詩的大和 -2ページ目

詩的大和

笑顔の中心に世界を叫ぶ


ニーナ・シモンが歌ってる
百発百中の声で
黒い肌を見せびらかしながら

あたしには腕も足も魂もある
胸も爪先もセックスもある
何より、命がある

なのに、シリアでは戦争が続いてる
神はどこにいったのだろう
シリアの神はなぜ試練を与える

もしくはそれは神の仕業でなく
石油をめぐる勢力争いなのか
大国に挟まれた第2のヴェトナム?

ロシアもアメリカも飛行機を飛ばし
トルコはミサイルを放ち
難民はヨーロッパを席巻する

それからイギリスがヨーロッパを離れ
経済は傾くだろうか
世界が小さい足音を鳴らし、崩れていく

白黒はっきりつける必要なんてないはずなのに
シリアの神はそれを求めてる
だから少年や少女が死んでゆく

標的になり
瓦礫の下、血が流れている
世界中がそれを無視をする

ボブ・ディランがノーベル賞をとろうがなんだろうが
シリアの神はなぜ気まぐれか、ということへの疑問は消えない
そして風だけがその答えを知っている

急ぐんじゃない
そうぼくは言いたい
生き急ぐほど、人生はチャチじゃない

宝石のような言葉を紡ぐ呪い士よろしく
地獄の季節を乗り越えたあなたは
砂漠の民となった

師匠の弾丸をかわして
さらに武器商人になっただって?
まるで漫画のような話しだね

もっとゆっくり言葉を紡いでいたら
煌めく宝石を敷き詰めるのではなく
一歩一歩あるいていたなら

とぼくは思う
だけどあなたはあなたは
いつだってアルチュール・ランボーだ、そう

若い彼らは
都会の端っこにある
夜のファミレスに来る

スクッと座って、話し出す
結婚について
女は、結婚したがっている

けど、今の彼氏とはそこまでじゃないの
男はふんふんと聞いてる
元カレとは同棲したが別れたみたいだ

理由は元カレがちょっと暴力をふるうから
別れてよかったよ
と男は言う

でも女は元カレに未練があり
今の彼氏は優しいんだけどね
などと言う

どこか物足りない感じ
いっそのこと
と彼女は言う

元カレに再アタックして、フラれよっかな
男は答える
そこまでする?

