「ブレンダー」 | 御木白日のブログ

御木白日のブログ

学習院大学 仏文科卒業。大正大学大学院文学博士課程修了。
詩人活動をとおして世界の平和に貢献。

 ウイスキーのお好きな方が大勢おられると思います。質の高いウイスキーを作るためにブレンダーという重要な役割があることを知りました。
それはウイスキーの良し悪しそのものを決定してしまう決定的な役割です。
 ブレンダーの頼りは自分の目と鼻と舌だけで、新しいブレンデッドウィスキーを生み出す時は、まず頭の中で求める味わいをイメージすることから始めるそうです。そのイメージを具体化するためのレシピを頭の中で絞り込んで、テストブレンドを重ねながら仕上げていくとのこと。10数種、ときには30種類もの原酒を組み合わせ新製品を仕上げていくのだそうです。
 先輩に張りついて先輩の言葉に自分の感覚を合わせていく。数百種類もの原酒や製品のティステング、本来あってはならない香りや味がついていないか、つまり異常がないかのチェック等々…。眠っている百万もの原酒樽は一つとして同じものはなく、頼るのは目と鼻と舌だけでそのすべてを把握していなければならないという厳しい世界とのこと。
 「とにかく自分の物差しをしっかり作らなければならない、自分という軸が固まってないと、声の大きい人の評価や権威ある人の声に引っ張られてしまう。“私の感覚がどこかでズレているらしい”と気付いたときも、自分の物差しが確かなら修正ができる」とのことです。
 ブレンダーの方の次の言葉に、感動しました。

 

  “ブレンダーのティステング能力は数をこなして徐々に上っていくものじゃないんです。ある日急に同じサンプルからも違うものが見えてくる。先輩が言っていたことの意味が、それまでと違う深さで、こういうことだったのかとわかる、ぼーっとしていたものの輪郭がはっきりする。そんな瞬間があるんです"

 

 大切な事に気付かせて頂く瞬間は、突然にやってくる、突然にそこに神が立つのです。
 これはすべてのことにあてはまることです。だんだんと、右方上りに上達していくというものではないようです。自分はなんのためにこのことをやっているのか、そのような問題意識と「常に神に依った在り方」が私たちを「神がそこに立つ在り方」へと導いてくれ、私たちは進歩発展することができるのです。