【冬アニメ感想】『はたらく細胞BLACK』第1話 | 雪花の風、月日の独奏

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主にギャルゲ、時々百合。

 

人は職場を選べる。

 

でも細胞は職場(宿主)を選べない。

 

これは過酷な労働(生命活動)の物語。

 

 

 

原作未読。アニメ無印は視聴済み。

身近な素材をポップな絵柄とコメディとはなざーさんの汚い声(褒め言葉)で

巧みに魅せた『はたらく細胞』が帰って来たぞ―――――!

 

…………と思ったら、無印がん細胞編以上に話が重かった。

 

 

酷使され、そこかしこが傷んでいるBLACKな胎内で働かざるを得ない新米細胞たちの戸惑いと苦しみは、我々被雇用者の叫びそのもの。

なんとも現代人に突き刺さるテーマを根幹に据えてきたな。

開幕早々、泣けてくる。

 

それ以上に刺さるのが、VTR(どう見ても昭和に撮影したやつでしょコレ)で朗らかな笑顔を見せていた先輩たちと現場で直接出会う先輩たちとの痛烈な差異。

 

 

 

一緒に働くからには顔見知りになりたいと言っていた職人気質のおやっさんは、

もはや細胞の名前に興味をもたないほどに、現状を嘆き荒んでいる。

 

 

 

同じ赤血球の先輩の眼は黒く濁り、1秒たりとも休みを許さない。

 

 

 

唯一苛立ちを見せない先輩赤血球の〈AD6614〉は、

絶望の果てに「感情を押し殺す」術を身に着け、日々の業務に何も感じなくなっていた。

 

 

ひたすら辛い。

生まれながらの悪人(悪細胞?)なんていないのに、環境一つでたやすく歪んでしまう。

我々の実生活にもつながるリアリティを突き付けられ、身につまされる思いだ。

 

 

そして、1話のハイライトはここ。

先輩赤血球の〈AD6614〉の捨て身の行動。

 

 

 

一生かけて20~30億回、ひたすら酸素を運ぶ。

使命に疑問を持たないようにするには、何も感じなくなればいい。

それでも、先輩は「完全」に感情を押し殺すことはできなかった。

 

「一酸化炭素中毒」と「細菌による溶血」で死んでしまった仲間たち。

その光景を目の当たりにし、まだ年若い主人公の〈AA2153〉を安全な通路から帰るよう指示すると、〈AD6614〉は酸素を抱えて、単身、一酸化炭素まみれの頸動脈へと向かっていく。

一酸化炭素ヘモグロビンへと転じる可能性など畏れぬように。

 

 

 

昔は、アイツも笑ってた。

 

俺も笑ってた。

 

この清々しい職場で、心の底から笑ってた。

 

 

それを思い出しながら、〈AD6614〉は哄笑とともに脳細胞の方へと姿を消した。

最期の最期で思い出した笑い。

笑いは、生きている証。

生きていた証。

その笑いは〈AD6614〉を救うことができたんだろうか。

〈AD6614〉役の三瓶雄樹さん、名演だった。

 

 

 

「いい環境でバトンを渡してやれなくてすまないな」と言われた主人公が

そのバトンをちゃんと受け取って次へ繋いでくれることを切に願う。

 

ホントね。前任がきちんとした環境を作り上げておかないと、後のは人大変なんだから。

会社は営業収入とか粗利とか経常利益とか見ておけばいいのかもしれないけど、実際に働いてる人間はそれどころじゃないんだから。

会社は株主のものだってことは分かってますけどね。

思い付きで周りをひっかき回すのはホントやめて。

 

せめて方針は固めて偉い人!!

 

 

 

…すんません、途中から話がリアル寄りになってしまいましたな。

 

癒し満載の無印とは異なり、現代社会や世相を反映させて見せ方を変えると、

同じ作品でもこんなに違って見えてくるんですね、良いんじゃない、BLACKサイド。

無印もBLACKもどちらも面白い。

 

 

 

本作での癒しは、綺麗どころの白血球さんかな。

戦闘要員なので、アクション担当なんだけど、胸元はだけすぎてそっちにしか目がいかない(オイ