「思うようにいかないところに、新しい道がある」 | 御木白日のブログ

御木白日のブログ

学習院大学 仏文科卒業。大正大学大学院文学博士課程修了。
詩人活動をとおして世界の平和に貢献。

 平成27年(西暦2015年)にノーベル生理学・医学賞を受賞された大村智(おおむらさとし)さんは「世界的に見ても日本の科学は進んでいる。中国が論文を増やしているが、内容から言えば、日本と比べものにならない」と言われるも、「今の日本はどっちに行くか、境目の時代にいる。こういう時こそ『底』をしっかりさせることだ」、「小学校ではしつけ、人づくりが最も大事。肉体的に苦労したこと、頑張ったことが報われる楽しさを教えることが必要だ」とこれからの日本のあり方を示されています。
 そして、「子供の時に肉体的に辛い経験をさせないと、大人になって不幸になる」という動物行動学の創始者というべきコンラート・ローレンツ(1903年~1989年。1973年にノーベル生理学・医学賞を受賞)の言葉を引かれ、至言であるといっておられます。ある種の鳥は孵化(ふか)後、最初に出会う動く物体(たとえば「人間」)を親と思い込み、その後を追い、一生愛着を示すようになることをローレンツは発見し、「刷り込み」(インプリンティング=imprinting)の理論として広く世に知られています。
 「自分で考えて、自分なりの工夫をして、教官の枠を超えなければだめだ。いちいち最後まで教えなければいけないのは、役に立たないよ」ときびしいこともいっておられますが、「『思うようにいかないところに、新しい道がある』と言っている。行き詰まって、うまくいかない時こそチャンスだ」とはげましてもくれています。
 大村さんはまさに「人生は芸術である。楽しかるべきである」を実践しておられるのだと感銘致しました。また、「みしらせ」をピンチではなく自分自身をグレードアップさせるチャンスととらえる積極的な生き方を実践するうえでとても参考になるお話だと思います。