しかし、実は地震よりも火山の噴火の方が後遺症としては甚大な被害を及ぼすのではないか、と思う。
御嶽山が噴火してから数ヶ月経つが、活火山がたくさんある我国に於いてはもっと大規模な噴火が起きてもおかしくはないのだ。
日本にある火山は、過去数千年というインターバルを経て活動を再開した火山もあるため、過去1万年間の噴火履歴で定義すべきとのことから、活火山の定義を「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」とし、今年大いに話題となった西之島などの海底火山も含め、東西南北の活火山数を総数110とした(気象庁ホームページより)。
これは、日本の土地面積は世界全体の0.25%であることに対し、火山数としては実に7%もあるということを意味している。
活火山の恐ろしさは、後遺症が極めて甚大であることだ。その影響によって生物の淘汰をもたらすことすらある。これは地球規模での災害であるが故、人類がそれを制御することは不可能だ。一方、人類と言う以前に日本としての懸念も大きい。
産総研のレポートによれば、巨大カルデラ噴火が九州で発生した場合、高温の火砕流が噴火から2時間以内に700万人の人口域を埋め尽くし、火山灰は偏西風にのって本州全体へと降灰、交通・ライフラインが麻痺するために、本州住民の救援活動はほぼ絶望的である」という。この様な巨大噴火は日本列島に限っても数万年の間隔で発生事例が認められる.噴火によって、噴出物が堆積した地域の動植物に甚大な影響を及ぼすのみならず、地球的規模での気候変動にまで影響が及ぶのだ。
最も懸念されることのひとつは、発電所への影響だろう。水力や風力のみではなく、太陽光発電もである。発電所が陥落すれば、経済どころか多くの人命も瀕死の状態となることは言うまでもない。
大量の降灰が起きれば、ダムに火山灰が堆積し発電用の水車への給水が著しく困難になる。風力発電の場合にはプロペラが故障し、太陽電池は降灰が雨で固まり、太陽電池パネル表面を覆いつくして発電が停止する。更に大量の火山灰によってインバータのフィルタが働かなくなる。火山灰は通常の塵埃と異なり、雨水で固化するのだ。
「万が一でも大丈夫」という主張は、先の原発であっという間に崩壊した。地震国、そして火山国に於いて万が一の安全は、皆無なのである。
【電力中央研究所が発行する調査報告書及びヒアリング結果 平成24年10月】
■湿った火山灰粒子が碍子に付着すると絶縁特性が低下し、漏れ電流が増加してせん絡(フラッシュオーバー)が発生し停電する。停電事例は、雨天時、霧中の噴火、積雪のある火山の噴火による降灰で発生している。
■降下火山灰による停電は、低圧の配電網では1~2kg/m2(比重1なら層厚1~2mm)の降灰量でも発生している。各事例では降灰と同時、または直後に雨が降るか、霧が発生し、停電に至った。
■碍子の形状や設置方法により火山灰の付着の仕方が異なる。高圧の送電設備は碍子の傘が大きく、火山灰が奥まで吹き込み難いので低圧の送電設備よりせん絡に至り難く、水平に設置された碍子など特定のものにせん絡が発生する。
■我が国の火力発電所のガスタービンは、かつては、野外に露出していたが、現在では室内に設置しフィルターを装着している。そのため、フィルターが目詰まりするまでは、使用可能。ただし、降灰が大量かつ長期継続した場合には、フィルター交換、洗浄等のため停止せざるを得ない可能性がある。
■水力発電は、河川に土石流のような粒子が粗いものが流れ込んだ場合、タービンの目詰まりを起こすことが知られているが、火山灰の場合は粒子が細かいためほとんど影響が無い模様で、事例を聞いたことはない。
この様に、危惧する一方で楽観的に見ているきらいもあるのだが、降灰が大量である場合については述べられていない。大量に降灰した場合でも問題ないとは言い切れないのだ。
発電に限ったことではない。河川への降灰による上下水道への影響や、交通機関、特に鉄道や道路への影響は甚大であり、即ち大都市は活動が麻痺するということを意味する。
これに対する対応はどうあるべきか。残念ながら妙案はない。しかし、巨大隕石が衝突する確率よりずっと高いということは理解しておく必要があろう。
