英検の準2級の試験を受けた
会場近くまで来ているのに、なかなか試験会場が見つからず、危うく遅刻するところだった。
誰も通りを歩いていないので、「教育相談」と書いてある学習塾に入って行き、受付のお姉さんに場所を聞いた。
わかりづらい位置だったが、親切に道を教えてくれた。
おかげで何とか間に合うことができた。
英文の方は簡単だったが、思いのほか、ヒアリングがよく聞き取れなかった。
まあ、今の実力はこんなものなのだろう。
試験後いつものように職場に行き、仕事をしていたらカリフォルニアのクリスから電話がかかってきた。
「元気か?俺、今仕事で日本に来ているんだよ。」という。「おまえはいつまで経ってもカリフォルニアに来ないな。」
「忙しいんだよ。でも、今日の午前中、英検を受けたぞ。」
「英検?おまえが?すごいなあ。8級?それとも7級か?」
「ふざけるな。6級だよ。」
「おお。すげえ。おまえ天才じゃん。」
「まあね。」
「まあね…。」電話の向こうで大笑いをしている。
前回クリスが日本に来たときには会えなかったが、その前は一緒に温泉に行った。
「おまえ、どうしてカリフォルニアに来ないんだ?怖いのか?」
「怖くないよ。サンディエゴに2か月もいたし。」
「じゃあ、何で来ないんだ?」
「忙しいんだよ。」
そんなことを何度も聞かれた。
それから酔っ払って、大阪駅のホームにある緊急停止ボタンを押して、大阪駅のすべての電車を止めた話しも。
そのときは日本語がわからないフリをしていたら「もういい。あっちへ行け。」と言われたらしい。
温泉を出て、僕が地元の新聞を読んでいたらクリスが来て「何が書いてあるんだ?」という。
「60年間、車の運転をしていた人が、運転をやめて免許証を警察に返したって話だ。」
「そんなことがニュースになるのか?なんて平和な街なんだ。」
クリスがあきれたように言う。
「そんなにニュースがないなら、俺が駅のホームのボタンを押して電車を止めてやるよ。僕、得意だから。」
「そんなことしたらこの新聞の1面、間違いなしだよ。不良外人、大糸線の電車を止める。って大見出しが出て、4人くらいの乗客の足に影響が出たって本文が載るな。」
「4人だけか…。平和な街だなあ。」
「まあな。」
クリスは今、東京にいるという。
会えるかどうかは、まだわからない。
注文していた自転車が届いた。
今度買った自転車はルイガノのLGS-RAM(色はホワイト)。
この自転車を注文するまでに3軒も自転車屋に行った。
彼らの話を総合すると、現在、自転車市場には基本的に、1 ママチャリ、2 マウンテンバイク、3 高速スポーツバイク、4 街乗りマウンテンしかないのだという。
僕が欲しいのは、街乗りスポーツ。
「あるけど、高くつくね。昔はどこの会社も街乗り用のスポーツ車のラインアップを出していたけれど、今はすき間産業なんだよ。スピードを求める人はスポーツに行くしね。」
1軒目の自転車屋ではそう言われた。
「昔は、あったけどねえ。もう作ってないねえ。ブリジストンのユーラシア・グラン・ツーリズム?ああ、いい自転車だったねえ。でもああいうのはもうないね。本当にないんだよ。」
2軒目の自転車屋でもそうだった。
僕は今まで街乗りマウンテンに乗っていたけれど、鈍くさいというかスピードが出なくてうんざりしていた。街なかで風を切る爽快感がない。
サスが付いているといっても石に乗っかって喜んでいるような暇人じゃないし。
そうかといって、本格的なスポーツバイクのように幅が2センチしかない車輪も嫌だ。安心感がない。
「仮に、このスポーツバイクを買うとして、バッグとか付けられる?」
「付けられるけど、それは、言っちゃ悪いけどポルシェにキャリア付けるようなもんだよ。」
そう自転車屋はいうのだ。
でも生活に使えない自転車というのに僕は必要性を感じない。
僕が欲しいのは、具体的にはドロップハンドルで、スピードが出るギアがあって、軽くて、タイヤ幅が4センチくらいのもの。
大手の出している自転車で僕の希望をかなえるのは今ではこのLGS-RAMしかない。
キャッチコピーは「古くて新しい、ちょっと不思議な自転車」だという。僕はそれがいい。
ハーフクリップも付けてもらった。これがあるとスピードがさらにつきやすくなる。
本当はトウ・クリップの方が効率的なのだが、トウ・クリップから足を抜けられずに転倒していた友達を中学時代に何人も見ているので、ハーフにしておいた。
これも1軒目の自転車屋では「ハーフ?今はビンディング・ペダルの時代だから、そんなものはないね。注文すれば、どこかにはあるかもしれないけど。」と言われたが、3軒目の店ではカタログに載っていてすぐに手配をしてくれた。
生活に使うのに、いちいち靴を履き替えてなんかいられない。
自転車にライトやスタンドを付けたりしていたら7万円近くになってしまった。
前の自転車は姪にあげた。
姉が「売った方がいいんじゃない?」というので売ろうとも思ったが、姪が「そんなのもったいない。私が使う。」ともらってくれたのだ。
サスが付いていて、乗り心地がいい街乗りマウンテンなので、元々、女の子にちょうどいいのだ。
色もオレンジできれいだし。
以前、僕の自転車を盗んだ少年の母親は居留守を使っているのだろうか?
5月に再び電話をしたとき必ず弁償をすると約束はしたけれど、それ以来、何度電話をしても絶対に出なくなってしまった。