監督:阪元裕吾

主演:久保史緒里、平祐奈

 

「ベイビーわるきゅーれ」シリーズの阪元裕吾監督が、漫画家・石黒正数の同名青春コミックを実写映画化。

大学の女子寮で同じ部屋に住む後輩・入巣柚実と先輩・鯨井ルカ。ルカはインディーズバンド「ピートモス」のギター&ボーカルとして夢を追っているが、入巣は特に夢や目標のないまま、古本屋で何となくアルバイトする日々を過ごしている。2人は安い居酒屋で飲んだり、暇つぶしに古い海外ドラマを観たりと、緩く心地よい同居生活を送っていた。そんなある日、ルカに大手音楽レコード会社から声が掛かったことで、2人の日常は大きく変わりはじめる。

アイドルグループ「乃木坂46」の久保史緒里が入巣役、「恋は光」の平祐奈がルカ役でダブル主演を務め、入巣の大学の同級生・田口を綱啓永、田口の友人・伊藤を樋口幸平、入巣のアルバイト先の先輩・仲崎をお笑いコンビ「ロングコートダディ」の兎が演じる。原作者・石黒正数が主題歌「ネムルバカ」の歌詞を手がけ、原作にも登場する歌詞を踏まえつつ新たな歌詞を書きおろした。(映画.com)

2025年製作/106分/G/日本
配給:ポニーキャニオン
劇場公開日:2025年3月20日

 

戦わないベビわる 

 

前回の「ゴーストキラー」から続いて、

べビわる制作陣の作品を鑑賞。

 

ゆるふわな学生の青春劇で、

愛すべきキャラクターとほろ苦い青春を味わった。

 

  グッときた点

 

①入巣とルカ

 

この映画の最大の魅力はここ。

主演二人の掛け合いがいい。

 

なんだかんだで二人はお互いを信じているし、

互いを支えあいながらも、

最後まで前を向こうとしている。

 

ラストでは二人の友情が示される形で終わるので、

変に嫌な気持ちになることなく、

終始リラックスした気持ちで鑑賞できた。

 

 

②金欠生活

 

入巣とルカのゆるい金欠生活がいい。

 

お金がないから、

炊飯器を中古屋で半額で買う話をしたり、

メシを買ってきてくれそうな男を家に呼んだり、

おごってくれるということでノコノコ食事について行ったりと、

二人の生活でお金がめちゃめちゃ判断軸になっている。

 

なんかこの切実さはとてもよくわかる

 

そして、お金はないけど、

妙に満たされた二人の生活がちょっとうらやましく思えた。

 

 

③兎

 

ロングコートダディの兎が出ている。

 

レンタルビデオ屋の店員の仲崎を演じているのだが、

これがなかなかにはまっていた。

 

いやらしさと、憎たらしさの同居しているバランスが絶妙

また、あの声がいい。

 

これからも俳優としてのオファーが来るんじゃないかと思うほど、

作品にウザいいインパクトを残した。

 

 

④タイトルロゴの出し方

 

ラスト10分。

 

ソロデビューしたルカは、

ライブのアンコールで独りギターを持って、

ピートモス時代の名曲と言われた「ネムルバカ」を、

ライブの予定にない形で独唱する。

 

ギターをかき鳴らした瞬間、

タイトルロゴがドーンと表示される。

 

これはかっこいい演出だった。

 

 

  惜しい点

 

①語られつくされていない

 

後半30分では、

ルカがレコード会社に発掘され、

ソロデビューをし、人生が一変する。

 

もともとルカはピートモスというロックバンドをやっていたが、

デビュー後は「A。または人間、」という名前で、

本来のルカとは全く違うアイドル寄りのポップ路線で活動する。

 

そして、「ネムルバカ」を歌ったライブ後に、

 

ギターを捨ててルカは失踪する。

 

漫画原作なのでどこまで描かれているかわからないが、

失踪後の後日談をもう少し見たかった。

 

 

②ネムルバカの名曲具合

 

名曲、名曲と引っ張られて最後に演奏された「ネムルバカ」。

 

 

ただ、これがそれほど刺さらなかった。

 

どちらかというと、

「A。あるいは人間、」の「ハルイロ」という曲の方が良いと思ってしまった。

 

 

「ネムルバカ」は衝動感はあるが、

メロディが頭に残らず、通り過ぎて行ってしまう曲。

 

もうちょっと覚えやすいメロディだと受け取りやすかった。

 

あと、曲が平祐奈の声質にあっていないので、

それもパワーダウンの印象を与えてしまったかもしれない。

 

タイトル曲にもなっているくらいなので、

もうちょっと曲にパワーが欲しかった。

 

 

  感想と学び

 

派手なアクションはないもの、

作品としては先日観た「ゴーストキラー」よりも面白かった。

 

僕は「ゆるふわな日常」を見るのが好きなんだろうな。

 

本当にありそうな日常的な会話を聞いているだけで、

普通に楽しかった。

 

ルカがデビューした後、

多くの人に支持され成功を掴んだが、

自身のやりたい方向とは違ったため、

最後は自分を貫いて失踪する。

 

成功と失敗は紙一重。

 

やっていなくては成功しないが、

たとえ成功しても、

必ずしもそれが自分の望むものではないこともある。

 

人生の成功とは、

何をもってそう言えるのか。

 

僕にはデビューする前のルカの生活の方が、

幸せそうに見えた。

 

金欠であえいでいた何気ない日常にこそ、

人の温かさや、思いやりがあふれている気がした。

 

最後にルカが自分らしさを爆発させた「ネムルバカ」の演奏。

 

自分らしさを貫く痛みに、

胸がズキっとした。

 

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