チベットお寺巡りと哲学問答 | * たびばな * 旅好き女子のあちこち歩き

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主に鉄道でヨーロッパ34カ国、世界57か国をぐるぐると駆け回り、とにかく歩き回った、充実した旅の記録です。いろんな人に出会ったり、いろんなものを食べたり、旅のワクワクを少しでもおすそ分けできれば嬉しいです。持ち物やルート、予算についても情報いっぱい。

2018年、秋。

 

中国から鉄道に乗ってチベット入り。

昨日の夜は高山病にならないことを祈りつつ早めに就寝しました。

 

緊張していたためか、夜中になんどか目が覚めて、そのたびに水を飲んでいたのですが…

翌朝、軽い頭痛とともに目覚めました。大丈夫かな。

 

今日はラサの観光ツアーの初日です。

高山病は経験がないのでわからないですが 「軽い頭痛や吐き気で始まる」「無理して悪化すると大変」 というのは知っていたので、ここで頭痛薬を飲んで動いても大丈夫なのか少し迷いました。でも、せっかくのチベット、多少の無理はしたくなる!

 

ロキソニンを飲んで出かけることにしましたが、移動中に薬が効いてきて、車を降りるころには頭痛はあまり気にならなくなっていました。 良かった。

 

二日間お世話になる観光ツアーは、入域許可証(パーミット)を申し込んだチベット専門のツアー会社にお願いしました。(チベットでは外国人の自由な観光は許されておらず、必ずガイド付きのツアーで回らなくてはいけないのです)。

 

 

参加したのは、下は30代、上は60代の、いろんな国から集まった旅行者たち。 ミニバスに乗車し、ガイドさん含めて 10名で移動します。

(残念ですが、参加予定だった 2名が、高山病でダウンしたそうです)。

 

 


まず到着したのは、チベット最大級のお寺、デプン寺。

15世紀に開かれたお寺で、17世紀にポタラ宮に移る前までダライ・ラマの拠点としてチベットの政治・宗教の中心でした。白壁に赤い屋根の、チベットの伝統的な建築様式。

 

 

 

 

お寺の中は写真が禁止なので、ここで紹介できるのは外観のみです。

 

 

デプン寺はラサの町の西端の山の中腹に建てられているため、薄い空気のなかで山の上まで階段を登っていかなくてはいけないのがちょっとしんどい。 (しつこいようですが、ここの標高は富士山頂と同じなのです)。

 

 

 

 

 

 

だけど、しんどいのは当たり前。ここは古くから多くの修行僧たちが修行をしてきた場所。

 

ダライ・ラマを元首とするチベットではお寺は宗教とともに政治の場でもあったのですが、子供のころからここで暮らす修行僧たちにとっては教育の場でもありました。歴代のダライ・ラマもここで学び、かつては 1万5千人以上の修行僧がいたそうです。

 


 

しかし、多くの僧たちは殺害、拘束され、それを逃れた僧たちも亡命。いまでは数百人の僧が施設を維持するのみだそう。

 

 

 

わたしは、チベットの問題のことをなんとなく知っているような気でいて、でも実際にはなにも知らない。チベットが中国のコントロール下に置かれて、各地のお寺が破壊されたり、人口がすごく減っていること、漢民族がたくさん入ってきていること、チベットの資源が中国の手によって採掘されていること、事実は事実として知っているけれど、その裏でチベットの人たちが何を感じているのか、苦しんでいるのか、実際にはよくわからない。

 

チベット人のガイドさんも、きっといろんなことを感じていて、こうして海外からやってくるわたしたちに伝えたいこともたくさんあるはずで、だけど、それを語ってしまったら本人だけでなく、家族までをも危険にさらすから、容易に中国のことは語らない。

 

 

元気で明るいガイドさんが、ここでは強い目で、いろんなことを語ってくれた。

 

ここにはかつて、1万5千人以上の僧がいたんです」。

 


黙って、その話を聞くしかありませんでした。


 

 

さて。その後はツアー客みんなでランチ。

 

各国からやってきたツアー客たち約 10名でチベット料理を食べながら、それぞれの旅の話など。ちょっとくつろいだ時間となりました。

 

 

その後は、修行僧がたくさん暮らすセラ寺へ!

日本人ではじめてチベットに入った河口慧海が学んだのもここだそうです(河口慧海なんて初めて知りましたが)。

 

 

 

砂で描かれた曼荼羅などを見学しました。

 

 

このお寺の見どころは、修行僧たちの 「哲学問答」 の時間!

 

学僧たちが 2人1組になり、一方の問いかけにもう片方が答えを返す。その回答に対して再びまた問いかけ・・・というのを繰り返して、哲学を深めていく修行だそうです。

 

回答する際、一歩前に出ながら手を叩くのですが、その独特のジェスチャーを見るために、観光客が見学に訪れます。

 

 

問答ジェスチャーももちろん面白かったのですが・・・、彼らが時折見せる笑顔や、友達同士ちょっとふざけてみたりする年相応さのようなものが垣間見えたのが良かったな。

 

 

近所のお土産やさんでも哲学問答?

 

 

 

夕方からは、ウェルカム・ディナーの時間です。

ツアー客みんなとバルコル(八角街)のレストランで夕ご飯。

 

チベット料理のレストランで、ブッフェ方式で好きなものを取るようになっていました。メインは、ヤクの揚げ物。チベット料理はネパール料理や中華料理などに近くて、日本人にも食べやすい感じ。

 

 

 

 

ランチに続いて、ここでみんなでそれぞれのバックグラウンドについて語ったり、旅の話をしたり。わたしたち以外は全員、ラサのあとカトマンドゥに移動して、エベレストのベースキャンプまで行くんだそう。うらやましいーーー!

 

 

夕食後は、希望者で夜のバルコルを散策です。

(ツアー後、ガイドさんと別れたあとは自由行動をしてOKなのです)。

 

 

 

 

話には聞いていた、五体投地(体全体を投げ出して地面にひれ伏す礼拝の仕方)をしながらお寺に向かう人たちの姿。ここでは普通のことのように、あちこちで見かけました。

 

 


目指しているのはジョカン寺(大昭寺)。

このお寺を目指して、多くの信者が国中から集まってきます。

 

特に、農閑期にあたる今は、普段は農業に従事しているチベット中の人たちがラサを目指してやってくる 「巡礼期」 だそう。「一生に一度」 の巡礼として初めてラサにやってくる人もいるんだろうな。

 

 

さて、ジョカン寺は明日見学するとして、わたしたちはここでみんなと別れて、夜のポタラ宮を見るために歩いてみました。ジョカン寺からは 15分くらい。

 

 

 

 

おおお、ポタラーーーー!

 

長い一日だったし少しへこたれつつも、やってきたポタラ宮はやっぱり上がった!

 

ライトアップされていて、存在感十分でした。ラサといえばポタラだもんね。このためにラサに来たようなものだもん。

 

…見に来てよかった。

 

ホテルに戻ったら、早めに準備をして就寝。明日もまた早いのです。