先日、何気なく『ヒカルの碁』の再放送を観ていると、丁度ヒカルが立ち直って碁の世界に戻るところでした。
自分は打ち続けるしかない、そう悟ったヒカルは一目散にアキラのもとへと走る。そして久々に相対した二人。
打ち続けると宣言したヒカルに向かってアキラ君の言ったセリフ、「追ってこい!」には、やはりジーンときましたね。
その言葉を聞いた瞬間、私は姫川亜弓がマヤちゃんに言った「待ってるわよ」を思い出しました。
芸能界失脚し、落ちるところまで落ちて誰もが見放した北島マヤに向かって言った“ライバルを信じる言葉”。
『ガラスの仮面』の中で、私の一番好きなシーンです。
そこで改めて思いましたが、やはり“宿命のライバル”という位置付けは、物語に感動を与える重要なファクターなんだなあ、と。
で、家にある漫画をふと眺めてみて、そういう関係にあるキャラを考えてみました。
進藤ヒカルと塔矢アキラ(『ヒカルの碁』)
初めこそ佐為の力だけに頼っていたヒカルでしたが、実力で見事にアキラ君のライバルという位置まで上がってきました。
まあ、当のアキラ君が佐為の存在を知らないだけにちょっと曲解したライバル関係ではありますが、“選ばれし二人”という要素は間違いなく満たしています。
北島マヤと姫川亜弓(『ガラスの仮面』)
セリフの話にも出た通り、主人公よりもライバルの方が上にいて、そこを目指していくという分かりやすい構図です。
ただ、実はマヤちゃんこそが“真の天才”なのですが(笑)
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高嶺竜児と剣崎順(『リングにかけろ』)
ここでも剣崎が同じようなセリフを言ってます。
「今度会う時は、プロのリングだ!」
「早く来い! ザコはもうあきあきした」
剣崎は間違いなく“天才”なのですが、思えば初めて聖華学院でのスパーで敗れて以来、亜弓さんと同じくず~っと敗北感を味わってきたのかもしれませんねぇ。
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平勝平太と源奈臣(『capeta』)
まだ完結していませんが、これも絶対的な宿命のライバルの描き方を踏襲しています。
重要なのは、物語の最初から最後まで一貫してライバル関係にある、ということなのですね。
他の名作漫画にもそれなりにライバル関係はありますが、次々に変遷していくライバルというものもあって、それは完全に別の趣になってしまいます。
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桜木花道と流川楓(『SLUMDANK』)
この二人の場合は、厳密に言えば“宿命のライバル”とは言い難いかもしれません。
現時点での(完結した時点で)実力差は歴然ですからね。
流川にしても、花道のことを本気でライバル視することろまでは絶対いってないはず。
ただ、あの山王戦で最後にパスした瞬間、そしてラストシーン前で選抜チームのユニフォームを見せびらかした気持ちの裏には、少なくとも“侮れないヤツ”であり、“将来自分の前に立ちはだかるかもしれないヤツ”という思いがあったのでしょう。
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国見比呂と橘英雄(『H2』)
この二人が、あだち充作品では一番ライバル関係が最後までハッキリ描かれているんじゃないでしょうか?
出会いから決着の日まで、練りに練られた味わい深いプロットです。
バビル2世とヨミ(『バビル2世』『その名は101』)
最後はちょっと変わった例を(笑)
この二人も“宿命のライバル”には違いないんですが、他のパターンと絶対的に違うのは、最初から主人公の方が圧倒的に強く、敵ライバルであるヨミの方が何度も何度も主人公のバビル2世に挑んでいって負け続けるという点です。
この関係、対立関係を描く物語では結構稀有な例で、終いにはヨミに同情してしまうというヘンな感情まで芽生えてしまいます(笑)
後作『101』での最期なんて、もう悲惨そのものですよ・・・・。
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・・・・と、思いついた7つの例を紹介してみましたが、他にも色々とありそうですねぇ。
あ、一つ除外したのは『エースをねらえ!』のひろみとお蝶夫人の関係です。
アニメやドラマでは、見るからに“宿命のライバル”という描き方ですが、実は原作ではひろみはお蝶夫人に戦わずして圧勝してしまうわけなので、これは全編通してのライバルとは言い難いんじゃないかな、と。
『エース』自体、そういう視点で観るべき物語じゃないしね。
あくまで原作は(この作品に関しては、私、完全原作至上主義ですので・・・・)。