自分の居場所を見つけるために
「神輿は1人では担げない」
少し前、伊藤沙莉さんが
幼い頃から母親に言われてきた言葉だと
対談番組で語っていました
神輿は、地域の祭りで
人々が力を合わせて担ぐものですが
人生を生きる上での大切な示唆が
含まれていると思います
私たちはつい、自分の力だけで
道を切り拓かなければならない
と思いがちです
努力や才能を信じることは
確かに大切ですが
それだけでは限界があります
大きな成果を得ようとするときや
困難に立ち向かおうとするとき
必ず人とのつながりが不可欠になるのです
神輿が一人では担げないように
人生もまた
一人だけで完結できるものではありません
伊藤沙莉さんのお母様は
素晴らしい言葉をかけていらした
と感心しました
ここで思い出されるのが
アドラー心理学の「共同体感覚」
アドラーは
人間の幸福は他者とのつながりや協力
つまり「共同体の一員である」
という感覚に根ざしていると説きました
人は誰しも社会の一部であり
他者と協力し合いながら生きていく存在
孤立して自分だけの成功を追い求めても
心からの充足感を得ることは難しい
共同体感覚とは
「私は役に立っている」
「私は仲間の一人だ」
という感覚です
これは単に人と一緒にいるという
物理的な状態ではなく
自分の存在が他者にとって意味を持ち
貢献できているという実感に
支えられています
その感覚を持てるかどうかで
人生の満足度や幸福感は大きく変わります
また、人には「所属の欲求」があります
心理学者マズローが示した欲求階層説でも
生理的欲求や安全の欲求の次に
「所属と愛の欲求」が位置づけられています
つまり、誰かとつながり
受け入れられ、役割を持つことは
人間にとって基本的な欲求なのです
職場や家庭、地域や趣味の仲間など
どこかに自分の居場所を持つことは
心の安定につながります
「神輿は1人では担げない」という言葉は
まさにその所属と
共同体感覚を象徴していると言えます
神輿を担ぐには
一人ひとりが力を合わせ、掛け声を揃え
リズムを合わせる必要があります
写真は唐津くんち
神輿ではなく
山車を曳いているんですけれども(^^;;
そこでは自分の力を誇示することよりも
仲間との調和が優先されます
そして、その一体感の中でこそ
一人ひとりの存在が輝くのです
仕事で成果を出すときも
家庭で役割を果たすときも
誰かと協力することで成り立っています
自分の居場所を見つけ
そこに貢献できることで
人はようやく安心感と
自己価値を感じられます
しかし実際には
競争や成果主義の中で
「一人で頑張らなければ」
という思い込みに陥りがちです
その結果、孤独や疎外感を
抱える人が少なくありません
居場所とは
小さなコミュニティや
信頼できる人間関係で十分です
自分が誰かの役に立っている
自分がこの場にいることで
全体が成り立っている
その感覚こそが
人を力強く生きさせる源になるのです

最後までお読みいただき、ありがとうございました