大雪の記録
牛スジの実力<牛スジおでん>
先週は早くも新物のばっけ(ふきのとう)味噌を口にした。口に広がるほろ苦さは紛れもなく春。
小寒だの大寒だのを通り過ぎて、もう間もなく立春がやってくるのだから・・・春のほろ苦さを「お~い!」と早く呼び込みたいような、いや待て、寒鱈も鮟鱇も牡蠣もカニも、この冬一人でいったいいくら食べ尽しただろう?な大根も柚子も、トロ~りとろけるような牛スジも「まだまだ食べさせて下さい!」とお願いしたいような。
まったく、食いしん坊というのは季節に飛びついてみたり後ろ髪ひかれてみたり(笑)。
さすがに牛肉に季節はないだろうけれど、牛スジは私にとっては晩秋から冬が旬なのだ。
というのも、夏に思い余って作った牛スジカレーがいけなかった。
どろんどろんぶるん。まったりしたそれを口にした瞬間に「ああ、季節を間違えたな」と直感した。
夏ならゴーヤをガツンと効かせたポークや、トマトを爽やかに効かせたチキン。
季節に見合った味、というものがある。
以来夏場に牛スジを封印する代わりに、晩秋からは冷凍室にこれでもかとストックする。
質の良い牛スジを入手できることになってからというもの、牛肉より出番が多いかな。
というのも、質の良い牛スジからはとても良い上品なダシが出るから。
一度茹でこぼして丁寧に洗ってから、たっぷりの水から下茹でしますが、圧力鍋を使うと20分ほどでとろけるような牛スジと、冷ますとプルンプルンのスープが出来上がります
ただし、一晩冷まして上に固まった脂を取り除くことをお忘れなく!
カロリーダウンと思えば、まるでホワイトチョコのように固まった脂をペリペリと取り去る作業もまた楽しや。
さて、下茹で済みの牛スジとスープさえあれば!な、私の強~い味方牛スジ料理の数々をば。
●タイトルの牛スジおでんの前に紹介したいのが大根とクレソンのスープ!
これは石巻にある食・石川さんで食してピンときたもの。
石川さんのことはこちらで見ていただくとして→んまいもんinみちのく (どのお料理も美味しかったです!その雰囲気といい、ぜひぜひ足を運んで欲しいお店。)
見た目の想像と違って、和ダシの味わいがなかなかで、得意の一石二鳥がすぐに浮かんだ。
作り手の私が醤油じょっぱい味が苦手なこともあって、おそらくは関西風な味付けの(食べたことないけど)
我が家風おでん。
大根と牛スジだけを先に煮込むことを思いついた、われながらあっぱれ(笑)。
スープの分も取れるように、たっぷりの鰹出汁と牛スジスープを半々にして、薄口醤油とみりんとお酒少々を加え、下茹で済みの大根と牛スジをコトコトと(この過程ではあくまでも薄味で!)。
味が馴染んだらスープ用に大根と牛スジを適宜取り出し、別鍋で味を調える。
味が足りないようなら塩で調整して、クレソンを加えて粗びき胡椒をカリカリと
●おでんは各家庭の味や量がおありでしょうから、細かい分量は省略しますが
牛スジおでんは鰹出汁と牛スジスープを好みの割合で、具材がかぶるくらいの分量で煮込みます。
味付けは薄口醤油とみりんを同量程度と日本酒少々。
牛スジと鰹の旨みがたっぷりですので、薄味でも物足りなさを感じないと思います。
初めはごく薄味から、素材から出る旨みをみながら徐々に調味料を加えてみて下さい。
きっと自分の味が見つかります
●牛スジのポトフ
下茹で済みの牛スジとスープさえあれば、あっという間の一品!
