元旦のエルサレム - 嘆きの壁と岩のドーム | * たびばな * 旅好き女子のあちこち歩き

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主に鉄道でヨーロッパ34カ国、世界57か国をぐるぐると駆け回り、とにかく歩き回った、充実した旅の記録です。いろんな人に出会ったり、いろんなものを食べたり、旅のワクワクを少しでもおすそ分けできれば嬉しいです。持ち物やルート、予算についても情報いっぱい。

2019年 1月 1日。

 

明けましておめでとうございます。

2019年、元旦を、エルサレムにて迎えました。

 

日の出の時間を調べて見に行った、、オリーブ山のふもとからのぼる太陽。

 

 

 

ユダヤ地区のホテルに宿泊していたので、朝食はユダヤ教の教えに沿った料理「コーシャフード」だったのかな。(コーシャについてはあまりよく知らなかったのですが、あとで調べてその厳しさにビックリしました)。タンパク源として、豆やチーズをよく食べるようです。

 

ユダヤ教では必ずしも肉は禁止されていないようだけど、厳しく規律を守っている人はベジタリアンに近い食事なのかなと感じました。(宗教的なことなので、どのくらい決まりを守るのかについては人によって幅がありそうだけど)。

 

 

 

 

朝食を終えて出かけます! 今日はとてもいい天気。

 

ホテルの周囲はユダヤ地区(ユダヤ人街)で、白っぽい石で作られた四角い建物が整然とならんでいて、人通りも少なくとても静かです。

 

 

 

 

神殿の丘まではホテル前の道を歩いて行けばすぐだけど、滞在時間内でなるべくいろんな場所を歩きたいので、あえてスークの中を通っていくことにしました。

 

ユダヤ人男性がかぶる小さな帽子、キッパを売るお店。色柄いろいろ。

 

 


 

 

掌に目がついたような、中東文化圏の護符、ハムサ。

てっきりアラブのお守りだと思っていたのですが、ユダヤ教でも同様の護符なんだそうです。

 

これに限らず 「目」 を使った護符やマークって世界に多いけど、日本にはあんまりなじみがないからか、少し怖い感じがする。

 

 

 

 


整然としていたユダヤ地区から来ると、アラブ人地区(イスラム地区)はごちゃごちゃしていて人も多くていつも活気を感じますね。

 

イスラム教の預言者ムハンマド(マホメッド)が商人だったので、イスラムの教義は商売に重きを置いていると聞いたことがあります。(そのわりには一日5回もお祈りをしないといけないなんて大変な気もするけど)。

 


さて、今日はエルサレムでもっとも大事な聖地のひとつであり、もっとも有名な観光スポットでもある神殿の丘に向かいます。

 

神殿の丘は、黄色い屋根の岩のドームと西の壁(嘆きの壁)が有名だけど、実は紀元前からこの土地にあるこの丘は、旧約聖書にまつわるモリヤの丘の場所だと言われていて、三大宗教すべての聖地。

 

 

 

 

ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の出発点はすべて同じ、旧約聖書。

根っこはすべて同じ神様です。

 

そういった三大宗教の歴史を理解していても、そしてエルサレムの歴史を理解していても、やっぱり感覚としてとても不思議な感じがする。

 

嘆きの壁は、信者でなくても壁までいくことができますが、男女がきっちり分けられています。(女性のほうが壁が狭いので人口密度が高い)。

 

 

 

ちなみに、「嘆きの壁」 とは、紀元前10世紀ころからエルサレムに存在していたユダヤ教の神殿の壁の一部。現存している石積みは紀元前20年にヘロデ王が拡張した際の壁面が残っているものだそうです。(2000年前の壁!)

 

この神殿は 7世紀初頭に東ローマ帝国(ビザンツ帝国、正教会)に侵攻された際に破壊され、その後ウマイヤ朝(イスラム教)時代に岩のドームが建設されることになります。

 

神殿を壊され、土地をはく奪されたことを嘆き、ユダヤ人たちが残された壁の前に集まって嘆いたことから、世界中からこの場所にユダヤ人が集まってくる聖地となりました。

 

 

…そう考えるとね、もう13世紀に及ぶ長きにわたって、ユダヤ人はずっとここで嘆いているんです。世界中に散り散りになったユダヤのひとたちがここまで強く信仰やアイデンティティを持ち続けているのって、すごいこと。

 

日本がいま侵略されて土地を追われたら、わたしたちはこのあとどのくらい長い間、日本人としてのアイデンティティを保っていられるんだろう。

 

宗教での結びつきが薄いわたしたちは、わりと速やかにそれぞれの土地で2世、3世としてバラバラになってしまうかもしれない。それが良いとか悪いとかいうことではなく。


 

…壁に近づいて、自分の手で触れてみる。

すると、壁の割れ目にたくさんの紙が押し込まれているのに気づきました。

 

 

 

願い事、なのか、お祈り、なのか。

同じかどうかはわかりませんが、日本人的には、おみくじが結ばれた神社の木の枝を思い出しました。

 

 

神殿の壁の内部には、観光客はモロッコ門から入場。

入場料などはありませんが、列はかなり長いので覚悟の上で。

 

新約聖書に イエスが 「神殿を汚す」 として神殿から商人を追い払ったという記述がありますが、それは、同じこの場所だったのだろうか。

 

 

 

かつてユダヤ教の神殿が建っていたであろう場所にいまはイスラム教のドームが。ここは、イスラム教の預言者ムハンマド(マホメッド)が昇天した場所だと言われています。

 

 

ムハンマドはイエスより数百年遅れて出てきた 「最後の預言者」 とされています。 なので、イスラム教でイエスは 「ひとつ前の預言者」 という立ち位置。それぞれの教えやルールは違っても、大きく言えば2つの宗教は兄弟のようなものです。

 

だけど、長い歴史の中で何度も領土争いを行ってきたあげく、9.11以降、2つの宗教は再び大きく分断されている。

 

 さらに、「キリストを磔刑に処したのはユダヤ人」としてキリスト教徒がユダヤ人を迫害してきた長い歴史と、ホロコースト…。

 

そして、ユダヤ人がここにイスラエルを建国したときから、イスラムとユダヤの間では激しい対立が続き、多くの血が流れ続けています。

 

 

こうやって世界で起きているあらゆることを考えてみると、やっぱりこのエルサレム旧市街という小さな土地で3つの宗教が平和的に(少なくともそう見えるくらいに平和を保って)共存しているのは、とてもとても、すごいことに思えるんです。