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詩的大和

笑顔の中心に世界を叫ぶ


ぼくはかつてオートバイに乗っていた
いや、乗っていた時もあったし、
でも大半は乗っていなかったかもしれない

でもそんなことはどーでもよくて、
いつでも乗れるオートバイが横に置いてあるだけで
自由な気分になれた

いや、東京のくそったれ連中はオートバイなんていらないよ
なんてバカなことを言う
ある人は、自転車のほうがエコだよだとか

またある人は、オートバイはラクだからズルいよ
なんてことを言う
まったくまったくまったく

オートバイがラクダ?
なんて、オートバイに乗ったことがない人の言うことだ
言うまでもなく、オートバイはラクダじゃない

屋根つきで、座席にもたれながら音楽をガンガン鳴らして走る車とも違う
雨が降れば雨に、雪が降れば雪に、夏には夏の大変さがある

何もオートバイがアウトドアだとか主張するつもりはない
ただ、そういうタフな乗り物で
ぼくにはかつてそんな相棒がいて、それだけの話なんだ

もう一度、相棒のためにも言うよ
そう、オートバイはラクダじゃない
いや、なんでそんなことを言うのかな

男からキツい視線を感じることはあっても
柔らかい視線というものは
感じたことがなかった

あるとき、たまたま女の後ろを
歩いていて、階段を下りた
前からは、続々と通勤帰りの男たち

わたしには一瞬理由が分からなかったが
男たちの見たこともない柔らかい視線
同性に見せる敵対心や無関心とは真反対のもの

憧れや畏敬、または優しさ
それはほんの一瞬の視線
でもそういうものが相まって

もしかしたら彼女のヒラヒラしたスカートから
垣間見える足がそうさせたのか
とにかく男たちの視線は柔和だ

さらに驚いたことに
彼女の前の男たちは、まるでモーゼみたいに
サーっと左右に分かれていった

女に道を譲るのはいいことだ
だけどわたしには、それが初めての体験で
これほど男女に差があるとは思わなかった

まるで生きている世界が違う
彼女の前に広がるのは薔薇の道
わたしの前には茨の道

どちらにもトゲがあるわけだが
彼女の道は華やかで
わたしは男として生きていく

願わくば、女に道を譲りながら

どれだけ迷惑メールがくるんだろう
誰から、なんだろう?
サオリとかツムギとかカオルとか

もちろん業者の仕業
ってのは知っているけど
ちょっと期待してしまうなんて

彼らはなぜ迷惑迷惑迷惑な
メールをわざわざ送ってくるのだろう
そのサイトにアクセスするとでも思ってるのかな

それが広告だとか、宣伝文句なのは知ってる
で、たしかに迷惑なんだけど
なければないで、少し寂しくなる

まったく毒されてる
少しはピュアな気持ちにさせとくれ
下品な言葉や、おカネの話はこりごりだ

女の話しや、インポがどうとか
迷惑メールの語るのは
どうしようもない世界だ

そして、そのどうしようもない世界に生きている
どうしようもない人間が
ぼくだ

何処に行ったのだろう
頬が染まる茜色の
顔をした彼女

毎日が駆け足で
過ぎていったよ
夕日を見る間もなく

春の匂い
遠い記憶
笑顔の手紙?