牛スジスープが足りなければ水と、物足りないようならブイヨンかコンソメを少々加えて野菜を煮込めば完成。
写真の具の他にキャベツやカブもおススメです。
●牛スジ煮込み
煮込みというと濃い味を連想しますが、行きつけのなつかし屋さんでつきだしで出てしみじみ美味しかった煮込みの再現。
冬場に美味しくなるゴボウや大根長ネギたっぷり、プリっぷりのこんにゃくも加え、時にはお豆腐、旬の芹、大好きな柚子・・・アレンジ自在でお味噌汁代わりに冬に何度も食卓に登場する汁もの的存在。
山形芋煮風といったらいいか・・・。
やはり牛スジスープと鰹出汁の合わせ技で、味付けは薄口醤油とみりん少々。
七味はもちろん、黒胡椒カリカリでもイケます。
画像にはないけれど、こっくりと八丁味噌で煮込んだものも時に恋しくなる味。
●ボルシチ→レシピはこちら
まあ、いってみれば煮込み料理には牛肉の代わりに使っている。ということになりますか。
上質な牛肉の霜降りが年々キツくなっている私としては、欠かせなくなっている食材になりつつある牛スジ。
たっぷりとスープがとれるところもうれしいおまけ。
そうそう、画像にはないけれどキムチと豆もやしや豆腐でチゲというのもおススメで、
この牛スジから出たスープを初めて味見した時から「いつかこのスープで冷麺を!」と企んでいる。
手始めに、とりあえずクッパから・・・でしょうかね。
寒い季節にぜひお試しを
誘惑の<キャラメル ラ・フランス>
バターと砂糖を焦がす。
いたって単純なのに、なんて魅惑的な食べ物かと思う。
小箱から取り出し、白い紙包みを開けるのもうれしかった甘い甘いキャラメルは懐かしい思い出だけど、
充分オトナになった今はちょっぴり胸がチクリとするほろ苦さ・・・というのも悪くない。
そもそもタルトタタン風のアップルパイを焼きたくて作り始めた定番はもちろんリンゴ で
その後クルミ に展開。
キャラメルクルミは家人がたいそう気に入り、
大量に作る→あっという間になくなる・・・を繰り返したため却下した(笑)。
だってね、カロリーは相当なものですから
さて本題。
難しいんですよね、洋梨の食べごろって。
もういいかなぁ・・・と、鼻を近づけてはクンクン、そしてそおっと触ってみる。
まるで恋したかのように毎日ながめたり触ったり匂いをかいだり
ああ、それなのに恋人はある日豹変する。
恋い焦がれ過ぎたあまりブスリと刃を入れてみれば・・・あら意外と腹黒いお方(笑)。
種を中心に腐り始めていたりする。
はて恋い焦がれた恋人をどうしたものか。
・・・と生まれたキャラメル ラ・フランス。
定番のリンゴもクルミも圧倒的に押しのけて、腹黒いお方を追いかけたくなる美味しさです(笑)。
<キャラメル ラ・フランス>
ラ・フランス(他の洋梨でも) 4個(8㎜程度の薄切り)
無塩バター 20g
グラニュー糖 40g
レモン汁 大さじ2
フライパンにバターとグラニュー糖を入れて中火にかけ
バターが焦げ始めたら洋梨とレモン汁を入れる
洋梨に焦げ目がつくように、あまり触り過ぎないように炒め
洋梨の水分がなくなり、こうばしい焦げ目がついたら完成!
最後の焼き加減がポイントです。こうばしい香りがするまでじっくり焼いてみて下さい。
この際にフライパンからの味見は厳禁!いくら恋い焦がれていてもそれは危険な恋(笑)・・火傷します。
冷めるとキャラメルが戻り水分が出ますので、食べる際には温め直すと美味しくいただけます。
パイやタルトやチーズケーキに。熱々にアイスクリームをかけて。
いろいろと美味しい食べ方はあるけれど、軽くトーストしたパンにクリームチーズとともにのせる食べ方が
今いちばんのお気に入り。
あくまでも、ほろ苦く。
苦み走ってはいけません。