ワンルームトイレ | 群衆コラム

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耳目を惹きつけて止まない話題の数々。
僭越ながらお届けいたします。

駅の隣りにトイレがある。

たいへん豪華なトイレで、

トイレというよりはふつうのワンルームマンションの中に

便器が並んでいるというのが正しい。

個室の壁も立てず、

フローリングの床の上にただ洋式便器が並んでいる。

見た人は、これを不思議と思わない。

ただ、豪華なトイレだと思うのである。



そのトイレが激しく汚されるという事件が起きた。

汚されるというのは、正確ではない。

便器自体に汚れがつけられたわけではなく、

便器の中やまわりに大量のものが置いていかれた。

トイレに駆け込んできた人は、

予想外の光景に驚き、

あ、ここで用は足せないとあきらめる。



現場を見にきた駅員さんはとても悔しそうに、

私費を投じて作ったトイレなのにと言った。

え、この人が作ったトイレなのか、

どうしてと思ったのと同時に、

だからこんなに豪華なのかと納得した。



ここで目が覚めた。夢の話でした。

へんな話で申し訳ない。

しょうがないですよね夢なんですから。



こんな夢を見るのは、

トイレに行きたいと思っていたからである。

しかしあいにく布団の外は寒くて、出たくない。

出たいと出たくないのせめぎ合いが

明け方の夢になることは多い。

そしてそれはたいがいトイレに関するものである。



ぐっすり眠れた気がしない。

冬の朝はまだまだ続く。



書き初め、その4。これでおしまい。