今日は、現在、銀座中央ギャラリーで開催中のAMAKARA展について書きたいと思います。(会期 10月24日(月)~10月29日(土))

 

銀座中央ギャラリーは、銀座で多くの画廊が集まる奥野ビルにある画廊で、今回は、こちらの画廊がAMAKARA展と名打った企画展です。

出展作家は、稲葉未来さん、岩永恵理さん、北島優子さん、クロネさん、徳田明子さん、中園ゆう子さん、永島千裕さん、西口茜さんの8名の方々です。

 

DMを拝見すると、AMAKARA展について、こう書いています。

「甘辛味の様に両極端のものを混ぜてもそれぞれのおいしさが引き立つように、各自の作品の持ち味がうまく表出できるように、また、作品を並べた”天から(あまから)”舞い降りたような、そんな別次元空間になる様にと願いを込めてつけたAMAKARA展」

 

つまりは、個性が異なる様々な作家の作品を集め、その個性を殺すことなく逆に互いが作用しあい、全体として素晴らしい空間を作り出すといったところでしょうか。

そうすると、どのような作家を選ぶかが肝になるわけですが、その作家選びに私が良く知る中園ゆう子さんが協力したと聞いていましたので、今回、どのような展示になるか楽しみにして伺いました。

 

会場に着くと、その中園ゆう子さんがいらっしゃったので、お話を伺いながら作品を拝見することができました。

それでは、出展作家の作品の中から何点か紹介します。

 

まず、中園ゆう子さんの作品です。

「令和艶中八仙・通玄」 中園ゆう子 紙本着彩 333mm×244mm

 

中園さんは、現在、江戸時代に浮世絵に描かれた中国の仙人に因んだ「艶中八仙」という美人画を題材にして、「令和艶中八仙」というシリーズの作品の制作を試みており、この作品は、シリーズの7作目とのことで、瓢箪から馬を出して乗る仙人、通玄を題材にしています。

瓢箪から出た馬に乗馬するので、ゴーグルをつけライダーの恰好をした主人公の黄色の服が艶やかで大変魅力的な作品ではないでしょうか。中園さんとしては、ゴーグルの女の子を描くも初めて、黄色い服装も初めてとのことで、とても新鮮な作品です。

 

参考に、江戸時代にどのような作品があるのか探してみたら、北川歌麿の次の作品がありました。

喜多川歌麿 艶中八仙・通玄 あふぎ屋内花人(禿・さくら、もみじ)(著作権フリーの画像です。)

喜多川歌麿 – 艶中八仙・通玄 あふぎ屋内花人 [禿・さくら、もみじ] (浮世絵聚花 ボストン美術館3 歌麿より) パブリックドメイン画像

 

中園ゆう子さんの作品は3点展示されており、もう1点紹介させていただきます。

「風まかせ」 中園ゆう子 紙本着彩 333mm×244mm

最近の中園ゆう子さんの個展について書いた私のブログを紹介しておきます。

中園ゆう子展「目を瞑ると」(於 銀座の画廊 美の起原)に行ってきました!(2022年4月)

 

次は、徳田明子さんの作品です。

「マカロン☆LOVE」 徳田明子 水彩画 220mm×273mm

徳田明子さんは、水彩画で女性を描いており、これまで私のブログで紹介させていただいたことのある作家さんです。

徳田さんの水彩画は、大変写実的で、登場する女性も妖艶で神秘的な女性から爽やかな女性まで様々ですが、この作品は、マカロンを持つ女の子を描いており、爽やかで可愛らしい作品です。

 

他にもこのような作品が展示されています。

「あやかし」 徳田明子 水彩画 333mm×244mm

徳田明子さんは、最近は日展や白日会展で作品を拝見することができ、直近の白日会展の記事を紹介しておきます。

第98回白日会展(於 国立新美術館)に行ってきました!(2022年3月)

 

