こんにちは福祉専門社労士の三木です(*^^)v
今日は福祉施設の残業代対策について。
福祉事業所の労務管理を考える場合に注意しなければいけないのは
労働時間なのかそれとも労働時間外の活動なのかあいまいな時間をどのように
考えるかと言う事です。
例えば、勤務終了後の利用者とのコミュニーケーションの時間。
福祉事業は人的サービスですので、定時になったから、はい、さようならではなく、
終了時刻後も、残って、利用者とおしゃべりしてコミュニーケーションを深める場面がよく
見受けられます。
業務終了後に行う、コミュニーケーションの時間などは、時間外の労働に含まれるかと
言いますと、多くの場合、明確に時間外労働とは認識していない場合が殆どだと思います
が、それでも労基署の調査がはいったときは、タイムカードの打刻時間から残業時間と
指摘されてしまう可能性は充分あります。
基本的に、残業は、管理者の許可に基づいて、業務命令として行うと就業規則に
記しておかれた方が、無難です。
例えば、以下のような規定、
(時間外労働)
第〇条 業務の都合により所定時間外に労働させることがある。
その際、職員側からの申請の場合は事前に管理者に申し出、
許可を得ること。
ただし、管理者不在、突発的な事由のため事前の申し出が出来ない
場合は、事後に申し出る事とする。
② 法定の労働時間を越える時間外労働は、職員代表との時間外労働協定
の範囲内とする。
残業はあくまで、事業所側からの業務命令により行うものであり、職員側の判断で
残業を行う場合は、事前に申し出た上で、許可を得る事を明確にしておいたほうが
よいでしょう。
残業を許可制にするうえで、注意しなければいけないのは、規定に定めている
からといって、
許可を受けてない残業のすべてが、無効になるかといえば、
必ずしもそうではないという点です。
「残業の黙示の承認」という考え方があります。
仮に、残業命令や、残業の許可を与えてなくても、業務をこなすうえで、通常、所定労働時間中に
こなせないような業務量を使用者が要求していたならば、残業時間に対して、黙示の承認が
あったという事になり、結局、残業時間に該当するという判断になりかねません。
見て見ぬふりはできないという訳なんです。
それでは残業許可制にしても何も意味がないではないか!という事なんですが、
意味が全くないという訳ではありません。
許可をうけない残業は、残業にあたらないとしておけば、職員側が所定労働時間内に業務を
きっちりと終了させようという意欲につながりますし、そのうえで、事業所が、所定労働時間内に
こなせるだけの適正な業務量になっているかの、見直しの意識にもつながります。
立ち上げ当初は、所定時間内の業務量がそれほど多くは無かったが、時間の経過に
伴い、利用者の人数も増えてきて、当初想定していたよりもいつのまにか業務量が増大して
所定労働時間内に全ての業務をこなすのでが困難な状況になっているという可能性もあります。
残業を許可制にして、職員側に申請を義務付けるだけでなく、事業所側も業務量が適正に
なっているかの再確認を行うのが良いです。
そもそも何故、業務時間外に利用者とのコミュニーケーションを図る場面が発生するのか!?
所定労働時間内に業務が集中しすぎていると、日常の声かけやコミュニケーションの時間
が大切とわかっていても、なかなか日々の業務の忙しさに押されてコミュニケーション不足に
陥ってしまうという状況も考えられます。
職員さんが心に余裕のある業務量になっているか、
業務の効率化はなされているかの再点検は大事ですね(*^^)v
そのうえで、所定労働時間外の利用者とのコミュニーケーションは残業時間ではないという
認識を職員さんにしっかりと持ってもらうという意識付けも必要になります。
業務終了後は、速やかにタイムカードに打刻してもらう事。
利用者とのコミュニーケーションも業務の一環として捉え、業務時間内に適時行う事。
残業を許可制にするだけでなく、以上のような事をふまえた労務管理の実践が重要に
なってきます。
残業代に対する対策は、福祉の事業所だけでなく、一般の事業所においても
昨今、職場の労務リスクを考える上で最重要の課題事項になっています。
残業に該当するかどうか、曖昧になっている部分を改め、
今一度、職場の労務を見直していきましょう。
本日はこの辺で失礼いたします!
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