置くだけで光る、「バッテリーレス型フォトスタンド」 | プロムナード

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スマホ用ワイヤレス給電が登場して久しい。自分が初めて見たのは2010年頃、毎年米国ラスベガスで開催されているCES(Consumer Electronics Show)のNorth Hallの会場だったように思う。主に中華系の企業からの展示が多く、既に2012年頃には百花繚乱だった。その後も電器量販店などでは、2台を同時給電するものなども含め、多種の装置が並んでいた。

これらはすべて電磁誘導によってワイヤレスで給電するQi規格のもので、現在までに規格も上がってきており、主流である。その間、Qiよりも位置決めなどの使い勝手の良いAirFuel(旧A4WP)という磁界共鳴方式も登場したのだが、既にQiがデファクトスタンダードとなっていたことや、iPhoneがQiを採用したことなどから市場ではQiが一人勝ちとなっている。

このQiのアプリケーションは、もっぱらスマホ充電用途が主流であるが、先日見学した「ライフスタイルWeek」という展示会場で、バックライト付きアクリルスタンド、通称アクスタを見ると、、これに使えると思い、早速やってみた。会場で見たアクスタは、すべて電池式だったので、それをワイヤレス化しようという試みである。

というと何とも大げさなのだが、ネット販売などで調達できるQi対応受電モジュールにLEDを付けるだけ。

LEDは、手元にあったUSBライトを分解して取り出したLEDモジュールを用いた。ダイソーなどの100均で売られているものだが、1.5㎝くらいの丸い基板に面発光型LEDと電流制御のチップ抵抗が2個ずつ実装されている。原価は100円もしないが、手作業でこのサイズに収めるのはほぼ不可能だし、作る手間を考えれば安いものだ。

受電モジュールは受電コイルと制御及び保護回路、5Vへの昇圧回路が搭載されたUSB端子付きのモジュールを用いた。最近はスマホに受電モジュールが組み込まれているので、一般量販店で調達できるのは送電側だけだが、受電モジュールはアキバにあるパーツ屋やネットでも調達可能だ。売られているものはスマホ対応用なのでモジュールから出ているフレキの先にUSB端子が付いているが、今回の使用ではUSB端子は用いないので、USBコネクタは除去し、そこにLEDモジュールをリード線でハンダ付けした。

 

受電コイルとモジュール

 

USB対応の100均LED

 

今回ノアクリススタンドは、汎用性を鑑みて、キャン★ドゥの「推し活 カードが飾れるスマホスタンド」というのを使った。

 

 

 

プリントされたアクスタではなく、自分で選んだ写真を飾れるスマホスタンドである。サイズも安定感もある上、このスタンドの底面の大きさが受電モジュールとほぼ同じ大きさなので、モジュールを貼り付けるのにピッタリだ。貼り付けた後、背面が机とこすれても良い様に、受電モジュールの裏側に薄い樹脂の板を切って補強した。このスタンドを市販の送電モジュールの上に載せれば、LEDがワイヤレスで点灯するという仕組である。

このスタンドを組み立て、カードケースの背面に先ほど分解したUSBライトのキャップを粘着テープで貼り付け、その上にLEDモジュールを載せて完成。このキャップは表面が緩い曲面となっているので、LEDの投影方向を微調整できるのが有難い。

 

側面から見たLED搭載Qi送電ユニット

 

送電中の電圧電流値



このスタンドのメリットは、文字通りワイヤレス給電方式なのでスタンド側が無電源であることだ。電池は使っていないが置けば光るというのがウリ。

 

出来上がり。松尾美佑のスタンド

 

 


田村真佑のスタンド

 

こんな感じで、既存の技術を少し組み合わせるだけでも、これまでなかったものが作れるのは楽しい。