次からは、ほぼ初めて見る作家の方々です。

「百花の部屋」 永島千裕 紙にアクリル絵の具 410mm×318mm

こちらは今回3点出展された作品の一つです。

色とりどりの花のつるし飾りを背景に花びらをスカートに集める女の子が描かれています。

一つ一つの飾り物の色合いなどはシンプルですが、全体としては様々な色合いが調和し楽しく、綺麗な作品であり、床面の精緻な木目の表現との対比も面白く感じました。

会場で、永島さんにお目にかかることができ、この作品に出てくるつるし飾りを取材するため、日本三大つるし飾りの一つである静岡県の伊豆稲取の「雛のつるし飾りまつり」に取材してたくさん写真を撮ってきたとのことでした。

 

「星芒」 岩永恵理 日本画 227mm×158mm

岩永さんの作品は、箔を使った表現にこだわりを持って制作をされているとのこと、展示作品の中で、こちらの花が華やかであり、神秘的でしたので紹介させていただきました。

岩永恵理さんは、熊本の崇城大学大学院芸術研究科で日本画を学ばれており、中園ゆう子さん先輩にあたるとのことでした。

現在、同大学で非常勤講師をされているとのこと。会場でもお目にかかることができましたが、夕方には熊本にむけてお帰りになりました。

 

「うたたね」 稲葉未来 日本画・麻紙に岩絵具 333mm×333mm

猫好きには、どうにも魅力的な作品です。

稲葉未来さんも、熊本の崇城大学大学院芸術研究科で日本画を学んでおり、中園ゆう子さんの後輩にあたるとのことでした。

稲葉さんの作品を拝見するのは初めてと思っていたのですが、記憶の中でどこかで見たような気がしていたので、自分のブログの中で検索したところ、何と次の3件がヒットしました。

改組 新 第6回日展(日本画部門)(於 国立新美術館)に行ってきました!(2019年11月)

改組 新 第5回日展(日本画)(於 国立新美術館)に行ってきました!(2018年11月)

第2回新日春展(於 東京都美術館)の続きです。(2018年4月)

 

日展や日春展には、数多くの作品が出展されている中、ご本人がどのような方か全く知らずに、3回も作品を紹介していたことに自分自身が驚いていますが、稲葉さんの猫の作品は大変印象に残っており、思いもかけず彼女の作品を拝見できとても嬉しく思っています。

 

「まなざし」 北島優子 雲肌麻紙に墨、岩絵具、アクリル 333mm×244mm

北島優子さんの作品を拝見するのは、実は初めてではなく、以前、横浜のギャラリーARKのグループ展で拝見したことがあります。

今回、出展された作品は、古風で粋な作品でありながら、妖艶で現代的な美人画です。

作品の中に「真珠」が必ず描かれており、それぞれの作品の中での真珠の描き方にも興味がそそられます。

中道佐江さん、徳田明子さんなど魅力満載! アルマ展(於 ギャラリーARK)に行ってきました!(2021年11月)

 

「蝶々結び」 西口茜 紙本着彩 333mm×244mm

淡い色彩ですが、色使いが日本画らしく綺麗な印象がする作品です。女性の表情もあえて淡々と描いているようですが、見る者の受け止めにより様々に読み取ることができる画風に思えます。

西口茜さんの作品を拝見するのは初めてだと思いますが、横浜のギャラリーARKのグループ展には参加されているようです。今後、拝見する機会があると思いますので、注目していきたいと思います。

 

最後は、立体の作品です。

「稲荷様巴衛」(右)、「稲荷様珠寧」(左)クロネ 立体/羊毛フェルト 300mm×200mm×150mm

 

以上、8名の特色のある作家の個性が光る作品展でした。

 

最後に、銀座中央ギャラリーのHPを紹介します。HPには出展作品が全部紹介されています。

銀座中央ギャラリー|奥野ビル内企画・貸し画廊レンタルギャラリー (chuogallery.com)