家に帰るたびに、部屋が臭い。どこかで嗅いだような匂いだけど、思い出せない。家にずっといるとそのうちに慣れてしまう。
最初は、排水溝が原因かと思った。排水管はPとかSの形をしていて、水がたまる仕組みになっている。この水のことを封水といい、その水が抜けることを破封というが、これが起きると、下水管からの悪臭が直接入ってくることになる。
それで、水をいつもよりも多めに流してみたり、排水溝の掃除をしたりしたけれど、特に改善は見られなかった。
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木曜日に燃えるごみをまとめた。45リットルの袋に5分の1程度しか入っていない。しかし、その袋の口を広げたら、猛烈な匂いがした。この匂いだったのか。改めて匂いを嗅いだら吐きそうになった。
原因は、すぐに思い出した。鶏の胸肉を、炊飯器のなかにコメと一緒に入れると、コメと一緒に炊きあがり、簡単に肉のなかまで熱が通ることがわかった。フライパンを使って調理する手間もかからない。それで、ご飯と一緒に炊いていたのだが、ジムのトレーナーから、「鶏の皮のカロリーが高いので、皮はもったいないけど、捨てた方がいい。」と言われたのだった。
それで、炊飯器に入れる前に、鶏の胸肉の皮を剥いで、キッチンペーパーにくるんで、ゴミ袋に放り込んでいた。それが、ここまで強烈な匂いを発するようになるとは。
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金曜日の昼に、知り合いと食事をして、そのとき、僕は鶏のから揚げを食べた。料理も雰囲気もとてもいいお店だったが、鶏肉がいまひとつおいしくない。そして、噛んだ肉の遠くの方で、自分の部屋のあの匂いを嗅いだ。この肉は鮮度がよくない、ということがわかった。でも、全部食べた。貧乏性だから。
鶏の皮の腐っていく匂いを嗅いで暮らしていたせいで、この匂いに少し敏感になったのかも知れなかった。
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フランチャイザーが「この商品を売ってください。」と言ってきた商品があった。
それは、フランチャイザーが示した売値が税込み4200円の商品で、仕入れ値が2863円だった。それで、3つほど売った。ところが、最近になって、追加の「送料」が請求されてきた。送料は1つあたり、1997円だという。
合計4860円になる。これを4200円で売ったら赤字だ。それで、フランチャイザーに電話をした。
「その商品は、数多く売れば儲けが出ます。」とフランチャイザーはまず言った。
「なわけある?1つ売るごとに660円の赤字で、俺は3つ売ったけど、1980円の赤字で、赤字幅が拡大しただけだよね。」
「ああ。」ここで方針を買えたらしい。「その商品は、そうですよ。売れば費用が掛かります。でも、情報が入るから、いいじゃないですか。」
「はあ?フランチャイジーが赤字になることを知って、売らせていたの?そういうことは、最初に言っておくべきことじゃないの?俺はもう2度と売らない。」
ついでに、もう信用できないから、事業を売りたい。昨年の9月から売りたいと言っていて、買い手が見つかりそうだとか言っていたけれど、どうなんだ?という話をした。
「問い合わせは1件もない。」という。今までの話はじゃあ、何だったんだ。
「理由は、あなたの提示した金額が高いから。」
「じゃあ、いくらなら売れるんだ。」
「私たちが勝手に査定していいですか。勝手に査定しますよ。」
「さっさとしてくれ。あなたたちとは一刻も早く縁を切りたい。」
最後は本音を話していた。
後から考えてみた。たくさん売れば利益が出るというのは、フランチャイザーにはそういうキックバックの制度があるという意味ではないだろうか。ただ、フランチャイジーにはそういった恩恵がない。いろいろと考えているうちに、このフランチャイザーはフランチャイジーを食い物にすることしか考えていないことが、だんだんと思い当たってきた。
こんなフランチャイザーを選んだ俺がバカと言われるとその通り。本当になんでこんなフランチャイザーを選んだんだろうなあ。騙されないと思っているやつが一番騙されるって真実だ。
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ボイトレに行ったとき、「スパダリ」って何のことかわかりますか?ってトレーナーに聞かれた。
「わかんない。スーパー怠い。超怠いって意味ですか?」
「そうじゃなくて、スーパーダーリンのことだそうです。」
「へえ。」
それで、中学生と話すことがあったので、スパダリについて聞いてみた。
「スパダリって知ってる?」
「スーパーダーリンですよね。」
「うん。そう。ふーん。スパダリって高身長、高学歴、高収入みたいな、つまりは大谷みたいな人のことを言うの?」
「そうじゃなくて、スパダリは、人それぞれで、私のスパダリは、他の人からはどう思われていても構わないって感じです。」
「そうなの?客観的な視点じゃないんだ。」
「主観です。」
へえ。個人主義なんだなあって思ったけれど、そりゃそうで、俺たちみたいに、3Kとか、ジャニーズとか、アイドルの誰々がいいなんて方が不自然だったんだって思った。自分の好みまで、周りに決められていたんだなあ。
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映画「プレイ・ダーティー」を見た。
銀行強盗をなんとか成功させるが、仲間が裏切り、金を奪われてしまう。
その裏切った仲間と手を組み、もっと大きなヤマを狙う。
なかなか面白い映画で、最後まで飽きずに見た。
ごみ運搬列車を脱線させて、高架から落とすなど「ちょっと無理じゃね。」なんてストーリーでもあったけれど、全体としては、よくできていたと思う。
主人公のキャラが立っていて、そして、主人公は無敵という設定でとてもよかった。悪党だが、通すべき筋は通す。こういうB級の香りのする、よく考えられた映画って好きだなあ。













