにされた


戦艦大和を思い出させる。


そのくらい手も足も出せず、やられる。




今年もまた雪が積もる時期になった。


さらさらの粉雪ならいい。


いまのところべちゃべちゃの雪が多く、


今朝も外はべちゃべちゃの雪景色だった。




限界だ、と思った。


これ以上、切り札不在でやっていくのは無理だ。


そのときそのときを乾いたくつで耐え忍んでも、


水漏れの不安は解消されない。


どのくつも、雨、雪を苦手としている。


このままでは共倒れである。




こうして、水っぽい雪が地面を覆う日に、


水に強いくつを求めて出かけていった。


たぶん、


安くていいピッチャーはいないかと、


ドミニカあたりに出かけていくスカウトマンの気持ちである。