また、忙しかったので一週間ぶりのマラソントレーニングとなった。

5kmを30分ほどで軽めのトレーニング。


3年ほど前から、節約生活をはじめたが、

その時に溜まっていた服がようやく半分ぐらいになる。

まだまだ着れる服、ほとんど着ないでほうって置かれた服、そして全く袖を通していない服。

計算するとおよそ5年ほど服を買わなくても生きていける量だった。

これらは、財産でもあるが、不良在庫でもある。

何という無駄をしていたと、当時激しく後悔したものだ。


その多量の服がようやく半分まで減った。

まだ折り返し地点だが、不良在庫が目に見えて減っていくのがうれしい。


暇な時にユニクロなどだったら一年間の衣類代をどこまでケチれるかを計算したことがある。

靴(ユニクロ以外で買うことになる)などを含めても3万円で大丈夫という計算であった。

研究職はスーツを着なくてもOKという特権があるが、

それにしても学生時代から考えると、とんでもなく少ない金額だ。

ユニクロ系の新しいブランド「g.u.」が家の近くに出来る事を期待している。

しかし、実際に営業赤字なのだから、「死んだフリ」でもなんでもしてでも、

業績を回復させる事が、経営者に求められているのではないかと考える人もいるだろう。


しかし、私はそこがトヨタの狡猾なところだと思う。

トヨタのトップが言った「設備や雇用削減には手をつけない」という言葉に、

これからのトヨタの経営方針が集約されている。


自動車の最大の消費国アメリカでは、ビッグ3と呼ばれる3大自動車製造会社のうち、

1つか2つが倒産すると予想されている。

もしも本当に倒産となったら、倒産した会社がもっていた自動車のシェアが、

他の会社によって取り合いとなるだろう。

しかし、その時に自動車の在庫がなかったり、生産台数を減らしてしまっていた場合、

せっかくのチャンスを逃してしまうことになる。

トヨタが今の持っている設備や正規雇用者を減らせないのは、このチャンスを狙っているからであろう。

工場などの設備や正規雇用者を減らしてしまっては、いざという時に自動車を増産できない。

数年間はたとえ営業赤字となろうとも、数年後の大バクチに備えている、ということだ。

実際に、最近のアメリカの景気回復兆候を見て、

トヨタのライバルであるホンダや日産は優良車種の在庫を溜め始めたようである。

また、アメリカと並ぶ自動車消費国である中国でも景気対策の結果、自動車販売台数が回復し始め、

業績が前年比でプラスになっている会社も出始めている。


今は「死んだフリ」をし、更に人件費を下げて、この先のチャンスで大もうけしよう、ということだ。

今後の営業利益を最大にするには、良い作戦かもしれないが、

そのために多くの非正規雇用者が路頭に迷い、正規雇用者が犠牲になる。

営業利益を最大にしなくても、世界一の会社にならなくても、トヨタは企業として生き残れるだろう。

さらには、いままでに貯めた内部保留を雇用者に還元すればそんな悲劇は避けられるのにだ。

これが、私の考えるトヨタの「死んだフリ」作戦である。


(つづく)

人件費カットの影響は非正規雇用だけに留まらないだろう。

「設備や雇用削減には手をつけない」として、身の安全が保障されたかに思える正規雇用者だが、

経営再建を口実に手当てカットや昇給見送りが続く事となるだろう。


ここ数年間、過去最高の営業利益を更新してきたトヨタであったが、

「これからの大競争時代を企業として生き抜くために国際競争力をつけるため」として、

社員に対してはほとんど利益の還元は行われてこなかった。

最高営業利益を更新している間でさえこの状態であるから、

営業赤字の時代に昇給や福利厚生の充実なんか、まず望めない。


そもそも「雇用削減には手をつけない」というのも、非正規雇用者を多く雇ってきたトヨタにとって、

非正規雇用者を解雇、雇い止めした上で正規雇用者をもクビにしてしまうと、

働く人がいなくなってしまうからなのである。

つまりは、正規雇用者の身を保障すると言う意味合いでは全くないのである。


非正規雇用者の数を減らし、正規雇用者の賃金をできるだけ抑えるようにするためには、

「死んだフリ」作戦がとても効果的なのだ。


(つづく)