こんにちは、福祉専門社労士の三木です(*^^)v
今日は管理監督者についてお話します。
一日の法定労働時間は8時間、一週間は40時間と法定労働時間の
定めがあるのはご存じのとおりです。
法定労働時間を過ぎて労働すれば、使用者は労働者に時間外手当を支給しなければいけません。
原則はそうです。
例外として、労働基準法で定められた管理監督者というものがあります。
いわゆる管理職。企業でいえば、課長とか部長とか管理職にあたる方に、残業代を
支払っていない会社は多いです。
労働基準法で「監督若しくは管理の地位にある者」(以下「管理監督者」といいます)については、
「労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用しない」となっています。
要するに、残業をしても残業代を支払わなくて良い人のことをいいます。
あくまで残業をしても時間外手当や休日手当を支払わなくてよいというだけで、
深夜業に対しての手当や、有給休暇などの制度は適用されます。
経営者と一体の地位にあり、自分自身が労働時間についての裁量権を持っているので、
労働基準法による保護の必要性がないからというのが理由です。
使用側からすれば残業代を支払わなくて良いので、非常に多くの企業で
採用されている制度ですが、問題点もあります。
それは企業でいうところの管理職と労働基準法で定められた「管理監督者」は
必ずしも一致するとは限らない、という事です。
労働基準法でいうところの「管理監督者」と認められる為の要件は複数ありますが、
代表的なのは、
① 重要な職務と権限が与えられていること
② 出退勤について管理を受けないこと
③ 賃金面で、その地位に相応しい待遇がなされていること
以上が、最重要の要件になります。
これらの要件を、総合的に勘案して、管理監督者と認められるか、否かが判断される事になります。
福祉施設で当てはめた場合、「管理監督者」の要件にあてはまるのは、
どのポジションの方でしょうか?
一般的に、施設長などの管理者や事務長などは「管理監督者」として
処遇されているケースが多いです。
多いですが、ただ管理者や事務長といった肩書だけで「管理監督者」と判断されるのではなく、
あくまで実態として要件に当てはまるかを判断していかなければいけません。
事務長といえど、自分の労働時間や、職場の重要事項に関する決定についての裁量権がなく、
一般の事務員と労働実態がそう変わらないというのなら、「管理監督者」にはあたらないという
事になります。
現場で働く主任や福主任、リーダーの方々はどうでしょうか?事業所の規模にもよりますし、
肩書きではなく、実態で判断ですので、比較的小規模の事業所で、ほぼ経営者に代わって
現場の業務を取り仕切っているというのなら「管理監督者」にあたる可能性はあります。
ただ、一般的には現場で働く主任クラスの方々が「管理監督者」に
あたると判断されるケースは多くないです。
「管理監督者」は欠勤や遅刻、早退をしても賃金の控除を受けないであったり、その職場で
重要な職務と権限を与えられていたり、それ相応の管理職手当などの賃金面の優遇措置を
受けていなければならないという要件をクリアするのが容易ではない為です。
事業所が独自で、「管理監督者」にあたると判断していても、後になってあたらないと判断されれば、
遡って、時間外手当や休日手当を支払わなければいけない、といったケースも最悪、想定
されますので、「管理監督者」にあたるかどうかの判断は慎重になされるべきですね。
「管理監督者」は便利な制度ではありますが、残業代の支払いを逃れる為に、
安易に採用するのはおすすめしません。
基本的には、残業を根本的になくす為の方法を地道に検証し、実行に移していくのが
賢明なやり方です。事業所全体で残業が多い場合には、話し合いをし、業務改善という
事で常日頃から、残業削減に取り組んで欲しいと思います(*^^)v
今日は「管理監督者」について書いてみました。よく使われる言葉ですが、
正確に要件を理解したうえで取り入れてください。
本日はこの辺で失礼します!
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