送電線の電界 -格安電界強度計で遊ぶ (その2) | プロムナード

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電界強度計を持って町に出よう。

電界の影響というと、誰しも興味があるのが、送電線の下ではどうなんだろうということ。これは実験というか実証というか、大変興味深いテーマで、手に入れたら是非試してみたかったことだから、早速これを持って送電線へと向かった。

なにしろ、小生の自宅から比較的近いところに66kVの配電送電線があるし、少し足を延ばせば154kV、250kV更に500kVの送電線もあるので、実測には困らない。

ただし、実測といっても、以前にも書いたようにこの強度計には単位が書かれていないので、測定した結果について何の説得力もないのだが、相対的な値として把握することは可能だ。

という程度ではあるが、様々なことが分かったので、メモしておく。

まず向かったのが、東京電力の新古河線という500kVの送電線。これは新所沢変電所と群馬県の新古河変電所を結ぶ送電線で、新古河変電所側が老番となっている。鉄塔の真下、通称「結界」というが、ここへの立ち入りについては東京電力の場合には禁止されていないところも多く、中には歩道まで完備されているところもある。従って、鉄塔そのものに触れることはもちろん、その下でお弁当を広げることも可能なのだ。

実測の結果は次の通りだった。


素晴らしく期待通りの数字が出た。即ち送電線の真下では、高い数字が表れたのだ。しかも高さを変えると、確実に表示される数字が高くなったり低くなったりし、地面まで下げれば表示が「0」となる。実際、電線に近いほど、電界強度は高くなる。

これは楽しい。わずかな移動だけでも、表示される数字は著しく異なってくるのだ。電磁気学で学習したように、電界は距離に反比例することが分かるのだ。ただし、正確に測っているわけではないので(しかも表示される数字の単位が不明)、実際の数字として反比例しているかどうかは不明だが。。。

次に、結界に入ったのだが、ここでは思わぬことが起きた。


これまでなんとなく結界の電磁波は高いもの、と思っていたのだが、実測してみると、なんと電界の値は「0」。

つまり4本の鉄脚に囲まれた地域は電界が存在していないのだ。これには驚いた。この「0」という値は、四角のどこでも同じであり、高低差に拘らず、「0」なのである。ところが、結界の外にでる、つまり鉄脚の外側に出ると、突如として高い値を示すのだ。つまり、この四角い範囲だけがすっぽりと電界が抜けているということになる。

これはいったいどういうことなのだろうか?電界がシールドされているのだろうか?或いは相殺されているのだろうか?因みに送電は三相交流で送電されているので、磁界は相殺されていると思われるが、電界は相殺されていないはずだ。それは結界を離れれば電界強度計の表示が突如として高い値を示すことでもわかる。

従って、相殺されているというのは考えにくい。ではシールドなのか?

試しに結界から携帯電話をかけてみた。ちゃんと通じる。ということは、少なくとも高周波についてはシールド効果はまるでないということを意味している。であれば、鉄脚とそれをたすき掛けしている鉄材がシールドとなっているということなのだろうか?

電子レンジの場合、窓に網がかかっているが、あれは2.4GHzの電磁波に対する立派なシールドの役目をしている。それを考えると、電磁波の周波数が50Hzと大変低いので、鉄脚程度のものでもシールドとなっているということなのだろうか?

因みに、別の結界でも試してみた。写真は東京電力上尾線の鉄塔の結界である。上尾線は、桶川市の加納にある東京中線から分岐して上尾変電所に250kVを供給する送電線であるが、この結界でも結果は全く同じだった。つまり、結界での電界は「0」だった。


この謎については仮説も実証もされていないので、今後の課題としよう。


参考:
人が普通に立ち 入ることができる場所で送電線下の地上1mにおいて3キロボルト/メートル以下 (電気設備に関する 技術基準を定める省令:経済産業省)法令では6万Vの送電線の場合は最低地上高は6m以上(屋根上から3m)と規定されている。このため、電線直下の電界強度は1mあたり1万ボルト(身長160cmの人は頭から脚までに1万6千ボルト)の電圧がかかっていることになる。通電している限り常時この電圧がかかっているのだが、これによる影響は電気学会でも公式見解が公表されていない。