北酒場 | 詩的大和

詩的大和

笑顔の中心に世界を叫ぶ


北酒場と叫びながら
男は通りすぎていく
孤軍奮闘というか

北酒場って何処だろう
よく聴いてみると
それは細川たかしの歌

若いサラリーマン数人が
その男につかまり
説教を食らっている

ああだこうだ
あれだこれだ
おれだおまえだ

昔の若い人なら
男を無視するとか
殴りたおすとかした

でも今の東京の若者は
なんとも優しく
男の話を聞いてあげてる

殴り倒しもせず
罵倒もせず
笑いながら

延々と続く話しを
時にまじる北酒場の歌を
男の自慢話を

もちろん男は酔っぱらってる
拒んでも拒んでも
絡まれたにちがいない

だけど今の若者は
笑いながら話を聴いてる
嫌がりもせず、そうなのですねと

あまりに平和な日本の
一風景に、隔世の感
いつまでも男は叫びながら

若者たちは去ろうとするが
その男が引き止める
当然のことながら

終電ですから
若者たちは
愛想よく言う

話を聞いてくれたので
男も納得して
うなずく

若者は去り
男は歌う
何処と知れない北酒場の歌を