アキバでQi規格のiPhone用ワイヤレス給電器セットが754円で売られていた。送電パッドと受電コイル、さらにUSBケーブル付きだから、かなり安い。この値段だったら、ということで調達し、電磁誘導方式でどの程度の給電能力があるのか試してみることにした。
現在、ワイヤレス給電については、このQi規格という電磁誘導方式が主流になっているが、今後の方式としてはA4WPによるAirFuelという磁界共鳴方式が主流になると言われている。
理由はAirFuelの方が給電面積が広く深く(高く)取れるということ、つまり送電受電間の距離を広く取れることがポイントであるが、6.78MHzという免許不要なISM電波帯域を使用するということを証明する法整備調整などがようやく終了したという段階なので、Qiに比べると磁界共鳴のAirFuelの出現は、相当出遅れていることは確かだ。いきおい、現在市場に出ているワイヤレス給電の方式は基本的にすべてQi規格のものである。しかし、使い勝手という点からいえば距離と場所に柔軟性がある方が使い易いはずなので、巷で言われている通り、いずれは磁界共鳴方式に統一されていくだろう。実際、AirFuelのアライアンスには電力を高効率で伝送制御するための回路を提供する半導体メーカーやパナソニック、ソニーなど国内外のエレクトロニクス機器メーカー、さらにパソコン、携帯スマホのLenovo、NTT-Docomoなどが参加している。
さて、くだんのQiによるワイヤレス給電セットを早速テストしてみた。

製品は中華製品。製品名が箱に書いてないので正しいかどうかわからないが、送電パットの裏に貼られたシールにはGPD-1011と書いてあるのでこれが正式名称だろう。シールに書かれた仕様は次の通り。
Input: 5V、2A
Output: 5V、1.5A
となっている。
箱の中には中国語と英語で書かれた使用上の注意の「ぺら紙」が一枚だけ入っているのが、これは単なる注意書きであって使用方法に関する記載は全くないので、この充電方式の原理的なことを理解していない人は使用する上で戸惑うかもしれない。
とはいえ接続は簡単だ。送電パットをマイクロUSBケーブルでACアダプタにつなぎ(ACアダプタは同梱されてない)、受電コイルをiPhoneのライトニング端子に接続し、iPhoneとケースの間に挟む。そして両者を隣接させると、マッチングが取れて送電ユニットの緑のLEDが点滅し始める。これでめでたく送電が開始。
な、はずなのだが実際にはそう簡単には行かないのである。
まず第一の問題は、充電中を示すLEDが点滅していても充電しない場合があるということ。
送受電間がカップリングされていればLEDが点灯するものの、十分な電力が供給できていなければ、充電は出来ない。つまりLED表示は当てにならないということだ。従って充電に十分な電力が供給されているかどうかを確かめるためは、電力供給が行われているかどうかをチェックする必要があるのだ。そこでチェック用として電流計を間に入れることした。尤も電流計と言っても、アキバで調達可能な両端がUSB端子となっている簡易型の電圧電流計で十分なので、それを用いることとする。
ところが次の問題は、受電コイルとiPhone間の電流が計測できないこと。
電流の計測箇所が送電側であればADアダプタと送電パッドの間に挿入して計測出来るのだが、本当に知りたい箇所は受電コイルとiPhoneの間ということが問題なのである。
つまり、受電コイルとiPhone用のライトニング端子はフレキケーブルで直結されているため、電流計をその間に入れられないことが問題なのである。もちろんライトニングのコネクタ(メス)とUSB-A(メス)のアダプタがあればよいのだが、手元にないしアキバでも殆ど見た覚えがないので入手は難しそうなのだ。
従って送電側での電力を管理するしかないのだが、まぁ送電電力と受電消費電力は概ね「比例的」な関係にあるはずなので、電流値の絶対値はともかく、相対的な差が判れば充電状況は分かるとしよう。
そうやって送電パッドへの電流供給を測定してみた結果、受電コイルへの給電点であるスイートスポットは極めて狭いことが分かった。また、LEDが点滅していても、実は充電していない場合が極めて多く発生することが分かったのだ。

実際、LEDが点滅していても充電しない時の電流値を見ると、極めて低い電流値となっている。これを見出すためには電流計が必須でなのだが、一般消費者には如何なものか。つまり、ワイヤレス給電商品としてはまだ発展途上と言わざるを得ないのだ。
ところで、これがQiの一般形なのかどうかを確認すべく、別の機種を調達してみた。こちらは送電パットだけで500円というもの。ただし、こちらもメーカー名はおろか商品名すらも不明だが仕様は(Input: 5V/2A、Output: 5V/1.5A)となっていて、上述機種よりも少し電力は大きい様だ。
これを用いて充電してみたところ、送電側の電流値は1Aを超えた。GPD-1011の最大値が0.9A程度だったので、それより大きな値となっていた。そこで今後はこちらの方を用いることにした。
結果、ポジショニングさえマッチングすれば、十分な伝送効率で充電することが分かった。ただし、そのポジショニングはこの機種でも相当にシビアであり、やはり電流計を用いて探るしかない。これは相当に厄介な問題であり、実用性としては無理があろう。
Qi製品に関するインターネット販売の掲示板などをみると、充電できないとか、或いは充電時間が気が遠くなるほど長いとかの投稿が極めて多いが、この理由は先に述べた様に充電を示すLEDが点灯や点滅していても、マッチングが不完全なために実際は受電していないという状態が災っているということなのだと考えらえれる。
おそらくこれがQi方式の限界なのだろう。一方、磁界共鳴方式は送受電間の距離やポジションはかなり柔軟だ。
それを考えると、ワイヤレス給電の本命は磁界共鳴方式だろう。
とはいえ、せっかく買ったワイヤレス給電装置なので使用することにしたのだが、iPhoneの様なミッションクリチカルデバイスへの充電にはこれまで通り有線による充電を行い、Qiによる給電は遊び的な使い方をしているiPadの充電に使うことにした。また、iPadに使うと送電パッドに多いかぶせるように置くことになるのでLEDの状態が見えなくなるため、写真の様に裏返しにしたiPadの上に置く様にした。

磁界共鳴方式が出るまでこれを使い続けれるか、それを待ちきれずに再び有線式に戻るか、さてさて。。。