古典力学の応用による便秘対策 -アメリカ出張でわかったこと | プロムナード

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「それだ!」 

いつだったかテレビを見ていたら、「便秘のときには、かかとを上げると排便しやすくなる」と言っているのを見て、はたとひざを打ったニュートンの古典力学が示唆する通りなのだ

小生、単身で米国出張に行くことが多いのだが、時差ぼけには強いくせに便秘になることがよくある。その原因は食事の内容だと思い、Safewayなどのスーパーに行ってヨーグルトを調達し、ホテルの朝食で毎朝用意されているヨープレット以外にも摂るようにしたり、意図的に繊維質のものを食べるようにと心がけてはいたが、何れも根本的な解決にはなっていなかった。なぜ便秘になるのか、よく分かっていなかった。

しかし、「かかとを上げる」ということで理解できた。

左の図(1)は、便器に座っている通常の排便姿勢だ。このとき、大腿骨は図1の様におおむね水平となっている。即ち肛門にかかる力は(1)に示す「いきみ力」と体の胴体部および頭部の合計質量と地球引力との合成ベクトル量だけとなる。

もちろん、ここでの引力はいきみ力と比べるとはるかに小さいものであるから、大きな要素ではない。早い話、たとえ逆立ちしていても、いきむだけでウンコはできるはずだ(やったことないからわからないが)。但し、微妙とはいえ力学的には関与するので一応記載しておくことにする。

さて、ここで踵を上げる(図2)。するとこの図でいうと膝が上に上がるため、地球の引力によって大腿骨の右側に力が加わる。よって、肛門にかかる力は(2)+(3)、および引力との合成ベクトル量となる。これにより、図1の姿勢と比較して少ない「いきみ」で効率の良い力が肛門に働く。

更なる相乗効果としては、踵を上げると重心を保とうとすることにより上体は垂直となる。即ち肛門に対して更に鉛直方向の力が加わる(4)+(5)。(5)と引力は鉛直方向に同位相であるため、これらの合成ベクトルは位相差を持つ力の合力ベクトルでなく、単純に加算された値となる。

これらのことから、踵をあげることにより排便時のエネルギー伝達効率は大幅に改善される。

そこで思い出したことは、米国のホテルの便座の高さは彼等の平均身長、足の長さを慮って、日本の便座よりも位置が高いということだ。

翻っていれば、小生にとって、便秘の原因はそこにあると思う。つまり当初の段階から図4の様に肛門にかかる力は(2)の力であり、この力は図1の(1)よりも小さな値となっていたのだ。

であれば、便器の高さが高いときには踵をあげればよい。 或いは、便器の足元に足を置く台を用意することによって、便秘は飛躍的に改善すると思う。

このように、人間の普通的な生活に於ける問題点は、古典力学で解決できることが多いかもしれない。