『ムーン・ゴースト』、全エピソード読み終えたぞー!
本作は、収束できない事態の顛末を回顧形式で追っていくタイプのシナリオ。
――などという感想をしたためた時期が我輩にもありました。
ええ、ありましたとも。
偉そうにふんぞり返りながら。
蓋を開けてみたら、違ってた。
大幅には間違ってない。
でも、回顧は回顧でも、回顧してる時系列が違っとった。
( ゜Д゜)
騙されたーーー!
SFですものね。
そういうギミックもあるよね、ううう……。
ビナーが静かに過去を語るシーンが何回か挿入されていたので、てっきり本編の時系列は一本道だとばかり。
うう、ふんぞり返っていた頃の自分を殴ってやりたい。
ぱじゅかしい、しくしく。
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本作、面白いかどうかと問われたら面白い部類に入るんだけど、ダアト様とビナーの恋物語だと思って読んでいたら、最終的に「魂の葬送」の物語であることが明らかになり、完全に感情移入する対象がシフト。
「あれ?月面で繰り広げられるラブストーリーはどこいった?」状態に。
兵士ドミニクの成仏とダアト様の告白までは、期待度MAXで読んでいただけに、後半の展開はちょっとついていけないところもあった。
確かに、シナリオを振り返ってみると、全編通して「魂の葬送」という作品のメインテーマ自体からは逸れていない。
そして、姫子が自我に目覚めてから天に召されるまでの流れは、とても文学的で美しかった。
姫子の体が幽霊と変わらないというダアト様のモノローグを読んで、「ああ、姫子こそ『ムーン・ゴースト』なのだな」というタイトル回収にも思い至ったぐらい。
悲哀と希望に満ちた良い物語だったと思う。
でも、ごめんなさい。
こちとらアンドロイド二人の恋の顛末が気になって購入を決めたので、自分が読みたいものとはちょっと違ったかな……という感じ。
特に、ビナーは前の主人との過去が意味深だったので、絶対もう一つ二つ爆弾を抱えているでしょ?と思っていたら、特に何もなく、そのままエンディングへ。
あ、ビナーさん、あなたそんなに爆弾抱えてなかったんですね……。
雨宮優子型だと思い込んで、すんませんでした。
ダアト様とビナーの甘酸っぱいやり取りは、主にクリア後のアフターシナリオで堪能できるが、本筋には全然絡んでいなくて、そこが少し残念。
うーん、お気に入りのカップルだったが故に、ちゃんと本筋のシナリオの中で愛をはぐくむ二人の姿を見たかった。
恋愛模様にも、もうちょっと山場もほしかったな。
すれ違いとかヤキモチとか。
でも、告白のシーンは大変美しゅうございました。
シナリオ面では自分の好みに合わないところがあったものの、声優さんの演技が巧みで非常に引き込まれたし、何より主人公が男女両方の性別を兼ね備えているという特異な設定がツボにはまった。
ギャルゲでNLも百合も楽しめるとは、良い時代になったものよ。
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評価 (★:1点、5点満点)
シナリオ:★★★☆☆
登場人物:★★★★☆
システム:★★★☆☆
ビジュアル:★★★★☆
音 楽:★★★★☆
男女主人公という旨味:★★★★★
総合評価:★★★☆☆
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