片麻痺は治せるのか? | 進撃の理学療法士

進撃の理学療法士

藤田晋さんに憧れています。
介護分野で会社を立ち上げ、小さな通所介護施設を運営しています。
『全ての人が生きがいを持って生活できる社会を作る』
これを私の会社のミッションステートメントとし、バリバリ働きます!!

私は理学療法士として13年働いてきました。

22歳で大学を卒業し5年弱つくばの病院で働き、その後通所介護施設で4年間の下積みを経て、独立しました。

今は36歳です。もうオジサンになってしまいました…(;^ω^)←オジサンは顔文字を多用するらしいです。

 

一番興味のある分野は片麻痺のリハビリテーションです。

 

今は時代が進み、片麻痺のリハビリテーションについても自費でサービスを提供する人たちも出てきました。

効果のあるなしについては今から話しますが、まず思うことは、

 

高い。

大体1時間安くて8000円。高いと12000円くらい。

基本的な販売の方法は回数券式。大体10回~20回をセットで売る。

なので一回の支払いは12万円~24万円にもなる。

 

 

これは正直現実的ではない。20万円あるならその辺の理学療法士をチャーターしたほうが良い。その方が質も高い。

週2回2時間の個人契約でもまあ月8万円も出せば喜んで引き受けてくれると思います。

 

 

で、その効果の話に移りますが、その効果は…

 

人によります。

良くなる人は良くなるし、変わらない人は維持するのも大変な方もいます。とにかく個人差が大きい。

この点から全ての人が良くなると宣伝している店は基本的に怪しいと思った方が良いです。

 

何故回復に対して個人差が大きいか?その理由は脳卒中の病理的な原因とその方がどれだけ努力してきたかによります。

 

 

・脳卒中の病理的な原因

 

①脳卒中による症状の差は場所と範囲。

②初期対応の違い。(発症時すぐに適切な治療を行ったか?初期のリハビリテーションの方針はどうだったか?)

③発症時の年齢

 

・どれだけ努力してきたかによる差

 

④意外ですが長期にわたりしっかり努力してきた人ほど大きく改善しにくい傾向がある。

(すでに改善できるところは改善し終えているイメージ)

⑤まれに麻痺による影響が少ないのに画一的なリハビリテーションしか行っておらず、重度の麻痺の方と同じような運動様式しか許可されてない方もいます。こういう方はものすごくよくなります。片麻痺で足が動かないという方もほとんどの場合で促通により動きを引き出すことができます。*そもそも麻痺側の動きを促すという選択肢がないこともある。

⑥単に関節が硬い場合、逆にセルフストレッチのし過ぎで軟らかくなりすぎている場合がある。

 

 

以上の6点くらいの要因でどのくらい回復するかがわかります。

6年以上継続して一生懸命リハビリテーションに取り組まれ、80歳を超え、自主トレーニングでの歩行なども行っていますが、それでもだんだん麻痺側下肢動きは悪化しています。

 

私の理学療法士としてのスキルが低いからという可能性もありますが、利用者さんも努力していますし、私も少なくとも一般的に行える維持期のリハビリテーションのなかではできる限りのことをしているつもりです。

 

でも、それでも良くならないこともある。

 

 

一方で、新しく利用してくださる方だとかなり改善する方が多い。

それはそもそも麻痺側上下肢を動かすことをしていなかった、動くことを知らなかったという方が多く、私が行うリハビリテーションが特に優れているからというわけではないです。普通にするべきことをすればよくなる方もいるという感じです。

 

今現在の社会的な問題として外来リハビリテーションの縮小があり、退院してから麻痺側のリハビリテーションが行いにくいという現状があります。

医療費というのは1割負担であれば9割が国の予算から出ます。なので理学療法士のリハビリテーションは20分230円くらいで受けることができます。(入院時など付随するその他の費用などは除く)

 

 

なので国の補助がなければ20分2300円、1時間7000円くらいかかるのは当然といえば当然です。

この料金設定でも理学療法士の年収は頭打ちで減少しているところもあるくらいです。

 

ということでそういった自費の施設で働くということは金銭的なインセンティブなしには行うことは不可能なので最低価格が8000円ということになります。

 

逆に言えば個人的なチャーターであれば1時間5000円くらいでも喜んで受ける理学療法士は多いでしょう。

私はこの理学療法士のスキルはもっと広く行きわたるべきだと思っています。

保険などがうまくいけばもっとリハビリテーションを受ける側と提供する側にとって良い条件での関係性が結べると思います。

(例えば病院外でもリハビリテーションを提供しても良いとする上級資格を作るなど)

 

その方が結果的に健康に近づく人が増えるんじゃないかなぁー、なんて思う今日この頃でした。