LEDペンライトの特性評価 - 発色別電圧電流及び発光時間測定 | プロムナード

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注: 本投稿はその後改訂版があるので、2021年3月21日の最新版もご参照ください。最新版ではRGBWタイプの評価データも併せて記載してあります。

 

 

 

ミュージックライブ会場の必携品といえば、ペンライト。サイリウムと呼ばれることも多いが、乾電池駆動によるLED発光方式のものはペンライトという言い方が正しい様だ。ただ、英語でペンライトという言い方はなく、もっぱら「Stick Light」と呼ばれているらしい。

さてこのペンライト、ライブ参戦者にとってはまさに「ライトサーベル」なのだが、実際のライブ参戦でそれが点灯しなかったり、或いは点灯していても途中で力尽きることがある。それに伴って、持ち主本人も灯りと一緒にしょんぼりしているのを見ることもしばしば。ライブのだいご味は、やはりステージとの一体感にあるので、所持していても使えないという無念さは察して余りあるものがある。旅行先でカメラが故障するのと同様だ。

そこで、ライブ参戦に先んじたペンライトのメインテナンス方法及び心掛けをメモっておく。

1. 電池の交換は、必ず総て新しい電池に交換すること(古い電池を混ぜないこと)
2. 乾電池と接触するペンライト側の電極は、電池を入れる前に洗浄しておくこと
3. 新品の予備電池を用意しておくこと(現地の暗がりで交換作業を行うと乾電池を落下させることがあるので、先に包装紙から出しておくこと)
3. 暗闇でも電池の交換が出来る様に電池ボックスの開閉方法や電池の挿入向きを事前確認しておき、目を閉じて電池を交換する訓練をしておくこと


以前、下記のページにLED各色別電流値のグラフを投稿したことがあった。

 

https://ameblo.jp/millimeter-wave/entry-12147675144.html
 

この測定に用いたペンライトは(株)ルミカ製のLUMICA-2というペンライト。単四乾電池3本を入れて使用するもので、ボタンによってレッド、ホワイト、チェリーピンク、ピンク、パッションピンク、バイオレット、グリーン、エメラルドグリーン、ブルー、パッションブルー、イエロー、オレンジの12種の色を発光出来る逸品である。

この測定条件としては、新品乾電池が装着されているという仮定で電源電圧を4.5V(1.5V x 3本)としたことと、乾電池の場合には使用時間が経過すると内部抵抗が増加し、それに伴う電圧降下によってそれぞれの色の測定条件、つまり電源電圧の値がバラバラになってしまうのだが、総ての色の電源電圧値を合わせるために定電圧電源を用いたことだ。

このグラフを再度掲載しておく。

 

ペンライト色別電流値


グラフに表されている値は、各色ごとの電池の持続時間を相対的に表すとみていい。

 

図からRGBという光の三原色は単体発光だけとなるので消費電力が小さく、RGBすべてをフルに点灯させた混色で得られる白色は消費電力が大きいということなどが読み取れる。

ここで表されているグラフは飽くまでも相対値であるので、実戦での電池消耗に伴う電圧降下による消灯の閾値は分からない。そこで次に、会場でペンライトをずっと点灯し続けた場合という仮定で、電池の消耗に伴う電圧降下による電流変動を調べてみた。ここでも電源は定電流電源を用いた。

光の三原色以外の光はすべてRGBの混色で作成されているので電圧降下が生じると電流が減少し、RGBのうち、どれかの光が暗くなると混色の色は変化する。我々はライブ会場での使用経験から、白色は電池のヘタリに伴って赤くなって来るし、紫色はピンク色へと変化する事を知っている。今回の測定は、これを実際に電圧値で確かめようというというものだ。この結果を以て、色の変化を確認すれば電池のヘタリ具合を目視で確認できる様になる。

実際に測定してみると2.2Vが最低電圧値で、それを下回るどの色も発光しなくなることがわかった。これがLUMICA-2に於ける閾値となる。そこでこの値を最小値とし、三本の乾電池の合計電圧である4.5V(1.5V x 3)、これが最大電圧となるわけだが、この2.2Vと4.5Vの間に於ける電圧別の電流値を0.1V毎に測定してグラフ化したものが次の図である。通常このような電圧毎の電流グラフをV-I曲線、またはV-I特性といい、被試験物の特性評価に用いられる。



色別電圧電流特性(V-I特性)


ここでは実際の電圧降下を時間軸での経過としてイメージできるように、横軸の値を反転させて左端の値を大きくして表した。測定に当たっては、ここでも電流値の計測時の電圧を一定に保つために定電圧電源を用いた。

このグラフには12色総てを表してあるが、数値が重なる部分があって見難いため、これらの中からRGBのみ抜き出したグラフを次に示す。

 

