……続きです。
この時代でさえ、大きな縁とおまえ達の縁でつながったとも言える・・・」
この時に、急に周りの群集がウヮーという声を上げて、老人の声が聞こえにく
くなりました。
「するとな、そう考えると、縁というものは沢山あるじゃろう。
そしてな、その縁というのは、文字通り人と人をつなぐ縁、人と物をつなぐ縁、
そんなものを含めての縁じゃが、わしが言うておるのは、その縁とほぼ同じ意味
の和というものだ。つながりと言うた方がわかりやすいかもしれんな。
だからな、その後はおまえ達一人一人の心の持ちようなんだ。どれを掴むかと
いうのは決まっていないんだ。一人一人に任せられているよ」
この時に、私はふと困った時に何か特別な力を呼べるような縁があるのかな?と思ったのです。

「しかし、それは教えるわけはいかんのだよ。自分でみつけるから面白いんだ。
そこにどれだけ和の心が作用したのか、どう働きかけようとしたのか、それが楽しいんだよ。
どの人間関係にしても似たようなことが言えるだろう。夫婦になってもな、結局、一緒になって蓋を開けてみんとわからん。でもそこからドラマが始まるだろう。
特別な縁のことを先に聞くというのはな、映画を見にいってな、先にストーリー
も話のオチも全部聞いてしまうのと同じだ。
だいたいが映画の予告編は、話のオチをうまく隠しながら見せておるじゃろう。
一番面白いところは、自分で観に行くものだよ。だから蓋を開けるのもおまえ達、
縁を探すのもおまえ達だよ」
聞き返した時、私の身体が元の身長に戻っていました。
「それでは、ここ二、三年は特に縁と和を大事にしていけば、うまく乗り越え
ていけるでしょうか?」
「そうだよ、それについてはこの二年と限ったことではないが、でも特にこの数年は淵のような所にいるからな、よく気をつけて大事にするといいだろうな。
今は、一人一人がバラバラになってる、自由になったとも言えるがな、そのわりには皆、寂しそうだよ。
そんなに寂しそうではな、タオという大きな世界からの力も入っていかんよ。
人がつながりあっていれば、誰かの所にタオの力が流れていけば、それが電気回路のようにぐるっと廻って他のものにも力が流れていく。
まあそれが縁とつながりということの大事な理由なんだ。個人の力が伸びるこ
とは大事。自由を得るということも大事。しかしバラけていく、断線していることとは別の問題じゃ。
だからな、縁をつないで和としてまとめていく、それを大切にするということ
をもっと意識して、みんなでこの淵を飛び越えておくれ。
大事なことは、おまえ達がそう想うこと、相手がそう想うことによって、断線し
た回路は再びつながって力が流れていくんじゃ」
ガタタン、ガタタン。ゴトン・・・
電車がトンネルに入って、車輪の鉄とレールの軋む音が大きくなったところで、
ふっと我に返りました。
・・・
あれ・・・?
夢だったのかな。
あの白い作務衣の老人の姿はどこにも見えません。
それにしてもリアルな感覚でした。耳にはあの多くの群集のワァーという声がまだ残っています。
ふと、これまでに出会った人のことを思い出してみました。
自分は生まれてから多くの人の縁に恵まれてきたけれど、果たして、それを本
当に大事にしていたのかどうか・・・
三、良い縁とつながる秘訣
それは、渋谷の忠犬ハチ公から道玄坂に向かう交差点で信号待ちをしていた時の
ことです。ここは休日、平日を問わずにものすごい人でごった返しています。
信号が青に変わるのを待ちながら、ふと向こうを見ると、何と白い作務衣姿の老人が杖を持って私と同じように、信号が変わるのを待っているではないですか!
この時に、急に周りの群集がウヮーという声を上げて、老人の声が聞こえにく
くなりました。
「するとな、そう考えると、縁というものは沢山あるじゃろう。
そしてな、その縁というのは、文字通り人と人をつなぐ縁、人と物をつなぐ縁、
そんなものを含めての縁じゃが、わしが言うておるのは、その縁とほぼ同じ意味
の和というものだ。つながりと言うた方がわかりやすいかもしれんな。
だからな、その後はおまえ達一人一人の心の持ちようなんだ。どれを掴むかと
いうのは決まっていないんだ。一人一人に任せられているよ」
この時に、私はふと困った時に何か特別な力を呼べるような縁があるのかな?と思ったのです。
「おまえが知りたいのはこんな大変な時に打開できるような、特別に定められ
た縁と言うことだろう」
思っていることを図星にされると、驚きもし恥ずかしくもなるものです。
た縁と言うことだろう」
思っていることを図星にされると、驚きもし恥ずかしくもなるものです。
「しかし、それは教えるわけはいかんのだよ。自分でみつけるから面白いんだ。
そこにどれだけ和の心が作用したのか、どう働きかけようとしたのか、それが楽しいんだよ。
どの人間関係にしても似たようなことが言えるだろう。夫婦になってもな、結局、一緒になって蓋を開けてみんとわからん。でもそこからドラマが始まるだろう。
特別な縁のことを先に聞くというのはな、映画を見にいってな、先にストーリー
も話のオチも全部聞いてしまうのと同じだ。
だいたいが映画の予告編は、話のオチをうまく隠しながら見せておるじゃろう。
一番面白いところは、自分で観に行くものだよ。だから蓋を開けるのもおまえ達、
縁を探すのもおまえ達だよ」
聞き返した時、私の身体が元の身長に戻っていました。
「それでは、ここ二、三年は特に縁と和を大事にしていけば、うまく乗り越え
ていけるでしょうか?」
「そうだよ、それについてはこの二年と限ったことではないが、でも特にこの数年は淵のような所にいるからな、よく気をつけて大事にするといいだろうな。
今は、一人一人がバラバラになってる、自由になったとも言えるがな、そのわりには皆、寂しそうだよ。
そんなに寂しそうではな、タオという大きな世界からの力も入っていかんよ。
人がつながりあっていれば、誰かの所にタオの力が流れていけば、それが電気回路のようにぐるっと廻って他のものにも力が流れていく。
まあそれが縁とつながりということの大事な理由なんだ。個人の力が伸びるこ
とは大事。自由を得るということも大事。しかしバラけていく、断線していることとは別の問題じゃ。
だからな、縁をつないで和としてまとめていく、それを大切にするということ
をもっと意識して、みんなでこの淵を飛び越えておくれ。
大事なことは、おまえ達がそう想うこと、相手がそう想うことによって、断線し
た回路は再びつながって力が流れていくんじゃ」
ガタタン、ガタタン。ゴトン・・・
電車がトンネルに入って、車輪の鉄とレールの軋む音が大きくなったところで、
ふっと我に返りました。
・・・
あれ・・・?
夢だったのかな。
あの白い作務衣の老人の姿はどこにも見えません。
それにしてもリアルな感覚でした。耳にはあの多くの群集のワァーという声がまだ残っています。
ふと、これまでに出会った人のことを思い出してみました。
自分は生まれてから多くの人の縁に恵まれてきたけれど、果たして、それを本
当に大事にしていたのかどうか・・・
三、良い縁とつながる秘訣
それは、渋谷の忠犬ハチ公から道玄坂に向かう交差点で信号待ちをしていた時の
ことです。ここは休日、平日を問わずにものすごい人でごった返しています。
信号が青に変わるのを待ちながら、ふと向こうを見ると、何と白い作務衣姿の老人が杖を持って私と同じように、信号が変わるのを待っているではないですか!
あまり老人と呼ぶのは何となく失礼なので、以下、おじいさんと呼ぶことにしま
す。
す。


