男女や年齢を問わず、世の中に虫嫌いはたくさんいる。小生的には彼等を蔑む気は全くなく、むしろかわいそうだと考える。
そもそも生まれつき虫嫌いという人はいないはずだし、どこかの段階で虫嫌いになってしまったのだろう。それには理由があるわけで、恐らくその大半は親や育った環境に虫嫌いがいたことが原因ではないかと思うのだ。そういう境遇にあって、
他人の嗜好を押し付けられた結果として、虫嫌いとなる。これはもう不幸としか言いようがない。
気持ち悪いという感覚も同様だろう。「虫にかぎらず、ミミズやヘビをキモイと思うということも同様だろう。
虫がコワイというなら、理解できなくはない。急に襲ってくるとか、突然増殖して足の踏み場がなくなってしまうとか、おぞまし系のホラー映画の様な場面に出くわすとすれば、それは確かに怖い。
しかし、ミミズが人間を襲ってくることはないし、ヘビだって徒党を組んで襲ってくることはないだろう。だから、何がコワイのか、或いはキモイのか、小生にはどうしても理解できないのだ。
先に述べた様に、このキモイコワイについては、本人の意思というより、両親や周辺の人たちの価値観、感性がそのまま伝えられてしまった結果ではではないか、と考えている。両親のどちらか一方が、或いはご両人とも虫が出る度に「きゃーきゃー」言っていたら、子供としても影響を受けてアタリマエだと思う。
この本は、講談社が出版した学習大図鑑シリーズの一つ、「昆虫の図鑑」だ。
小生が小学生低学年の時、母親に買ってもらった本なのだが、小生の蔵書の中でダントツに古い本だ。
当時の頃の本なんて他には全くないけど、この本だけはずっと本棚においてある。なんというか、昔の図鑑って極めて写実的というか、逆にシュールと云うべきか、とにかく表紙はこんな感じだった。
この本を見て思うことは、
今日びの虫嫌いの母親だったら、子供が虫に興味を持った途端、「そんな気色悪いものに興味持つんじゃねぇよ」と、興味心を根元から刈り取ってしまうことだろう。ところが幸いにして、拙宅ではそういう仕打ちはされなかったのだ。
逆に、母親には教えるつもりが毛頭無かったから、自分で調べろということだったのかも知れないが、いずれにせよ小生の興味の芽を詰まれることは無かった。これが今日の自分を作る原点となった。自分が理系に進むきっかけの大きな一つであった。
親はよく「自分の子供は自然の中で遊んでいるから、自然には親しんでいる」と思って満足している。それはそれで間違ってはいないのだが、ただ単に遊んでいるだけだったら、はっきりいって他の野生動物の子供達の行動とあまり差がない。サバイバルっぽいことには強くなるかもしれないが。
しかし、重要なことは、彼らが遊んでいるときに発見したことや考えたことを、あとで調べたり整理することができるかどうか、その機会が与えられているかどうか、なのだ。
ここが分かれ目。もしも後々調べる機会がなければ、子供の好奇心や向上心、探究心、想像力といった能力が発達しなくなってしまうのです。
子供がそれらについて調べる機会を持つとか云々の前に、そもそも見ることや近づくことから遠ざけてはいませんか?
こんにち、昆虫採集を行う子供が激減しているという。上述の様な虫嫌いな親御さんが増えていることもあるのかも知れないが、とても残念なことだ。別に昆虫採集を奨励するということではないが、身近に接する本当に良い機会が失われていることが残念でならない。
「殺生はよくない」と言うオトナも多いが、子供の頃に虫を捕まえて殺しまくった輩は、子供心なりに命の尊さや不思議さを知るものだ。結果、彼等が大人になった時には殺生をしなくなる。逆に言えば、
残虐な犯罪を起こすオトナこそ、子供の頃に「殺されること」を見たことがないからではないだろうか。
昆虫採集によって乱獲されることで絶滅する可能性があるというオトナもいるが、年々産出される虫の数、子供たちの昆虫採集ごときで絶滅するわけがない。それよりも、大人達による森林などの昆虫棲息地を乱開発する方がずっと深刻だ。
それと、虫を直接触ることで、彼等の、つまり生命体の生きる力を体で知ることが出来るということも、自然との接点を持つという意味で重要だ。
テレビや映画などの媒体を通じて見ることととは大違い。コガネムシにしてもカブトムシにしても、体の大きさと比べてその脚力の大きさは驚くべきものがある。そういう感覚を体で知るには、彼等の体に直に触れるしかないのだ。
人間は様々な技術革新を行って今日の文化を築いてきた。しかし、そろそろ思い込みだけで発達することに限界が見えてきた。今、革新的な技術を得るとすれば、他の生物から教えてもらうことが一番だ。じっくり観察して何かのヒントを得ること、それが大切だと思う。
子供が昆虫から何かを教えてもらうというのは難しいことかもしれないが、観察するという習慣を手に入れられれば、大人になったときに、彼等に教えてもらうことが可能になるだろう。虫に限らない。ごく身近にいる虫たちで経験しておけば、他の生物や、もっと広く自然現象に対しても、それを観察するという行為が身につくというもの。これが新たな原理や技術を取得する、最も大切な入り口なのだ。
偶然は準備をしていない人の前には現われないという。
親や周辺達が子供たちの「虫に親しみ、観察したり、会話をするという権利」を自分の価値観で剥奪してはいけない。
子供って、親が教えようが教えまいが、色々なことに興味を持ちます。親にとって大切なことは、その興味をゼッタイに否定しないこと。自分の趣味じゃないからとか、合わないからとか、そういう自分勝手な価値観で子供の向上心を砕いてはだめ!。
現在小さなお子さんのいる方やこれから親になる方にアドバイス。お子さんが何かに興味を持ったら、
リスクばかり考えずに、その向上心を伸ばす様に仕向けてあげて下さい。