女はうなずいて
そこまでして、痛い目にあえばさ
踏ん切りがつくと思うの、あたし

今の彼氏のありがたさも…
男は、頭をかく
だって、今のカレは貯金もないんだよ

29歳で
今まで何してきたんだよ
女は髪をさわる

これから貯めるしかないよね
男は苦笑する
時計を確かめた彼女は

もう2時
と言って立ち上がる
そうだね

男はうなずいて
ただ勘定をすませる
女がトイレに行っている間に

少し寂しげな姿は
女が戻ると
静かにうなずいて、ドアを開ける

そのドアが何処につながっているのか、誰も知らない
女が男の気持ちに気づくかも、分からない
もしくは気づいてて、振り回しているのかも

いや彼女がこっちを向くからさ
てっきり勘違いしたんだよね
二枚目でもないのに

彼女はぼくの方を見て
「ここ」って言って
ぼくの横のテーブルを選んだ

「お母さん、早く」
って言いながら、ピンクのジャンパーを脱いだ
そしてスパッて席に座ると、スマホのゲームをし出す

ぼくはそ知らぬ顔で、ご飯を食べるけど
内心は自分が、彼女にモテてうれしかった
だって他の席も空いてるんだからさ

お母さんもそのテーブルに静かに座る
彼女が何を考えているかは、分からない
二人ともゲームをしながら、何気ない母娘の会話があり

いや、言っておくけど
彼女は可愛いタイプではなくて
もちろん子どもらしさはあるけど、ブチャイクな方だ

ふと、その時に気づいた
なぜ、その子がその席を選んだのか
彼女が求めていたものは、ぼくではなかった

そう、何となく感じた
それがあっているのかどうかも分からないよ
ただ、ぼくがそう感じただけだからさ

この子には、父親がいないんだな
ぼくはふとそう思ったんだ
それは母親のちょっとしたためらいとかから

そして二人の出すちょっとした空気感
その子が、ぼくのほう(父親くらいの男性)を見たりするわけじゃないよ
でも、多分近くにいたいんだなって

帰り際にさえ、言葉をかわすことはない
なぜならここは東京砂漠
でも、その子は普通子どもがそうであるようには帰りたがらない

「帰る?」って母親が聞く
「もうちょっと。」と彼女は答える
なにかモジモジして、甘えたそうにしてる

そしてぼくの中の母性がわき上がる
いや、父性って言うのかな
あー彼女を抱きしめてあげたいな、って思う

これは変な欲求などとは違うよ
もしぼくに子どもがいたら、そうしてただろう親心
もちろん、そんな義務はとうに放棄してしまったけど

愛、愛をもっと与えるべきかもしれない
もうぼくは守られる存在ではなく
立派に独り立ちしているわけだし

か弱い、とてもか弱い
そんな子どもたち
天使たち

もちろん、ぼくは実際にはそんなことはしない
変質者になってしまうから
彼女たちの後ろ姿を見送る、黙って

ぼくは彼女の求めた愛に答えられない
そのもどかしさに対し、こうして詩をしたためる
それしかできる術がないのだから

いつもなら、映画を見て過ごしたところが
その夜はちがった
理由は簡単、人に呼ばれたから

音楽は嫌いじゃない
特にブルースやロック?
ポップスには興味はないけど

その店はとびきりクールで、
何よりブルースが響いていた
ケバケバしい歌舞伎町に思えないほど

そんな狭いバー、彼らは歌っていた
何より気に入ったのは
若すぎないこと

それなりに年齢を重ね
若い頃にあるような自己顕示やナルチズム
それはとうに消えていた

何組か出演する、その仲間意識
また少しの対抗心
それから年季の入った演奏

悪くない、少しの酔いと
名もなき人々
夜の歌舞伎町

東京にいる限り消えはしないだろう
売れたいという欲望
とても健全な向上心

天井をゴキブリが歩いていく
バーボンソーダを飲む客の上を
ケバケバしい夜の歌舞伎町

それも夜の歌声の中で
混然となり、消えていく
彼の歌声とともに

夜な人々がいるように
当然のことながら、朝な人々もいる
彼らは、ちょうど朝6時くらいから入れ替わる

と言っても、もちろん夜から朝はひとつづき
朝な連中の中にも、夜な連中が紛れ込む
酒に酔い、ビールを飲み、ぐだくだいっている

ホステスや黒服も、朝に紛れてる
場違いなのは一目瞭然
6時半になると、彼らはいそいそと朝の中に帰っていく

夜なレストランで、ウェイトレスは
ゆっくりとした動作で、静かにうなずいたり
掃除機をかけたり、ときにおしゃべりをする

朝なウェイトレスは、もっと快活で
歩く速さは1.5倍、声も大きい
早朝からモーニングする常連との会話

朝な連中は、老夫婦ばかり
おひとりさまのじじさまもいるし
おひとりさまのばばさまもいる

誰もがそのうちそうなるんだろう
いつからか、朝な人々になるんだ