毎日授業で一緒だった
下校時間が待ち遠しくて
ドキドキしてて

一年生の時の
新鮮さ
二年生では、消えかける

三年生になると
もう卒業後の進路相談
寂しさと焦り

それぞれの道を歩いて
帰らないといけない
影がのびる道

忘れられない
高鳴る胸の鼓動
彼女の横顔、黒髪の香り

北酒場と叫びながら
男は通りすぎていく
孤軍奮闘というか

北酒場って何処だろう
よく聴いてみると
それは細川たかしの歌

若いサラリーマン数人が
その男につかまり
説教を食らっている

ああだこうだ
あれだこれだ
おれだおまえだ

昔の若い人なら
男を無視するとか
殴りたおすとかした

でも今の東京の若者は
なんとも優しく
男の話を聞いてあげてる

殴り倒しもせず
罵倒もせず
笑いながら

延々と続く話しを
時にまじる北酒場の歌を
男の自慢話を

もちろん男は酔っぱらってる
拒んでも拒んでも
絡まれたにちがいない

だけど今の若者は
笑いながら話を聴いてる
嫌がりもせず、そうなのですねと

あまりに平和な日本の
一風景に、隔世の感
いつまでも男は叫びながら

若者たちは去ろうとするが
その男が引き止める
当然のことながら

終電ですから
若者たちは
愛想よく言う

話を聞いてくれたので
男も納得して
うなずく

若者は去り
男は歌う
何処と知れない北酒場の歌を

水玉服の彼女は、小学生
可愛らしさとシックさも孕んだ
服で彼女は颯爽と歩く

タイツにミニスカ
水玉のリュックに
パープルのジャンパーを羽織って

お母さんは不安そうに見てる
男たちが彼女を陵辱しないかと
女たちに食い殺されないかと

そんなの関係ない、とばかり
彼女は満面の笑みで
弾んでく

いつまでも続く喧騒を振り払い
重力波の影響も関係なく
人々の思惑などものともせず

夜な人々は

朝な人々と

ちがう

夜な人々は

空を飛ぶこともできるし

海に潜ることもできる

人目を憚らず

泣くこともできる

何と言っても

心を乱されることなく

モクモクと

生きていける

夜な一人一人が

独立

独歩

ムダなおしゃべりもなく

言い争いや喧騒もない

天使に唾を吐く必要もなく

地獄にお金をおとす必要もない

静寂だけが仲間

愚痴や文句にも

カバーがかけられている

そして

太陽の元では明らかになる

影も夜には消えている

ホコリやごみくずも

夜な人々には

見えない

良いことばかりが

夜にはある

盗人や詐欺師もいるにはいるが、

皆眠っているので

気づかない

働く人たちも

イライラせずにおおらかだ

だから

夜な人々が

好きだ

何も考えずに

赤ワインとドリアを

口の中に流し込む

これほどの

至福の時があるだろうか

あとは少しお喋りする相手

または

本の1冊でもあれば、それでいい

もし店員の女の子が可愛ければ

さらに文句はないが

そうでなくても

文句はない

テラス席に

心地いい風が吹き

青い空でも見れたら

さらに言うことないが

そうでなくても

言うことはない

季節は移ろうものだ

天気はなおさらだ

我が心も虚ろう

あらゆる苦難や心配や野望

そういったものを

一時でも忘れ

この瞬間

赤ワインに傾倒しよう

タヒチで絵を描いたゴーギャンのように

人生を謳歌できればいいが

そうでなくても

文句はない

ただ生きることに

集中しよう

ただ生きることを

追求しよう

一回限りの

この生を

一夜限りの

この晩を

一食限りの

この飯を

ペチャクチャ

女の子の声

うん

ちょっといいな、癒し?

でも、少し喋りすぎかな?

お皿を運ぶウェイトレスが

ガチャンってお皿を置いたよ

気持ちって、外に表れるんだね

ゴッホが描いたヒマワリも

きっとゴッホの気持ちを表現してる

ひんまがって

揺らいで

炎みたいな絵

色使い

その色彩の艶さ

またゴーギャンは離婚してタヒチに行って

若い女の子をめとり

彼女を描いた

原始的なパワーに溢れてる

好きなことには

エネルギーが宿る

人の形や風情にも

土地の人間や衣服にも

食べ物や音楽

色や匂いや音や

彼女の眉間のしわ

彼女の笑顔のやさしさ

彼女の歩く軽やかさ

そういうものに表れる

ペチャクチャ喋りの

女の子たちはレジで会計をすませ

ウェイトレスがお皿を片づける

ガチャガチャ

一日の終わりが

こうしてやってくる

やがて色は消え失せ

やがて匂いは薄まり

やがて音は聞こえなくなっていく

再び朝が顔を出すまで

彼女たちは姿を消す

どこか深い暗闇の中へ

そして言う

おやすみなさい

そして言う

おはようございます

君はまるで絵画の中から抜け出した

みたいに

白いハットとボーダー服に、スカートをはいて

現れた

もちろん髪はショートカット、白いカーディガンを

羽織ってる

耳には大きなイヤリング

足には白いスニーカー

理想を現実とするのが君

だろうな

まるで絵画から抜けだしたみたいに

颯爽として

ぼくをトリコにする

トリコロールはフランス旗

三色すみれのように

あざやかに

そして若々しく

かわいらしく

ぼくを魅了する

そんな君に声をかけたいけど

どうしたらいいんだろう?

ぼくを悩ませる

そんな君は颯爽と

去っていく

そう

まるで夏の風のように