これを見ると、我々が経験的に知っている事実、即ちライブも終盤に近付くとペンライトの白色が赤っぽくなることや、電池がヘタると青が点灯しなくなる理由なども、この図から読み取る事が出来る。

 

 

RGB電圧電流特性(V-I特性)


実際にこの計測データが直接役に立つということではないとは思うが、各色の特性を理解しておけば、「残念なこと」に遭遇するリスクは軽減出来るだろう。

さて、実戦での最も具体的な懸念事項は実践に臨んでの電池の持ち時間だろう。次はそれを測定した。

測定に際し、この場合は実際の場面を想定して市販の乾電池にて時間経過による電圧電流の変動を測定した。使用した乾電池は、一般に最も安価で入手できる百均ダイソーの単四電池。もちろん新品だ。使用期限は、推奨期限7年と書いてある通り、2023年12月となっている。

 

ダイソー乾電池


測定した色は、最も電流値の大きい「白」とした。これで測定しておくと、その他の色であればこの時間より長持ちすることが先のデータから明かである。

乃木坂46の今年最大のイベントであった東京ドームライブ最終日のアンコール時に、運営によるライブ前の「合図によって客席のペンライトをすべて消し、椅子に印のある方はペンライトを白色にして下さい」というメッセージに基づいて、ステージ上にいるメンバーたちへ人文字による「乃木坂46 アリガトウ」というメッセージを送り、メンバー達を号泣させた瞬間は、まさにステージと客席が一つになった乃木坂46歴史に残るイベントであったと思う。因みにこの文字の、向かって右上にある「6」の文字の一番右上端は小生のペンライトだ。

 

乃木坂46真夏の全国ツアー2017 Final! 東京ドームライブ最終日


このイベントに及んで、ペンライトが白く光らず焦った輩も多いのではないだろうか。無理もない、3時間半のライブに於ける最後のイベントだったため、、新品ではない電池が使用されている場合には、電池も相当ヘタってていたことだろう。

 

小生、このライブイベントの前にSNSを通じて上記のメインテナンスの注意事項を呼びかけておいたので、それを見た人は留意頂いているものと思うが(実際、その投稿を確認したという方もたくさんいた)、そうでない人はクライマックスに及んで辛酸を舐めたことと思う。

 

その意味、乾電池の消耗データを頭に入れておけば、早めの電池交換によって楽しくライトサーベルを振る事が出来るようになるはずだ。それによって、心残りのないライブを楽しめる。そこで、具体的な乾電池の寿命を測定することにした。


ところで、この電池寿命測定を行うためには4.5V以下という低電圧での測定を行う必要があり、新たに電圧電流計を作成した。この電圧電流計は0~100V、0~10Aの測定結果を表示する中華製のLEDパネルを用いたものであるが、パネルを光らせるためには5V以上が必要となる。パネル表示電圧を被測定電圧から取れば簡単に作成可能なのだがパネル表示電圧が被測定電圧に支配されてしまうため、自ずから被測定電圧は5Vが最小値となってしまうので、今回はパネル表示用の電圧を被測定電圧から取らずに外部から供給するように作成した。

 

自作簡易型電圧電流計

 

測定に当たっては、最も電流値の大きい「白」を発光させた。これで測定しておくと、その他の色であればこの測定時間より長持ちすることになる。

この測定器を用いて時間軸による白色の電圧電流変動を測定した結果を次に示す。なにしろ簡易型の測定器なので、大体の値として理解しておいた方がよさそうだが、傾向は読める。

 

時間経過電圧電流特性(Time-I/V特性)


この図と、先に示したV-I特性とを見比べてみると、使用開始から5時間半の経過で乾電池の電圧が2.5Vまで降下し、RGBの混色によって作られる白色のうち、青が消灯して赤と緑のみの点灯となり、いきおい高電圧時には白色であったペンライトのLEDが赤と緑の混色である黄色に変わってしまうことや、6時間15分経つと更に緑も消灯し、LEDの光が赤に変わるという色の変化が分かる。そして、

 

6時間30分が経過すると、すべての色が消灯する。これが即ち、このペンライトの最大持ち時間であるということを表している。

もちろん、これは白色を連続点灯させた場合の時間を表すものなので、それ以外の色での点灯であれば、電池は6時間半以上持つだろう。また、途中で消灯させれば電池の復帰が起きるので、更に電池寿命は延びるはずだ。


従ってこの値を最も過酷な状態使用での持ち時間として考えればよい。また、乾電池に就いても長時間使用を謳っている電池も市販されている様なので、それを用いれば時間は延びると思う。

これらのデータがライブでの電池寿命を予測するためのアドバイスとなれば幸いだ。というか、自分のためでもあるのだが。