夜な人々から抜け出し、その頃まで生き延びてられるなら

19才の頃に何をしてたかな?
彼らくらいには走ってたかな
メロスくらいは走ってたかな

いや、その頃に考えてたのは
「僕は二十歳だった。それが人生でもっとも美しいときだなんて誰にも言わせない。」
というポール・ニザンの言葉

そしてまた死について
キルケゴールやコリン・ウィルソンの本
そんなの読んでいた

人は、サッカーをやりながら死について考えることはできない
でもサッカーの試合に負けた後なら
死について考えることができる

それが何の足しにならなくとも
リフティングに失敗したあとにやるとなれば
十分なひまつぶしだ

ゲームするよりは生産的
何しろ大量のエネルギーを消費するのだから
死について考えることは

肉体的な意味ではなく
精神的な意味で
ぼくは19才ではなくて

49才か、もしくは89才だった
四苦八苦
そういうことを退けるには、十分に幼すぎた

眠れる美女がいたら
どれほどよかったか
でも、実際にあるのは闇

それは彼を沈んだ気持ちに投げ込んだ
しかも先ほどから雨が降っている
小粒で、とても冷たい雨

深い森の中に入ると
コヨーテの鳴き声が聞こえる
月さえ見えない、雨の夜

ようやく奥に進み
一軒の家を見つけた
助かった、と彼は思う

ドアを何回か叩く
少しでいい、雨宿りさせてほしい
少しでも食料を分けてもらえたら、と点く灯

出てきたのは
美女ではなく、男だった
相手がどんな人かで決まる運

それは彼に微笑まない
銃をつきだし
帰れ、と男は言う

とことんついてない
とぼとぼと彼は歩く
今日一日を恨みながら歩く道

カラスが鳴いた、夜なのに
雨は止んだが
冷気がおおう深い森

一人で進まないといけない
虚ろにつぶやく彼
しかし先にあるのは、明かりも見えない闇だった

そんな森の中で
偶然にも、もう一軒見つける
へとへとになりながら、彼はドアを叩く

また先ほどの男のように
銃で追い返されるのだろうか
神にも祈る気持ち

すると玄関の明かりがつき
ドアを開けたのは、若い女
しかも相当に美しい

彼は何か食べるものを恵んでくれないかと頼む
女は彼を見ると、少し笑った
それから、どうぞと中へ入れてくれた

主人は留守ですが、少しなら食べるものもあります
と若い女は言う
彼は出されたパンをむさぼり食う

女神だ、と彼は思うが
口から出したのは
ありがとうございます

女は、どこへ行かれるのか
と彼に聞いた
首を振るばかりの彼には行くあてもない

よければ、泊まってはと彼女は言う
彼は虚ろな目で女を見ると、
静かにうなずいた

本当は涙したいくらいだった
しかし口に出したのは
ご主人は?

女は首を振る
実は主人などいないのです
警戒していたことを告白する

二人は打ち解け
心を通わせ、一体になる
もう愛などないと彼は思っていたが

それはやがて執着になるのでは
また終着という別れがくるのでは
ただどちらにしても、今のところは

彼に必要なのは
深い森の中で休む場所
彼女はそれを提供してくれた

しかも喜んで
笑顔を見せ
スープやパンを用意してくれる

彼は体力を戻し
精神的にも回復した
彼女に癒された

もうこんなことはないと思っていた
だが彼女は安心と平和を与えた
彼は女のために働いた

不安と恐れと警戒心
そういうすべての闇が、明るく照らし出され
そして掃除のように、払いのけられた

暗い森に
ようやく光がさした
それは束の間のことかもしれない

少なくとも、でも今彼は幸せであり
彼女を幸せにするのが喜びで
森と調和しながら、生きていた

夏の終わりに

仕事でしくじり

病気で調子をくずし

買い物に失敗し

家族を背負う不安

過去の自分

または今の私

アイスクリームで復活し

テレビで癒される

ような

生活の先が

見えない

見えない

からといって動けない

まだまだ

不幸ともいえない

軒先の生活

夏になると女たちは

足を出して歩く

そんな足を見ながら

ま、目の保養くらいにはなる

暑いけど

そう、いつからだろう

男のほうが厚手になったのは

少年だった頃、半ズボンを履いてたのに

大人の男たちは、長いスボン

スーツの人もいる

一方で女の子たちは、

パンツが見えそうなスカート

もしくは、さっきも言ったような短パンを

大人の女だって履いてる

多分二十代までは

夏になると女たちは

あらわになる格好をしてる

もう隠すもんだってないんじゃないかな

イスラム教徒たちが守ってるヒドゥラとか

オープンな世の中には関係がない?

そのぶん、みんな自分で欲望を制御しないといけない

そう自分たちの力で

自分たちの足を