ホームヘルパーの雇用管理① | 兵庫の介護施設・福祉施設の労務相談ブログ

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こんにちは、福祉専門社労士の三木です(*^^)v


今回はホームヘルパーの雇用管理について。


訪問介護事業所の雇用管理は一般に難しいとされています。

何故か?


仕事が有る時だけスポット的に働く登録ヘルパーや

直行直帰で働く就業スタイルなどが有るからです。


難しいですが、きちんとやれば管理できないわけではありません。


訪問介護事業所の雇用管理についてスポットをあてて、記事を書いてみます。


参考として→訪問介護事業所の労務管理の注意点


最初に、

登録ヘルパーは労働者か業務委託か?

という問題についてですが


訪問介護事業所で働く登録ヘルパーは労働者である、という見解が既に

労働局から出されています。


現状、委任や業務委託で働いておられる場合でも、雇用にあたらないか?

実態をよくご確認のうえ、運用される事をお勧めします。


労災保険料や社会保険料などの、

法定福利費の支払いを免れる為に、

業務委託契約にする、


という考えはくれぐれもやめた方が良いです。


日本の労災保険は世界的に見ても、保険料が安く内容も充実しています。

雇用保険は!?まあまあです(*^^)v


労災保険料と雇用保険料を足しても保険料負担はそれほど高額ではありません。

社会保険料は高いですが、どうしても加入したくない場合は、

週30時間以下のパート雇用を中心に考えてください。


実際に、車に乗って利用者宅から利用者宅に移動するのに

事故が起きたら大変です。


想定されるリスクに対して、

免れる保険料負担額との釣り合いがとれていません。



訪問介護事業所の雇用管理を考える上で、よく問題になるのが

登録ヘルパーの直行直帰に関する事です。


仕事が有る時にだけスポット的に勤務に入ってもらう登録ヘルパーの場合、

どうしても出勤時、事業所に立ち寄らず、直接訪問宅に出向き、

業務が終了すればそのまま自宅に帰るという形態が多くなります。


直行直帰は労働法の分野では特に禁止されているという事はございません。

ただ、事業所に一度も立ち寄らない就労形態なので、始業時刻、終業時刻を

管理しづらい、という問題が起こります。


訪問宅に到着した時に、携帯電話等の通信機器で事業所に連絡する、

業務が終了した時も同様に連絡をいれる。


ヘルパーさんからの連絡履歴と業務報告書とで就業時間を管理する、

といった形が一般的でしょうか。


直行直帰が多くなるとどうしても、利用者個々の情報を事業所として

共有しにくくなる、という問題も起こります。


ヘルパーさん個人のみが、その利用者さんに関する様々な情報

(健康状態、家庭の事情など)を持っており、他のヘルパーさんに

伝わりにくい問題をどう解決するか。


やはり時々は登録ヘルパーさんにも事業所に出勤してもらい、

会議などを通じて、情報を共有できる体制を整えていきたいところですね(*^^)v



以下、訪問介護事業所で問題になりやすい事項について。


「移動手当」に関して。

移動に関する手当も賃金額に含まれている、と考えておられる事業所さんも

時々、見受けられます。


含まれているならそれで構いませんが、最低でも就業規則や雇用契約書に

その旨の条文の明記は必要です。


そのうえで、内訳をきちんと説明できる事。

例えば、時間給 1,000円のうち、15分の移動に要する手当額も含まれている、

といった具合に。


移動に要する時間が本当に15分なのか?ケースに応じて確認も

しておかなければいけません。

15分以内の場合でも毎回15分支払っている事になりますし、
かえって勿体なく感じたりもします。


移動に実際にかかった時間が15分を超える分は超過分を支払う、

といった旨の規定も必要になってきます(汗


有る程度時間給を出している場合は問題ありませんが、900円ぐらいだと

実際の作業時間に対する賃金額は兵庫県の最低賃金を下回る可能性も

ありますので注意が必要です。


長々と問題点、指摘してますが、別に否定しているわけではありません。

ただ、意外とハードルが高いなあ、と感じるわけです(汗

きちんと必要な明記がされていれば違法ではありません(*^^)v



移動手当は時間賃金とは別に、実際に移動にかかった分を分刻みで算定して

支払うのが、かかった分だけ合理的な感もします。

分刻みだと管理しずらいという場合には、
大体の距離に応じて合理的な基準を定めておかれるのが良いですね(*^^)v


時間給 1,000円(移動手当込み) 900円(移動手当別途支給)

どちらが求人反応とれるでしょうか?

どちらが人件費安く済みますか?


どう思われますか?

事業所によって考え方様々でしょうから、

またご意見あればお寄せ下さい。



「休業手当」に関して。

利用者からの急なキャンセルで、業務予定がなくなった場合、事業所は

ヘルパーさんに平均賃金の6割の休業補償(休業手当)を支給しなければ

いけません。


利用者都合でキャンセル料いただけるかわからないのに、休業手当は

支払わなければいけないなんて、悩ましい話です。


通常は、代替え業務の提案で済ませておられるのではないでしょうか。

就業規則に振り替え休日の規定を設けて、

通常の労働日と休業日を入れ替えるという方法もございます。


利用者あっての事だから、なかなか代わりの訪問先を見つけるといっても、

難しい場合もありますよね。

ヘルパーさんの希望日と合わない場合もあるでしょうし。


最低でも、代替え業務なり、振り替えなりを検討し、

提案する事は実行してください。


努力してもどうしても代替え業務が見つからない場合は、

致し方ありません。


いかがでしょうか?

事業を立ち上げてから早い時期に、取り決めておいた方が良い事柄と

いうのは存在します。


上記のような事項はあやふやにせず、

問題有る場合は早め早めに解決しておきたいですね(*^^)v


現状、労働条件に関してあまり不満を口にされる方は多くはないのかもしれません、

理由としては、

1、賃金などの条件よりも働きがいを求めて就業されている方が多い

2、比較的年齢層の高い女性の方が多い



ヘルパーをされておられる方の一般的な状況です。

ですが、中には労働条件の不備があった場合に気にされる方も当然存在します。


4月より改正介護保険法が施行されるので、

今までより労働法遵守に対する風当たりが

強くなる可能性もございます。


気になったので訪問介護事業所の労務管理について

注意すべき点を改めて整理してみました。


書ききれないので次回は、「有給休暇の付与方法」

などご説明していきたいと思います。


本日はこの辺で失礼いたします!


関連記事 : 「ホームヘルパーの雇用管理②」

「改正介護保険法 労働法規 注意点」



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