11月17日の日曜日、私は、午前中は横浜市の大倉山で水墨画教室に通い、午後から、東横線、目黒線、南北線、有楽町線と乗り継いで有楽町線の江戸川橋駅近くにあるGALLERY Fieldで開催中の「稲葉未来・中園ゆう子・宮崎泰裕『あまつちのかたわら』」(会期 11月14日~24日 水曜日休廊)に行ってきました。

 

今回のグループ展は、私のブログで度々取り上げている中園ゆう子さんが日本画を学んだ大学(熊本の崇城大学)の後輩である稲葉未来さん、宮崎泰裕さんとグループを組んだグループ展になります。

いただいたこのDMに、このグループ展について次のように書いてありますので、参考に引用させていただきます。

「『あまつちのかたわら』とは、広大な宇宙(天)をかたわらにみつめるそれぞれのまなざしを表しています。

3人が共通して用いる土や鉱石から生み出されるどこか夢見がちで物語性のある作品群を是非お楽しみください。」

 

それでは、作品の一部をそれぞれ紹介します。

まず、中園ゆう子さんの作品です。

 

 「雨の刻には」中園ゆう子 F4 号 紙本着彩

この作品は、雨をテーマにしており、登場する少女は、レインコートを着て雨用の透明バイザーをつけています。

レインコートには、空を思わせる水色基調に青や赤の雲模様が、少女の手元には、翼を持った龍が描かれています。

中園さんのお話では、翼のある龍は、雨を司る霊獣であり、実はこの少女(雨を司る妖怪の女の子のイメージ)の先生格の存在であるとのお話をされていました。

 

雨の季節の紫陽花の彩り、レインコートの明るい色合い、美しい龍の姿など、淡い色彩に雲模様の青がアクセントにした、調和がとれた美しい作品と思いました。

ただ、この瞬間は、雨は降っていないようですが、この少女が機嫌を損ねると、きっと大雨が降りそうです。

 

 「宇宙ちゃん」中園ゆう子 F6 号 紙本着彩

この作品では、黄色い宇宙服を着た女の子が、勇ましい鳥に金平糖を与えようとしています。

金平糖が入った瓶には、「HOUOU」と「桐文様」が書かれたシールが貼られています。「桐」は鳳凰が止まる樹と言われており、この勇ましい鳥が鳳凰であることがわかります。

 

中園さんのお話では、ハリーポッターのスピンオフ映画の「ファンタスティック・ビースト」からヒントを得て、この作品を制作したとのこと。おどろおどろしい姿の妖獣鳳凰をペットのように扱う女の子。西洋と東洋の魔界を「かわいい」という調味料で味付けした中園ワールドの作品です。

 

「豊干ちゃん」中園ゆう子 F20 号 紙本着彩

数多くの龍が描かれた美しい着物や、たなびく髪飾りを着けた可愛らしい少女が、虎の子を抱いています。

右上には狛犬のキャラ、左上には白い象のキャラを引き連れた小さな女の子が描かれています。

故事に題材をとった、可愛らしく美しい壮大な作品です。

 

この作品、「豊干ちゃん」と名付けられています。「豊干」はぶかん又はほうかんと読み、唐代の聖人・豊干禅師のことであり、天台宗国清寺に住み、虎に乗って衆僧を驚かしたり、寒山や拾得という異能の人物を弟子としたり、さまざまな奇行で知られていた人物です。この豊干と寒山や拾得を描いた『豊干寒山拾得図』が古来描かれてきました。

 

この作品は、こうした「豊干」を題材にして故事を一つ一つかみ砕き、中園さんの独自の世界に仕上がった作品です。

 

他にも、中園ゆう子さん作品が数多く展示されています。

 

ここで少し横道に。

中園ゆう子さんの作品のファンである私、この度、その作品2点を自分の部屋に飾ってみました。

(左)伝言してね(右)令和艶中八仙・西王母

どちらも、セキセイインコが登場する西王母に因んだ作品です。

 

 

 次は、 稲葉未来の作品です。

 

 「麗月」稲葉未来 F20 号 紙本着彩

立派な角を持った羊を描いた作品ですが、角の形に月の満ち欠けにかけ合わせて、描くことにより、角が月の表面のような輝きを放ち、壮大な迫力のある作品になっています。

この日、稲葉未来さんが在廊されており、初めてお目にかかりましたが、実は、これまで稲葉未来さんの作品は、日展、日春展で数多く拝見しており、私のブログでも数多く紹介させていただきました。

 

例えば、昨年の第10回日展では「心月」、第9回日展では「満ちゆく」という羊を題材にした作品が入選されていました。

参考に、第9回日展の「満ちゆく」を紹介します。(この作品は今回は展示されていません。)

 

 

 当時、この作品の迫力と羊の存在感に驚かされましたが、この角と月の満ち引きが関連していたことは全く気が付きませんでした。今回、ご本人のお話を伺い、作品の本質に少し近づけた気がしました。

 

なお、今回、羊と月の作品は他にも展示されており、その一つを紹介します。

「紅い月」稲葉未来 F4 号 紙本着彩

 

次の作品です。

「雪花」稲葉未来 WSM 号 紙本着彩

 この作品は、ユキヒョウを描いた作品の一つです。

アジア大陸の高山に住むユキヒョウは、動物好きの私はテレビの映像で見たことがあり、印象に残っている動物です。

この作品は、ユキヒョウの背中の模様が花のように美しく、その模様を特に意識して描かれたとのことですが、その模様も素晴らしいですし、ユキヒョウの猛獣としての迫力、ネコ科の動物としてのしなやかさが見事に描かれていると感じました。

 

余談ですが、私がテレビで見たユキヒョウは、雪の中にたたずんでいる長い冬毛でおおわれたユキヒョウでしたので、そのことを稲葉さんにお話しすると、このユキヒョウは動物園で写生した夏毛のユキヒョウとのことでした。

 

他にもユキヒョウの作品が展示されており、その一つが次の作品です。

 「天満月」稲葉未来 S3 号 紙本着彩

 

 「いちんまじゅん」稲葉未来 SM 号 紙本着彩

この作品の題名である、「いちんまじゅん」は沖縄の方言でいつも一緒という意味とのこと。

左の猫の目の色が青色と金色と異なっており、こうした猫を福をもたらすと言われていることから、この作品は縁起物の作品と言えます。沖縄の花や模様が描かれ、沖縄テイストの可愛らしい作品です。

 

ここでもう一つ余談です。

先ほどユキヒョウの作品を紹介しましたが、稲葉未来さんの作品を初めて拝見したのは、2018年4月の第2回日春展の次の作品です。

「ひだまりの午後に」(この作品は、今回展示されていません。)

この作品から、稲葉さんの写実力に感心し、猫好きの人なんだろうなと感じたことを思い出します。

 

最後は 宮崎泰裕さんの作品です。

宮崎泰裕さんの経歴を拝見すると、崇城大学で日本画を学んだあと、窯業の勉強をされ、作陶の分野で実績を重ねており、今回もその分野の作品が数多く出展されていました。

今回は、ご本人の在廊されておらず、お話は伺えませんでしたので、印象に残った作品の写真での紹介にとどめさせていただきます。

 

「火器 花を持つネコ」

 

 「壁掛け 面 ホルス」

 

「壁掛け花器 ちょうちょ」

 

可愛らしい作品あり、力強い作品あり、また、形状だけでなく。色彩・模様も大変印象的でした。

 

以上、中園ゆう子さん、稲葉未来さんのお話をいろいろ聞けた大変興味深い作品展でした。